受付バイトは女装が必須?

なな

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第9部:可愛がられる私、装われる日々

第四章:河合の嫉妬、そして肯定

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「おそろい、だったんだ」

河合はソファの背にもたれたまま、淡々とした声で言った。

その横に、なおは正座して座っていた。
デートから戻ったばかりの部屋。
靴も脱がぬまま、おそるおそる──“あの話”を切り出した。

「……あの……今日、真帆さんと美月さんと……ランジェリーショップに行って……」

「うん」

「三人で……同じシリーズの下着、試着して……」

「ふうん」

声のトーンは変わらない。けれど、空気が、微かに重くなった気がした。

なおは喉を詰まらせる。
黙っていても良かった。でも、それでは“私”として信じてもらえない気がして──言った。

「……見られました。身体のラインとか、谷間とか……褒めてもらって……」

「それは、嬉しかった?」

「……はい」

数秒の沈黙。

そのあと、河合は立ち上がった。
なおの手を取り、玄関へ。鍵をかけ、電気を落とす。

部屋に残ったのは、ソファの灯りだけ。

「立って」

言われるがままに立つと、スカートの裾をそっと持ち上げられた。
コルセットの下に見えるのは──さっきの、おそろいのショーツ。

「……ふうん、これか」

指先がレースをなぞる。

「美月さんたちと、“おそろい”なんだ」

「……っ、は……い……」

「なおは、誰のもの?」

その問いに、思考が止まった。

河合の手が、ショーツのクロッチをなぞる。
装備の下、貞操具がかすかに冷えていた。

「僕の恋人でしょ?」

「はい……そう、です」

「だったら、ちゃんと覚えてて」

河合は、なおの首もとに指を添えた。
そこに、今日の鍵が一つ、リボンに通されていた。

「誰に装備されて、誰に守られて、誰のために下着を穿いてるのか」

「……あなた、です……」

「うん。それでいい
 …ちょっと嫉妬しちゃったのかも。……他の人に、“可愛がられるなお”を見るのって」

「……でも、私、ちゃんと……あなたに見てほしかった、から……言ったんです」

「うん。ありがとう。偉いね」

その言葉は、褒美のようだった。

河合は、なおのブラのストラップに指をひっかけて、そっと引いた。

「じゃあ……その下着、今日は僕のために脱ごうか」

なおは、静かに頷いた。
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