揚げ物、お好きですか?外伝 勇者ララノア物語

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クエスト 山神様討伐

クエスト 山神様討伐 3

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 流石に山頂付近、風は強く、深夜の静寂とは無縁だと言わんばかりに、ガタガタと窓を叩く。
 そして、その窓を叩く音に紛れ込むように、寝室のドアの軋みながら開く音とヒソヒソと話す男達の声がした。

 「おい。本当にちゃんと寝ているのか?」
 「ああ。間違いない。ちゃんと、睡眠魔法の入った魔原石を設置してある。ちゃんと起動していれば、アイツ等は今頃、夢の中さ。」
 「なら、もう魔石灯を点けても大丈夫だよな。」
 「そうだな。大丈夫のはずだ……。」
 
 男達はおもむろに、自分の手に持った魔石灯に明かりを灯すよう命令する。
 そして、ベッドを確認した。
 膨らんだベッドを見て、男達は安心したように言う。

 「よし!アイツ等らちゃんと寝てやがる。」
 「ククク。やはり、勇者だからと言って、警戒するのは馬鹿馬鹿しかったな。所詮は子供よ。なんの疑いもせずに呑気なものだ。」

 そう言い、男達は手にナイフを持った。
 それぞれ、魔石灯でベッドの位置だけ最終確認し、魔石灯を投げやる。そして、それを慣れた手つきで布団の上から、刺した。自分でも刺した感覚が麻痺しているのではないかと言うくらいに、メッタ刺しにした。
 布団から飛び出した羽毛が薄明かりの中、舞い。男達は満足げに言う。

 「ハハハ。これくらい刺せばどんな奴でも、死んだだろ?」
 「そうだな。相手は勇者一行だからな。用心には用心だ。」
 
 しかし、満足そうな男達を見て、その背後から限界を超えたような怒りの声がした。

 「ねえ。あなた達、何やってるの?」

 まさに背筋の凍るような声だった。その声を出したナル本人が少し驚いたくらいだ。

 「な、なんで!?え?!ここに寝ていた奴は!?」
 
 男達は後ずさりし、尻餅をついて言った。

 「……そんなの……分かっているじゃない?……あなた達の村長……その馬鹿さ加減を見て……いれば、こんな事するくらい。でも……あなた達も……馬鹿だった。魔石灯は使うし……寝息の確認も……しない。睡眠魔法なんて……ある程度のレベルが……あればレジスト出来る事もあるのに……。それに……刺した感覚も分からないの?」

 ララは呆れて言う。
 そして、ナルはもう我慢出来ないと言わんばかり言う。

 「流石に自分が殺されそうになると、怒りしか湧いてこないわね。とりあえず、捕まえるわよ。ララ。」
 「うん……。『サンダーバインド』」

 雷撃を纏った鎖が、男達を拘束する。
 その衝撃に男達は悲鳴をあげる。

 「グガガガガ!!ゆ、許してくれ!!!」
 「ご、ごご、ごめんなさい!!!許して下さい!!」

 呆気なく、悲鳴を上げ、それを見たララ達は呆れかえった。

 「はあ。人の命奪おうとしておいて、呆気なく許してとか言わないでよ。根性ってないの?」
 「……覚悟が足りない。悪党の……風上にも置けない。私が会った……悪党……ランキング最下位。これなら……何が目的か……この村が何なのか……直ぐに吐くんじゃない?ナル……??」
 「そうね。どうなの?話すの?話さないの??」

 ナルは見渡し、男達に聞く。

 「は、話します!話させて頂きます!!」
 
 一人の男がそう言い、もう一人の男は何度も頷いた。

 「そう?ならいいんだけど……。何か釈然としないわね。」
 「仕方……ない。それだけ……薄っぺらい関係なんだよ。早く……はいて。」

 ララはそう言い、『サンダーバインド』に少し力を加えた。

 
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