揚げ物、お好きですか?リメイク版

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北国ダンジョンのある一時

北国ダンジョンのある一時4

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 エリは、おもむろに壁へと向かい、短剣を構える。そして。
 「『エアスラッシュ』!」
 そう叫び、短剣で壁に切りかかった。
 スキルを使ったのだろう。その一撃の衝撃は風圧になって、こちらまで伝わってくる。
 エリは壁を破壊し、この局面を打破しようとおもったのか……。
 しかし、壁は傷一つ付いていない。それどころか、短剣がバラバラに砕け散った。折れるのではなく。
 ど、どういうことだ?!
 動揺している俺とは違い、エリは落ち着いて口を開いた。
 「これで、確信に変わりましたわ。これは、間違いございません。神々の気まぐれ。でございます。」
 「あの、『隻眼のワイバーン』と同じのか?」
 「……はい。」
 な、なんでこんな時に……。いや、神々の気まぐれだって言うけど……。モンスターは出てこないし、どうなっているんだ?ただ、閉じ込められただけ?いや、エリの攻撃でも傷一つ付かない壁だ……。これはモンスターよりも大変なんじゃないか?
 「エリの攻撃で傷一つ付かない壁なんて……どうやって脱出すればいいんだ?」
 俺の口から、思わずポロリと言葉が落ちる。
 「わたくしも困惑しております……。通常のダンジョンの壁なら少なからず傷を付ける事くらいは容易いのでございますが……。この壁は、わたくしの経験からして、魔法も効かないと思われます。これが、神々の気まぐれの厄介な所なのでございますよ。主様。通常では有り得ない事が平気で起こってしまう。全ての物を超越した存在だから出来る芸当なのでございましょうが……厄介、極まりないのでございます。」
 魔法も効かないのか。それなら、壁を破壊して脱出するという案は不可能。さっきも見たように、落ちてきたであろう上の階へと続く穴は塞がっているから、上っての脱出も不可能。あと、残された可能性は……。どこかに仕掛けがあるのを見つけて脱出する。くらいか?案外、どこかドアみたいになってたりして。
 「破壊が無理なら、壁に何か仕掛けがあるかもしれない。今度は、壁をよく調べてみよう。」
 「……そうでございますね。壁に何か仕掛けがある可能性は高いと思われます。念入りに調べましょう。主様。」
 エリも同じ事を考えていたのか、俺達は壁を調べる事にした。
 
 そして、壁を調べ始めてしばらく経った頃、俺は不自然な鍵穴のような物を見つけた。
 「あ!エリ!!これ!これ、鍵穴じゃないか?」
 俺の声を聞き、エリは駆け寄ってくる。
 「素晴らしいです!主様!!まさしく、これは鍵穴でしょう!!クチュン!」
 エリはそう言い、くしゃみをした。
 「あとは……クチュン!。鍵を……クチュン!クチュン!!主様、クチュン!申し訳ございません。お見苦しい所をお見せして……クチュン!」
 エリは連続で可愛らしいくしゃみをする。無理もない。北国の極寒のダンジョン。濡れたままの服で居たんだ。くしゃみくらいするだろう。いや。くしゃみですんでいるからいい方だ。本来なら凍死しても不思議ではない状態。暖をとれる物があればいいのだが……。 
 そう、俺が周りを見渡した時、光る何かを発見した。
 お!もしや?鍵か??
 俺は、それを手に取った。しかし、それは鍵ではなかった。……これは、魔原石??光りが充填されてる?いや?火か??ど、どうして、こんな物が??
 いや、それを考えるより、まずは、暖をとる事の方が大事だろ。それと、服を乾かさねば。
 しかし、この小さな魔原石じゃ、暖をとる事は出来ない。でも、火種にはなる。あとは、薪とか燃える物が必要だ。あっ!そうだ!!濡れていない、シルバーフォックスの毛皮なんてどうだろう?薪みたいに長時間は燃えないかもしれないが……無いよりはマシだろう。
 「あ、主様?!ど、どうなさったのでございますか?クチュン!」
 そう思い、とっさに俺はエリの手を引いて、落ちて来た場所に戻った。
 
 
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