揚げ物、お好きですか?リメイク版

ツ~

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真実は胸の中(イリア回想)

真実は胸の中2

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 私が『揚げ物処 大和』に訪れたのは、偶然ではない。その事。
 私はその当時の事も思い出していた。
 私が『隻眼のワイバーン』の件で、酷く落ち込んでいた時、私は、女王様から依頼を受けた。
 「イリアや。ちと人間界に行ってきてくれんか?妾、気になる物があるのじゃ。」
 それは、突然だった。
 今思えば、当時の私はそれぐらい、悲壮感が漂っていたのだろう。
 女王様が気晴らしにでもなればいい。そう思われたのかもしれない。
 「気になる物とは?何ですか??女王様。」
 「ふむ。人間界にはトンカツという、誠に美味なる物があるらしいのじゃ。妾、そのトンカツとやらを、食してみたいのじゃ。」
 トンカツ?何でしょうそれは??
 「トンカツ?と言うのは?」
 私の問いに女王様は答える。
 「妾もよく分からぬ。……揚げ物。というやつらしくてのぅ。それは何でも、とてつもなく美味らしいのじゃ。妾、毎日、サラダや塩で焼いた魚や肉には、飽き飽きしておるのじゃ~。」
 世界一の美貌を何時も振り撒く女王様。その女王様がなんと可愛らしい仕草をなさるのでしょう。
 「分かりました。でも、どうやって、私は人間界へ赴けば良いのでしょう?」
 「お!行ってくれるか?それは良かった!!人間界へ行くには、宝具『ゲート』を使うとよい。それとな、おぬしも分かっておると思うが、人間界は魔素がない。ちゃんと魔法で処置をして出掛けること。あっと!変装も忘れてはいけぬ!!この宝具『変化のローブ』を使って好きな姿になるとよい。おっと、それとな。これが一番重要じゃった。店は、妾が決めておる。これじゃ。」
 女王様はかなりテンションが上がっているのだろう。あたふたとしながら、一枚のメモをくれた。
 なになに?あれ?読めない文字で書いてある。
 仕方ない。この文字と同じ物を見つけて入ればいいでしょう。
 そう、単純な気持ちで人間界へ赴く事になった。
 
 よし!魔法も変装はバッチリ。
 服がはちきれんばかりのお腹周りの肉。歩く度に揺れる胸の肉。そして、キリリとした一重の切れ長の目に、二重あご。それにあご髭。髪はあっても無くてもいい。
 まさに、私の理想像。……いや、私達、エルフ女子の理想像だろう。かなりのイケメンに仕上がった。
 し、しかし、この姿は歩きにくい。いや、それよりも、人間界って人が多すぎでしょ?それに……石で出来た塔でしょうか?所狭しと建っているし……。ダンジョンがそんなに所狭しと建っているなら、いざっていう時には対処出来ないわよ?
 そんな事をブツブツと考えながら、女王様から預かったメモと看板を交互ににらめっこしながら、お店を探した。
 そうして、やっと発見する事が出来た。
 そして、お店の中へ入る。
 すると、その中は、なんとも言えない、いい匂いがしていた。
 「ΦΩβъ∀Φъ⊅。」
 え?!何て言っているか分からない。
 店員さんなのだろうが……その人に即されるまま、私は席に座る。もちろん、メニューに何て書いてあるかも分からない。
 「ΩΦ∀⊅∀ъΩ⊅」
 そんな私を見て、心配したのだろうか?
 カウンターの向こうから声が聞こえる。そして、その顔を見た。
 …………。
 ………。
 ……。
 えっ!ええ?!す、凄いイケメンが!!
 ま、まさに、私の理想。い、いや!!私達の世界なら、確実に世界一のイケメン!!
 美しい切れ長の一重の瞳。立派な二重あごに、整ったあご髭。それだけじゃない。歯も綺麗に揃っている。身長も高いし、お腹や胸の肉も申し分ない!!
 私は緊張のあまり、メニューを指差した。
 「ΦΩδηζκιοπμνπ」
 そう言い、イケメンの人は料理を開始した。
 何とも言えない香ばしさ匂いとジョワジョワっと音がする。
 ああ。何と夢空間なのでしょうか?
 イケメンの男性が料理している姿というのは、実に絵になります。
 すると、そのイケメン男性は、料理を終えたようで、私の前に料理を置いてくれた。
 私は、料理とイケメン男性の顔を交互に見る。
 ……あれ?この人、どこかで会った事ある??
 いや……まさかね。私の人間の知り合いと言えば、一人しかいない。それも、もう三十年以上も前の話だ。
 確かに、人間の年齢だと、ヤマトもこのくらいの歳になっているはずだけど……まさかね。
 うん。そうだ。それはないな。
 そう思い、男性から目を逸らして、料理を見る。
 おや?エンジェルポークのお肉……?それを何かで包んでいるのかしら?何か不思議な食べ物ね。
 私は、一口、料理を口にした。
 ん?んんんん!?
 な、何これ!!周りはサクッとしている!!それなのに、中のお肉からは肉汁が溢れてくるわ!!な、なんて!美味しいのでしょう!?
 私は夢中になって、料理を食べる。すると、イケメン男性が何かをジェスチャーしながら言っている。
 なになに?この小皿の液体をつけて食べろ。って事?
 言われるままに、つけて、口へ運ぶ。
 な、なにこれ!!また、さっきとは違ってスパイシーな感じに甘味まで加わっているわ!!
 し、信じられない!!な、何て美味しいものなの?!しかも、添えてある、キャベツがまた、口の中を爽やかにしてくれて、食べるのが止まらないわ。
 私は、本当に夢中になって食べた。そして、夢見心地でふらりと席を立ち、お店を出ていた。
 何かを叫ぶ声が聞こえたが、気がつけば、私はお城へと帰って来ていたのだった。
 
 
 
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