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冥土の土産にパンケーキ

冥土の土産にパンケーキ編2

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 ふわふわのパンケーキ。果たしてどうしたものか……。
 普通の要領でパンケーキを焼いてみる。粉類はふるいにかけて。焼くときは型に入れて……。
 高さは出るものの、ふわふわ感が足りない。
 写真で見たのは、多分、スフレみたなパンケーキだろう。
 あのふわっとして口どけの良さそうなパンケーキを作るにはどうしたら良いものか……。
 先程焼いたパンケーキを食べながら考える。
 「京ちゃん。頑張ってる?」
 姉さんはお風呂上がりに髪を拭きながらやってくる。姉とは言え、お風呂上がりの女性はいい匂いがする。着てる服も薄着だし、何より姉さんは巨乳と言うやつなのだ。目のやり場に困るし、嫁入り前の娘が……正直、困る。あ、娘って歳ではないか。
 冷凍庫の中からアイスを取り出し、僕の横に座り食べながら言う。
 「あら。見た目はふわふわね~。一口ちょ~だい。」
 「いいよ。」
 僕は目のやり場に困るので、皿を差しだそうとしたが、姉さんは「あ~ん」と口を開けて待っている。
 なぜ、僕が「あ~ん」を姉さんにしなければならない。
 「自分で食べなよ」
 僕の言葉に何事も無かったかのように「あ~ん」を繰り返す。
 根負けした僕は口の中にパンケーキを入れてあげる。
 「うん。おいし~。……けど。何か違うよね~。あの写真のはもっと軽そうだったし。スフレっぽかったよね。」
 姉さん。流石に鋭い。僕と同じ意見に達している。
 「僕もそう思うんだけど、どうしたら良いと思う?」
 僕の問いかけに姉さんは少し考えて口を開いた。
 「スフレぽくしたいなら、あまり考えずに、取りあえずスフレのチーズケーキ作ったりするみたいに、卵黄と卵白を分けて、卵白をメレンゲ状にしてみたらどうかな?」
 あっ、なる程。それならスフレみたいになるかもしれない。姉さん、料理出来ないのに、こういう所は鋭いんだよな。
 僕は早速、卵黄の方に粉などを混ぜ、メレンゲを作り、スフレチーズケーキを作る要領で数回に分けてメレンゲと卵黄の方を混ぜて、型に入れて蓋をして蒸し焼にした。
 焼けあがったとほぼ同時に、自室で髪を乾かした姉さんはがもう一度、厨房にやってくる。
 「わぁ。今度のは凄くふわふわね。」
 「食べる?」
 僕は口に運ぼうとしたフォークを止めて、姉さんに聞く。
 「うん!」
 姉さんは嬉しそうにそう言い、また目を閉じて口をあ~んと開けた。
 はいはい。分かりましたよ。そのまま姉さんの口にパンケーキを入れた。
 「あら!さっきよりも軽くてふわふわ。美味しいわ~。」
 姉さんは幸せそうな顔をして、また口をあ~んと開ける。結局、全部食べられてしまった。
 ベースはこれでいいだろう。後はもう少し試してみよう。
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