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3,6-ジオールジアセテートホリック
5 嗜好品と代替品
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それからというもの、俺は打ってはウつを繰り返していた。
雀荘で巻き上げ、雀荘でウち、雀荘で落ちた。俺は、本来の家に帰ることがなくなっていた。元々、親父とは会っていなかったのだから一緒だ。
俺の生活から買うという行為は無くなった。ヤク仲間の花村には何度か、セックスを望まれたが、そんな時はいつも快楽にまみれていた。クソったれ。花村はヤク慣れしすぎだ。快楽に快楽を重ねようとしてきやがる。ただ、シラフならやってただろう。禁断症状から来るゲロにまみれてでもな。
それぐらいにはいい女だ。
俺の生活の輪廻の中には、嘔吐が含まれる。これがヘロインがクソたる所以だ。
結果うまく付き合えない。ゲロがヘロインを呼びヘロインがゲロを呼ぶ。そんなんだから、フリー対局で毟り取った金のほとんどは、雀荘に振り込んだ。
この負のスパイラルから抜け出すのは難しい。何度もやめようと思ったが、その度に快感と悪寒が、両足首を切り刻む。俺は抜け出せなかった。アキレスでも無理だろう。
「ロン。」
花村だ。また振り込んだ。今日は調子が悪い。いつものように12時を超え、分厚いカーテンが閉じられる。マイナス63。俺は、財布の中のありったけをぶちまけた。
清算をすませると花村は、上家下家を返した。
「いつもの用意してくれよ。瑠夏。」
俺は、花村にいつものように、ドラッグを求める。
「ダメよ。貢今日お金持ってないし、客の刑事に聞いてるの。近々ガサがあるからって。だから全部売りに出したのよ。」
俺と花村はそれぞれ名前で、互いに瑠夏、貢と呼ぶような仲になっていた。但し、麻雀と、ヤクと、金については完全にフラットな関係を保っていた。
「今ないだけで金ならあるって。つけといてよ。」
「ツケは無しよ。それに本当にないのよ。」
そろそろ極度の頭痛と、胸焼けが押し寄せてくる。
「頼むよ瑠夏!悪寒がそこまで迫ってるんだ!」
俺は、雀卓に頭を押しつけながら花村に懇願する。頼む。これを止めるのはウつしかないんだ!俺は、声にもならない懇願を続ける。正直、7割近くがお願いの為でなく、少しでも嗚咽を回避するために頭を卓に下ろしている。
残りの3割の嘆願の行く末を見るために少しだけ頭をあげる。花村もまた、自律神経を空っぽのヘロインに擽られて、一個奥の卓に突っ伏しているのが見えた。
「わたしもキツいのよ……」
その言葉に、本当にないことを確信した。
「とにかくガサ入れが入る以上この店には置けないわ。」
「それでも、頼むって!」
俺は、無理だとわかっている癖に圧力をかけるように言う。限界だ。前に突っ伏してるのすら辛くなり、後ろのソファに倒れこむと滲み出た汗がその皮にぼたぼた落ちる。ソファの表面は一気に濡れて、俺の体を滑らせた。
ソファから落ちないようにもがいていると、花村がのろのろと近づいてくるのが、俯瞰で見えた。花村も、俺と同じようにソファに座ると、滑る俺にしがみつくようにした。
「ねえ、いいでしょ。」
花村が、聞いてくる。求めてくるときはいつも決まってヤクをやってないときだ。
確かに今日はヤクをやってないから、イチモツはちゃんと性的興奮を起こすだろう。しかし、俺の体調では、至るところから体液が出そうだ。
「吐きそう。吐くかもよ。」
「いいよ。お互い様よ。」
花村は、手当たり次第の快楽に手を出す癖がある。たとえ、その後のリバウンドが来ようとも。
脈拍と同じ速度で、禁断症状が押し寄せてくる。
俺は、少しでもこの気怠るさを紛らわすために性行の快楽に手を出すことに決めた。
「了解。」
そう俺がいい終わる前に花村は、自分の口で俺の口を塞ぐ。これが接吻だと言うことには気づくのに少し時間かかった。それぐらいに上手かった。
口を当てがいあいつつ、互いに下着のその下を弄る。もう限界だ。
俺は花村の服を乱暴に剥ぎ取ると、のしかかり、アナめがけて挿入した。
互いの汗と、唾液と、溢れる陰部の液で皮のソファーは、ぐしょぐしょだった。特別なローション。どこにも売ってないやつだ。
さらに激しく上下運動を続けると、ヌルヌルとしたソファーを滑り共々地面に落ちる。
結合部は外れ、叩きつけられた地面から起き上がると、花村とお見合いになった。自分が肩で息をしているのと同期しても花村も動いているのが見て取れる。
今度は地面に這いつくばった花村を裏返しにして、一番自然に近い、本能のポジションでもう一度挿し入れた。
ほぼ痙攣で動き、それに合わせて目の前の90のヒップが踊り狂う。もう止めれない。
自動的なピストン機構に耐えきれず、無数のオタマジャクシは勢いよく飛び出した。
向かう先は、虚しくも高分子化学の結晶の中。ゴムの中だった。
出すと直ぐに色欲の快楽にかき消された、ヤクの禁断症状が戻ってくる感覚が俺を襲う。俺は、遠慮なく、花村の背中めがけて嘔吐した。花村は、地面に向かって嘔吐した。
「ごめん……背中のつもりじゃなかったんだ……」
「そのつもりだったんだからいいのよ。」
時に、粗相に対しては赦す方が残酷だ。
さっきまでの理性をしめ殺したセックスと今の生理現象的嘔吐は、理性を極限まで大きくしたうえ俺の元へ飛び込んできた。
「ごめん……ごめん……」
こういう精神的疾患も、ヘロインの影響なのだろう。ちょっと、花村と一緒にいるのは気まずい。今日は、久々実家に帰ろう。
「今日は家戻るわ。」
「わかったわ。」
花村をふと見ると、同じように気まずそうにしている。もはや俺らの意思ではなく、ヘロインの意思だ。
ふと時計を見ると、朝に差し掛かっていることに気づいた。今から帰ると、親父と合致合うが、このままここにいるよりマシかもしれない。
俺は、卓に乗った乾いたおしぼりで顔と下半身を拭く。間違えて、下半身を先に拭いちまった。
俺は服を着て、雀荘を後にした。
雀荘で巻き上げ、雀荘でウち、雀荘で落ちた。俺は、本来の家に帰ることがなくなっていた。元々、親父とは会っていなかったのだから一緒だ。
俺の生活から買うという行為は無くなった。ヤク仲間の花村には何度か、セックスを望まれたが、そんな時はいつも快楽にまみれていた。クソったれ。花村はヤク慣れしすぎだ。快楽に快楽を重ねようとしてきやがる。ただ、シラフならやってただろう。禁断症状から来るゲロにまみれてでもな。
それぐらいにはいい女だ。
俺の生活の輪廻の中には、嘔吐が含まれる。これがヘロインがクソたる所以だ。
結果うまく付き合えない。ゲロがヘロインを呼びヘロインがゲロを呼ぶ。そんなんだから、フリー対局で毟り取った金のほとんどは、雀荘に振り込んだ。
この負のスパイラルから抜け出すのは難しい。何度もやめようと思ったが、その度に快感と悪寒が、両足首を切り刻む。俺は抜け出せなかった。アキレスでも無理だろう。
「ロン。」
花村だ。また振り込んだ。今日は調子が悪い。いつものように12時を超え、分厚いカーテンが閉じられる。マイナス63。俺は、財布の中のありったけをぶちまけた。
清算をすませると花村は、上家下家を返した。
「いつもの用意してくれよ。瑠夏。」
俺は、花村にいつものように、ドラッグを求める。
「ダメよ。貢今日お金持ってないし、客の刑事に聞いてるの。近々ガサがあるからって。だから全部売りに出したのよ。」
俺と花村はそれぞれ名前で、互いに瑠夏、貢と呼ぶような仲になっていた。但し、麻雀と、ヤクと、金については完全にフラットな関係を保っていた。
「今ないだけで金ならあるって。つけといてよ。」
「ツケは無しよ。それに本当にないのよ。」
そろそろ極度の頭痛と、胸焼けが押し寄せてくる。
「頼むよ瑠夏!悪寒がそこまで迫ってるんだ!」
俺は、雀卓に頭を押しつけながら花村に懇願する。頼む。これを止めるのはウつしかないんだ!俺は、声にもならない懇願を続ける。正直、7割近くがお願いの為でなく、少しでも嗚咽を回避するために頭を卓に下ろしている。
残りの3割の嘆願の行く末を見るために少しだけ頭をあげる。花村もまた、自律神経を空っぽのヘロインに擽られて、一個奥の卓に突っ伏しているのが見えた。
「わたしもキツいのよ……」
その言葉に、本当にないことを確信した。
「とにかくガサ入れが入る以上この店には置けないわ。」
「それでも、頼むって!」
俺は、無理だとわかっている癖に圧力をかけるように言う。限界だ。前に突っ伏してるのすら辛くなり、後ろのソファに倒れこむと滲み出た汗がその皮にぼたぼた落ちる。ソファの表面は一気に濡れて、俺の体を滑らせた。
ソファから落ちないようにもがいていると、花村がのろのろと近づいてくるのが、俯瞰で見えた。花村も、俺と同じようにソファに座ると、滑る俺にしがみつくようにした。
「ねえ、いいでしょ。」
花村が、聞いてくる。求めてくるときはいつも決まってヤクをやってないときだ。
確かに今日はヤクをやってないから、イチモツはちゃんと性的興奮を起こすだろう。しかし、俺の体調では、至るところから体液が出そうだ。
「吐きそう。吐くかもよ。」
「いいよ。お互い様よ。」
花村は、手当たり次第の快楽に手を出す癖がある。たとえ、その後のリバウンドが来ようとも。
脈拍と同じ速度で、禁断症状が押し寄せてくる。
俺は、少しでもこの気怠るさを紛らわすために性行の快楽に手を出すことに決めた。
「了解。」
そう俺がいい終わる前に花村は、自分の口で俺の口を塞ぐ。これが接吻だと言うことには気づくのに少し時間かかった。それぐらいに上手かった。
口を当てがいあいつつ、互いに下着のその下を弄る。もう限界だ。
俺は花村の服を乱暴に剥ぎ取ると、のしかかり、アナめがけて挿入した。
互いの汗と、唾液と、溢れる陰部の液で皮のソファーは、ぐしょぐしょだった。特別なローション。どこにも売ってないやつだ。
さらに激しく上下運動を続けると、ヌルヌルとしたソファーを滑り共々地面に落ちる。
結合部は外れ、叩きつけられた地面から起き上がると、花村とお見合いになった。自分が肩で息をしているのと同期しても花村も動いているのが見て取れる。
今度は地面に這いつくばった花村を裏返しにして、一番自然に近い、本能のポジションでもう一度挿し入れた。
ほぼ痙攣で動き、それに合わせて目の前の90のヒップが踊り狂う。もう止めれない。
自動的なピストン機構に耐えきれず、無数のオタマジャクシは勢いよく飛び出した。
向かう先は、虚しくも高分子化学の結晶の中。ゴムの中だった。
出すと直ぐに色欲の快楽にかき消された、ヤクの禁断症状が戻ってくる感覚が俺を襲う。俺は、遠慮なく、花村の背中めがけて嘔吐した。花村は、地面に向かって嘔吐した。
「ごめん……背中のつもりじゃなかったんだ……」
「そのつもりだったんだからいいのよ。」
時に、粗相に対しては赦す方が残酷だ。
さっきまでの理性をしめ殺したセックスと今の生理現象的嘔吐は、理性を極限まで大きくしたうえ俺の元へ飛び込んできた。
「ごめん……ごめん……」
こういう精神的疾患も、ヘロインの影響なのだろう。ちょっと、花村と一緒にいるのは気まずい。今日は、久々実家に帰ろう。
「今日は家戻るわ。」
「わかったわ。」
花村をふと見ると、同じように気まずそうにしている。もはや俺らの意思ではなく、ヘロインの意思だ。
ふと時計を見ると、朝に差し掛かっていることに気づいた。今から帰ると、親父と合致合うが、このままここにいるよりマシかもしれない。
俺は、卓に乗った乾いたおしぼりで顔と下半身を拭く。間違えて、下半身を先に拭いちまった。
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