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レウキッポスの禁秘たちの略奪
25 アンパンと牛乳
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アンパンの替わりはピザだとして、牛乳の替わりは何だろうか。ヤクまみれのコーラとか、ペプシなんかはあるが飲んだら最後、今日1日は戻ってこれない。だから却下。でも他に選択肢が見当たらないから、瑠夏に取り繕ってみる。いろんなもん隠し持ってんだろ。
「瑠夏、なんかない?飲むもん。」
「持ってないわよ。急かされたから……。」
こういう時に限って、なにもねえのかよ。なにか、なにかねえのか。ピザに合わせる。飲み物。なにか。ビールとか、タイのシンハーかメキシコのコロナがいい。
「ありますよ。ヤクはないけど合法のやつなら。」
進藤が、そういって、大きめのカバンからビールを取り出す。ハートランドにプレミアムモルツ、それにグリーンラベルのラインナップ。ワンカップばっか飲んでる爺みたいなセンスのチョイスには目を瞑った。ラガー欲しいのにあるのは、発泡酒のみ。脱税酒なんてダサくて飲めねえから、仕方なくハートランドに手を伸ばした。
栓抜きなんてないから、ポッケから10円玉を取り出して、王冠のひだを一個一個伸ばしていく。10円玉を王冠に引っ掛けるたびに、金属が擦り合う感覚が指先を伝う。体の先から削れていく気がした。
ひだを順番に伸ばしていくと、4、5個で王冠がグラグラ言い始めた。
六つ目を伸ばすと同時に王冠を上の引き上げてやった。王冠は、空中で回転しながら車の天井へ着く。念願のビールとのご対面だ。
喉を通り越し、勢いをつけて食堂をビールが通る。エールビールのよく言えば濃い、悪く言えばくどい感覚が、胃の中で大洪水。ついでに削れた指先が、溶質のハートランドへ溶けてゆく。偵察?知ったことか!
前後左右に頭がふれて視覚からの情報が高速回転する。体裁上、車上からフロントガラスの向こう側を偵察するも、情景の変化には気づけなかった。
「あいつ、出ていくよ。」
あいつ、潜入した時に重役ぽかったやつ。唯一俺の顔をインプットしてるやつだ。あいつが出てって、見えなくなったところが、スターターピストルをブッ放すタイミングだ。
あいつは、事務所を出て直ぐ、ドアトゥードアで、黒のマジェスタの後部座席へ乗り込む。踏ん反り返ってやがる。油断というか、慢心というか。とにかく、黒マジェスタは、ぐるっと回って、遠ざかって行く。我らが、黒ダイナの横をすり抜け、続く直線を快速に飛ばしていった。
パァン。引き金は、手前に押し込まれた。引かれた。弾丸のように、スライドドアを開口方向へぶつけ、バックドアまでくるっと反転。後ろを開けて、台車に詰めるだけ積みまくった。結局、ピザには手を出してないから10割残ってやがる。それでも店で使ったクソ台車じゃなくって、でかいやつを用意した。のっけれるのは倍以上。予想通り、4割のピザを残して、他全ては積んだ。
特にジュースは、気をつけて運ぶぞ。ピザはついでに気をつける。胸ポッケに忍ばせたポータブル録音機の電源をつけて乗り込みにいく。あいつさえいなきゃ、俺なんて誰も覚えていない。大丈夫。大丈夫だ。
安全な道の車から事務所の間は、なんなくクリア。こっからが勝負で、ドアを叩いて空いてるのを知ってるドアを開ける。勢いよく開けちまったから、中のやつらがびっくりしてこっちを見ていた。こういう時こそ、堂々と、太々しく、堂々と。一言だけ言う。
「ピザの宅配です。」
「瑠夏、なんかない?飲むもん。」
「持ってないわよ。急かされたから……。」
こういう時に限って、なにもねえのかよ。なにか、なにかねえのか。ピザに合わせる。飲み物。なにか。ビールとか、タイのシンハーかメキシコのコロナがいい。
「ありますよ。ヤクはないけど合法のやつなら。」
進藤が、そういって、大きめのカバンからビールを取り出す。ハートランドにプレミアムモルツ、それにグリーンラベルのラインナップ。ワンカップばっか飲んでる爺みたいなセンスのチョイスには目を瞑った。ラガー欲しいのにあるのは、発泡酒のみ。脱税酒なんてダサくて飲めねえから、仕方なくハートランドに手を伸ばした。
栓抜きなんてないから、ポッケから10円玉を取り出して、王冠のひだを一個一個伸ばしていく。10円玉を王冠に引っ掛けるたびに、金属が擦り合う感覚が指先を伝う。体の先から削れていく気がした。
ひだを順番に伸ばしていくと、4、5個で王冠がグラグラ言い始めた。
六つ目を伸ばすと同時に王冠を上の引き上げてやった。王冠は、空中で回転しながら車の天井へ着く。念願のビールとのご対面だ。
喉を通り越し、勢いをつけて食堂をビールが通る。エールビールのよく言えば濃い、悪く言えばくどい感覚が、胃の中で大洪水。ついでに削れた指先が、溶質のハートランドへ溶けてゆく。偵察?知ったことか!
前後左右に頭がふれて視覚からの情報が高速回転する。体裁上、車上からフロントガラスの向こう側を偵察するも、情景の変化には気づけなかった。
「あいつ、出ていくよ。」
あいつ、潜入した時に重役ぽかったやつ。唯一俺の顔をインプットしてるやつだ。あいつが出てって、見えなくなったところが、スターターピストルをブッ放すタイミングだ。
あいつは、事務所を出て直ぐ、ドアトゥードアで、黒のマジェスタの後部座席へ乗り込む。踏ん反り返ってやがる。油断というか、慢心というか。とにかく、黒マジェスタは、ぐるっと回って、遠ざかって行く。我らが、黒ダイナの横をすり抜け、続く直線を快速に飛ばしていった。
パァン。引き金は、手前に押し込まれた。引かれた。弾丸のように、スライドドアを開口方向へぶつけ、バックドアまでくるっと反転。後ろを開けて、台車に詰めるだけ積みまくった。結局、ピザには手を出してないから10割残ってやがる。それでも店で使ったクソ台車じゃなくって、でかいやつを用意した。のっけれるのは倍以上。予想通り、4割のピザを残して、他全ては積んだ。
特にジュースは、気をつけて運ぶぞ。ピザはついでに気をつける。胸ポッケに忍ばせたポータブル録音機の電源をつけて乗り込みにいく。あいつさえいなきゃ、俺なんて誰も覚えていない。大丈夫。大丈夫だ。
安全な道の車から事務所の間は、なんなくクリア。こっからが勝負で、ドアを叩いて空いてるのを知ってるドアを開ける。勢いよく開けちまったから、中のやつらがびっくりしてこっちを見ていた。こういう時こそ、堂々と、太々しく、堂々と。一言だけ言う。
「ピザの宅配です。」
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