揚げ物、お好きですか?リメイク版

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確かなモノは闇の中……

確かなモノは闇の中……7

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 ここはエルフ界の天界。
 ゼウスは宙に映し出された、モニターを見ながら、満足そうに微笑み、何かを思案しているようだった。
 「ククク。いや~。やっぱ、人間とかにちょっかい出すとは面白かね~。ターニャって娘っ子にかけといた罠も見事に成功したし、ヤマトにかけた小細工も上手くいったばい。後は、ヤマトば、どんタイミングで天界へ連れて来っかたいね。どげんしようか……。どんタイミングが面白かかね~。」
 ゼウスはモニターをスワイプしながら、笑みを浮かべ。
 「おっ。ヤマト、発見♪」
 ヤマトを見つけたゼウスは更に笑みを深めるのだった。
 
 ああ!!やっちまった!!!
 俺は、セイラムの中心地に近いダンジョン『サイラムの洞窟』で、麗月を力任せに振っていた。
 怒りに任せて、イリアの家を飛び出し、疾風の靴でまさに風のように走りっ去ったのはいいが、俺には行くあてもない。
 王都に帰る手段もなく、がむしゃらに走って、遠くから見ても分かる明かりを目指す事にした。
 そして、たどり着いたのが、セイラム市の中心地。
 流石に、ここまでくればこの時間でも泊めてくれる宿があるだろうと思ってやって来たのだが、当然のごとく、ポケットの中には財布が無い。俺は金を持ってなかったのだ。
 金の無い俺は、仕方なくギルドへ向かってクエストを受けたのだった。
 ギルドカードも忘れていたけど、「忘れました。」の一言と、本当に冒険者ギルドに登録してあるのか確認のため、水晶に触らされる程度で良かった。
 それで、ダンジョンに入り、ダンジョンを進んでいる時に、急に思考、視界がクリアになった気がした。
 そして、今日の事を思い出した。
 で、今に至る。
 何で俺はあんなにカッとなったのだろう?
 裏切られた。ハメられた。嘘をつかれた。そんな事しか頭の中にはなかった。短絡的と言われても仕方の無い事だろう。
 は、恥ずかしい。
 少しはイリアの話を聞く余裕はなかったのか?
 確かに、嘘をつかれていた事には腹が立ったけど……。
 何も考えられないくらいに、ブチギレてしまうとは……。
 だいたい、冷静に考えれば、ゼウス様は女王様が俺に呪いかけたって言うけど、魔法じゃないのか?
 その魔法をかけたのは、俺の命を案じたからじゃ?
 イリアのお母さんも、小さい俺に魔法をかけてくれていたし。それが終わるまで外には出して貰えなかった。
 今考えれば、魔素の影響で人間の心臓じゃ、エルフ界では生きられないんだ。それを魔法で守ってくれていたんじゃないのか?
 少し考えれば、こんな事くらいは思い付くのに……。
 益々、恥ずかしくなり、麗月を振るう手は、更に雑になる。
 それでも、運が良いのか、モンスターが弱いのか、無傷でモンスターの群れを退ける事が出来た。
 とにかく、今日はクエストを終わらせ宿に泊まろう。もう、疾風の靴を使って戻る体力もないし、何時、疾風の靴に充填された魔力がきれるか分からない。
 まずは、余計な事を考えずに、モンスターに集中しよう。油断や余計な考えは命取りになる。
 何度か深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す事が出来た。
 戦闘に関しては、少し経験を積んだから落ち着く事が出来るようになったけど、日常生活では全く変わってなかった。そう反省しながら、俺は素早く、クエストを終える事に集中した。

 「『ピンクスパイダーの糸×5』確かに確認しました。クエスト、お疲れ様でした。」
 はぁ……。思ったより、厄介なモンスターだったなぁ。
 元の世界でよく見た小さなクモ。確か、ハエトリグモだったか?それくらい小さかった。
 広いダンジョンで見つけるのは、体の色がダンジョンには似合わないピンク色だった事もあって、見つけやすかったけど、麗月で斬るのは至難の業だった。すばしっこいし……。何より小さい。
 良かったよ。俺の『石ツブテ』と『必中』にホーミング機能が付いてて。普通に倒してたら、かなりの時間を要しただろう。踏み潰しても良かったのかもしれないが、よく知らないモンスターに迂闊な事をすると、痛い目を見そうだったしな。俺の判断は正しかったと思う。
 報酬も良かったし、魔石もあんな小さな体なのに、それに似合わない大きさの魔石を落とすとは……。やはり、ダンジョン、恐るべし。
 まあ、そのおかげで宿にも泊まれる金も手に入ったし、他のモンスターを倒して得た魔石やドロップアイテムを売って、疾風の靴に魔力を充填して貰えるだけの金も貯まっただろう。
 朝イチにでも出掛けて、出来るだけ早くイリアの実家に帰るとしよう。
 とりあえずは、宿を探すか。
 グゥ~~~。
 そう、考えがまとまった時、腹の虫がなった。
 思えば、今日はろくに食べた記憶がない。
 この時間からだと、酒場くらいしか開いていないし、宿で夜飯を出してくれるか分からない。店を探すのも疲れるし、宿も探さないといけない。この空腹感と戦うのも疲れたので、ギルドに併設してある酒場で夜飯を食べる事にしよう。
 そう思い、換金所から酒場に移動しようとした時、ギルドのドアが勢い良く開く。
 そして、そこには見慣れた顔の人物の姿があった。
 ララだ。息を切らし、ギルド内を見渡す。そして、俺と目が合った。
 「……っ!マスター!!」
 ララは勢い良く、俺の胸に飛び込んで来た。

 「あ?……あああああ!?」
 天界にゼウスの絶叫がこだました。
 そして、ゼウスはモニターを両手で掴み、モニターの中に顔を突っ込むのではないか?と思われるほど、至近距離でモニターを見つめて、呟き出した。
 「……わし、判断を誤ったんやなかろうか?ヤマトや他の者も術が解けて、正常に物事を判断出来るようになっとる……。ヤマトば、こっち側につけるには、術が解ける前にさらわんといかんとやなかったか?!これじゃ、普通に話し合って、ハッピーエンドやない??雨降って地固まるやなかか??ど、どぎゃんしよ。ヤマト達の反応が面白すぎて、やらかしてしもた。これじゃ、獣人移住計画もヤマトで楽しむ計画、両方とも駄目になるやなかか!?」
 ゼウスはモニターを掴んでいた手を離し、頭を抱える。そして……。
 「ええい!ままよ!!天使くん!」
 そう言い、モニターの中のヤマトを指差した。
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