釣りはじめました

ツ~

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出逢いは突然に、だけど必然に?

出逢いは突然に、だけど必然に?19

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 「このお椀の蓋に入れますね~。」
 古木さんは汁物のお椀に、海鮮丼をよそってくれた。
 ぐぬぬ。
 あ~ん。イベントは呆気なく幻に消えてしまった。
 僕は悔しかったのだろうか?顔に出ていたらしく。
 「瀬高さん。どうかしましたか?」
 そう、古木さんに心配されてしまった。

 昼食も食べ、少しマッタリと休憩もしたので、釣り場へ行くことにした。
 ヨシさんや島田社長が前にオススメしてくれたポイント。マップを見る限りでは、風裏になるはずなんだけど……果たして釣りは出来るだろうか?
 そう思いながら、車を少し走らせる。
 そして、ポイントへ到着した。
 風は少しあるけど、釣りが出来ない訳ではないみたいだ。釣り人もあまり居ない。
 良かった。ロッドを出す間もなく、牛深から撤退する事にならなくて。
 「古木さん。風は少しありますけれど、釣り出来そうなので、やってみましょう。」
 「はい!良かったです。釣りが出来て。」
 僕達は早速、用意をして釣ってみる事にした。
 時間的には満潮前2時間。
 タイニング的には良いと思うんだけどな。
 まあ、まずは投げてみよう。 
 今年最後、釣り納め!いざ!!
 ……。
 ………。
 ……………。
 異常なし。
 古木さんの方にも、異常なし。
 とりあえず、焦らずやろう。時間もあるし。
 しかし、アタリは無く、時間だけが過ぎていった。
 
 気がつけば、外灯にも明かりが灯っていた。
  「……釣れませんね。」
 「……そうですね。」
 僕の問い掛けに古木さんも力無く答える。
 もうそろそろ、晩ご飯を食べてもいい時間帯なのだけれど、古木さんはまだ釣りたい。と粘っていた。
 確かに干潮まで、ここで僕ももう少し、粘っても良いように思えた。風は止む事もなく、弱まる事もない。他に釣れそうな場所は思い浮かばない。ご飯を食べに行っている間に場所を失う可能性だってある。外灯も灯って、これから外灯に寄ってきた小魚をアオリイカが食べに来る可能性もあるし……。
 これでいいのか?と思う事もあるけど……。それでも、古木さんがやりたいようにしてあげるのがベストだろう。
 そう思って、ロッドを振り続ける事、1時間。
 ようやく、待望のアタリが古木さんにやってきた。
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