会社員の女装と緊縛

なな

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第22章:ふたつの顔

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朝のオフィス。陽菜は、いつも通り男性社員としてスーツを着て出社していた。

ネイビーのジャケット。シンプルなシャツとネクタイ。
ぱっと見には、どこにでもいる地味な若手社員。

——けれど。

スラックスの下、太ももには細く結ばれた一本の縄。
ワイシャツの下には、薄いベージュのブラジャー。
そして、股間にはまだ外されていない貞操具が、静かに存在感を主張していた。

誰にも気づかれていない。

……はずなのに。

「ねえ、最近ちょっと変わったよね、西山くん。なんか……雰囲気が柔らかいっていうか」

「そうそう。なんか色っぽいっていうか……仕草?目線?」

同僚たちの言葉が耳に入るたび、陽菜の鼓動が跳ねる。

(バレてない……でも、見られてる……)

その背徳感が、また体の奥をじんわり熱くする。



昼休み、市川からメッセージが届く。

 「今日はちゃんとブラのレースが浮き出ないようにしてる? 今夜はご褒美よ。いい子で過ごして」

陽菜は自販機の前で、スマホを見つめながら小さく震えた。



会議中。資料に目を通すふりをしながら、下着の締め付けを意識する。
座ったとき、縄の結び目が太ももの内側にそっと擦れる感覚。
誰にも言えない。誰にも知られたくない——けど、どこかで「見てほしい」とも思ってしまう。

そのギリギリの線を、陽菜は一日中綱渡りしていた。



帰り道、待ち合わせのカフェに現れた市川は、スーツ姿の陽菜を見るなり微笑んだ。

「いい表情になったわね。女としての秘密を抱えてる男の子って、最高に魅力的よ」

陽菜は恥ずかしそうにうつむいた。

「……会社で、女の子みたいって言われました」

「それは褒め言葉。もっと可愛くなりましょう。もっと深く、調教を進めていくわよ」

市川の声は甘く、鋭かった。

(もう、戻れないかもしれない……)

けれど陽菜は、その不安さえも快感に変わっていく自分を、確かに感じていた。
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