お見合い相手がAIかと思ったら、慇懃部長でしたが、なぜか今、溺愛されています

加茂茶 芽衣

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4 モモンガの襲来

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 ここは、とあるバーチャルお見合い会場。
 今、私は、ここに全てを掛けている。

 今日は、待ちに待った日、お見合いの日。
 テーマは、『ともに何かをつくること』だった。

──だが、この状況で、一体何を作れと言うんだ?

 パソコンの画面で私の分身(ラブちゃん)を操作しながら、会場を歩き回る。

 私は、正直に自分のアバターを作ったつもりだ。身長、年齢、体重、学歴、年収、趣味など、まあ、趣味は料理と読書にしておいた。料理は得意ではないけれども、自炊をしているから、料理でいいかなと。パソコン上だし軽い気持ちでいいんだよね。

 それにしても、プロフィールの若い女子が多いな。みんな見た目は同じだけど。ホントにみんな若い子たちなんだろうか?若さがあるなら、わざわざここじゃなくても、見つけられそうなものだが。

 ログインして10分後、一人の男性とマッチした。

 彼は年収2000万の会社経営者、会話をしてみるが、いまいち価値観が合わない。求めるクオリティーが高過ぎる。若ければ若いほどいいって、それじゃあ私は始めたら対象外じゃないの?なぜ32の私とマッチしたのか?

 次は年収1500万のIT社長さんだった。次は2000万を目指しているとか。ただ家事に完璧さを求められてもちょっと困る。やっつけ仕事の私には到底無理だ。

 それから、2、3人とお見合いをしてみるが、いまいちピンと来ない。

『どうしよう……』

 この最後の人とお見合いしてみてダメだったら、諦めよう、そう思っていた。

 そして出会ったのは年収1000万の会社役員(モモンガさん)だった。この中では一番安い年収。だが何故か話していて波長が合う。不思議と初めて会う気がしないのだ。特に、料理で話が弾む。

「僕は料理が趣味で、一緒に出来る人探していました。」
「料理が趣味なんですか?凄いですね。それでは、料理は普段からされているんですか?」
「僕は家では専ら自炊なんです。特に中華が好きで、特に餃子づくりが得意で。一緒に餡を包んでくれる人が理想なんです。」

 私はプロのような料理は無理でも、家庭料理程度は出来る。私も、餃子は大好きだ。一人暮らしの私が作るのは、専ら味のMの冷凍餃子なんだが。だが、子供の頃、母を手伝って餃子を詰めていた私には、その一つ一つ手間暇かけて作る餃子の大変さが分かる。それを手料理なんて、理想の旦那さまではないか。

 『ま、まぶしいぞ。まさかAIではないよね……』

「モモンガさん、手作りなんて、凄いです。餃子には、やっぱり、酢と醤油ですよね。」
「それも、いいけど、意外と酢と胡椒とラー油もさっぱりして美味しいですよ。」
「へえー」

 話しているうちに、モモンガさんも、動物好きで猫を飼っていることが分かった。読書が趣味で、休みの大半を自宅で過ごすインドア派だが、実は仕事の前には、体力づくりにジムへ通うという意外と堅実な面もある。

「意外です。これだけ素敵な方なら、わざわざここに参加しなくてもモテそうなのに……」
「それが、全くなんです。ラブさんこそ、実はモテるんじゃないですか?」
「えー、そんなことは、私はもう年なので……」
「そんなことはないですよ、ラブさんは素敵です。それに年というなら、僕も一緒ですよ。あの……」



 それから、連絡先を交換し、今日は初めてモモンガさんと会う約束の日なのだが、まだモモンガさんは来ていないみたいだった。

 ここは駅前の有名な待ち合わせスポット。

 目印は、ピンクの猫。

 私は、ピンクの猫型の揺れるピアスをしている。分かるようにと、なるべく目立つ奴にしてきたのだが。この年でこれは少し派手だったかもしれない。周りの視線がちょっと痛い。

 気を取り直し、
 「えっと、モモンガさんの目印は、どこにいるのだろう」かと、見渡してみる。見ればすぐ分かると言っていたが、どこだろう。

 『えっ、まさか……』

 あの見慣れない物体は、そんなわけはない。私は、もう一度注視する。

 『う、うそでしょ……、なんで、信じられない。』

チリン、

 今、私の目の前を、猫にこれ見よがしにピンクのリードをつけて散歩させている佐々木部長が通り過ぎたのだった。

 これ、Alじゃないよね。

つづく

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