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第十二話 最初の取り立て
第十二話 最初の取り立て
王宮へ届けられたその書状は、見た目だけならひどく静かなものだった。
上質な紙に、乱れのない筆跡。
封蝋にはヴァルモン公爵家の紋章。
過剰な飾りはなく、威圧のための大仰さもない。
だが、だからこそ重かった。
それは感情に任せた抗議文ではない。
泣き言でもなければ、怒鳴り込む代わりの脅しでもない。
公爵家が、正式な案件として王家へ差し出した文書だった。
朝の執務の時間、王宮の文官がその封書を受け取った時点で、部屋の空気はわずかに変わった。
「ヴァルモン公爵家より」
その一言だけで、居合わせた数人の顔色がかすかに固くなる。
やはり来たか。
そんな思いが、誰の胸にも浮かんでいた。
婚約破棄そのものよりも、その先だ。
ヴァルモン家がどう出るか。
王宮の実務に関わる者ほど、そこを恐れていた。
文官は中身を確認し、すぐに上へ回す判断を下した。
宰相府を経て、国王付きの政務官へ。
そこからさらに、王太子本人にも通されることになる。
そしてほどなく、王太子宮の一室で、その文書は読み上げられた。
エドガーは朝から機嫌が悪かった。
前日までに積み上がった「届かない」「止まった」「確認待ちだ」という報告の山が、彼の苛立ちをすでに限界まで引き上げていたからだ。にもかかわらず、今朝もまた文官が重い顔で現れた時点で、ろくな話ではないと分かっていた。
「何だ」
椅子へ深く腰掛けたまま、エドガーが吐き捨てるように言う。
文官は一礼し、紙を広げた。
「ヴァルモン公爵家より、正式な通知でございます」
「またか」
「婚約破棄に伴う諸手続き、および請求に関するものです」
エドガーの眉がぴくりと動いた。
「請求?」
文官は慎重に文面を読み上げる。
「王太子エドガー・ルーヴェン殿下が、卒業舞踏会の公衆の面前において、エルシェナ・ヴァルモン嬢との婚約を一方的に破棄し、かつ名誉を著しく毀損した件につき――」
「待て」
エドガーが不機嫌そうに手を振る。
「くどい前置きはいい。要点を言え」
「……婚約破棄に伴う違約金、ならびに名誉毀損、公爵家の信用損壊に対する補償請求が正式に行われております」
室内が静まり返った。
控えていた侍従たちも、さすがに一瞬だけ息を止める。
エドガーは数拍遅れて、笑った。
「は?」
それは愉快だからではなく、あまりに予想外で笑うしかなかった顔だった。
「私に、請求だと?」
「はい」
「誰が?」
「ヴァルモン公爵家が、でございます」
「そんなことは聞いていない!」
思わず声を荒らげる。
「金額は!」
文官は目を落とし、淡々と答えた。
「婚約違約金、式典準備に関わる諸経費、名誉毀損による信用損害、公爵家の対外的体面を傷つけたことに対する補償金……合算で、かなりの額になります」
“かなり”では曖昧だとエドガーは苛立ったが、読み上げられた具体的な数字を聞いた瞬間、その苛立ちは言葉を失う形で止まった。
「……馬鹿な」
口からこぼれたのは、その一言だった。
額が大きすぎた。
単なる婚約解消の慰謝料ではない。家と家との契約を一方的に壊したうえ、公衆の面前で相手を断罪し、公爵家そのものの信用に傷をつけた。その結果として積み上げられた金額は、エドガーが思っていた“少し怒っている婚約者”の範囲をはるかに超えていた。
「こんなもの、認められるはずがない!」
エドガーが立ち上がる。
「婚約をやめたのは私だ! あの女に非があったからだろう!」
文官は頭を下げたまま答える。
「その“非”について、正式な証拠は提示されておりません」
「証拠?」
「はい。義妹君への虐待、婚約者への不当な圧力、不品行――昨夜、殿下が挙げられた事由はすべて、現時点では公的な立証を欠いております」
その言い方は、あくまで職務上の確認だった。
だが中身は辛辣だ。
つまり、昨夜の断罪は法的にも契約上にも何の裏付けもない、ただの感情的な糾弾として扱われているということだった。
「……っ」
エドガーの顔が引きつる。
セラフィナが、少し離れた長椅子から不安そうに立ち上がった。
「殿下……」
彼女の声は震えていた。
請求。
その響きだけでも十分重い。しかもそれが、泣いて謝れば済むようなものではなく、正式な文書として王宮へ届いている。これはもう、単なる恋愛のもつれではなかった。
「どういうこと、ですの……?」
セラフィナの問いに、誰もすぐには答えない。
答えにくいからだ。
エドガーは荒く息をついた。
「どうもこうもない。あの女が逆上しているだけだ」
「ですが、殿下」
年配の侍従が控えめに口を開いた。
「文書は公爵家の正式名義で届いております。つまり個人の感情ではなく、家として対応すると」
「同じことだ!」
エドガーは怒鳴った。
「エルシェナが家を使って騒いでいるだけだろう!」
その瞬間、誰もが思った。
違う。
家が動いているのだ。
そして家が動くということは、もはや王太子が“元婚約者と少し揉めている”程度の認識で済ませられる段階ではない。
文官はさらに続ける。
「なお、違約金請求とは別に、ヴァルモン家名義で王宮および王太子宮へ供与されていた便宜・信用・優先発注枠については、婚約破棄の成立と同時に順次失効扱いとなることが明記されております」
「……だから、それが何だと言うんだ」
エドガーは吐き捨てるように言う。
だがその声には、さきほどまでの勢いが少し欠けていた。
「何だ、とは申し上げにくいのですが……」
文官は言葉を選んだ。
「すでにここ数日、王太子宮付近で起きております諸々の遅延や確認待ちは、ほぼその影響と考えて差し支えないかと」
沈黙が落ちる。
セラフィナが、ゆっくりと青ざめていく。
今までの違和感が一つに繋がってしまったからだ。
届かないドレス。
揃わない花。
減った招待客。
簡素になっていく茶会。
冷たい侍女たちの目。
どれも小さいことだった。だが、それらは全部“姉が消えたから自然にこちらへ流れてくるはずだったもの”が、実は一緒に消えていた証拠だったのだ。
「そんな……」
セラフィナが小さく呟く。
「お姉様が、そこまで……」
エドガーはそれに苛立った。
「お前まで何を言う!」
「で、でも、殿下……」
「これが脅しでなくて何だ! 金を請求して、便宜を止めて、私が困れば頭を下げると思っているんだろう!」
その理屈の幼さに、侍従たちの表情がさらに冷える。
王太子はまだ、自分が相手を困らせた結果、相手も正当に対応してきただけだという構図を理解していない。
脅しではない。
取り立てなのだ。
それも、家として当然の権利を行使しているだけの。
その頃、ヴァルモン公爵邸ではグラハムが新たな控えをエルシェナへ手渡していた。
「王宮への送達、完了いたしました」
「そう」
エルシェナは落ち着いた声で答える。
「向こうは騒いでいるでしょうね」
「かなり」
グラハムの声音には、珍しく乾いた皮肉が混じった。
「請求される側になるとは思ってもおられなかったのでしょう」
エルシェナは書面の写しへ目を落とした。
数字、項目、文言。どれも冷たいほど整然としている。
そこには怒りも恨みも書かれていない。
だが、だからこそ逃げ道がない。
感情ならば、泣いて縋れば揺らぐ余地もある。だが書面は違う。一度交わされれば、それはもう“気持ち”ではなく“責任”だ。
「グラハム」
「はい」
「向こうはたぶん、これを嫌がらせだと思っているわ」
「左様でしょうな」
「でも違う」
エルシェナは紙を閉じた。
「これはただの最初の取り立てよ」
グラハムは深く一礼した。
「まことに」
暖炉の火が静かに揺れる。
王宮では今ごろ、請求の額に顔を青くしている者がいるだろう。王太子は怒鳴り散らし、セラフィナは震え、文官たちは胃を痛めているに違いない。
けれど、それで終わりではない。
まだ始まったばかりだ。
婚約を破棄し、公衆の面前で断罪し、こちらの名誉も信用も傷つけた。
ならば、返すのは当然だった。
ただし、取り乱して叫ぶような返し方ではない。
相手が理解せざるを得ない形で、順番に、逃げ場なく追い込んでいく。
それがいちばん効く。
「次の文書の準備も進めて」
「承知いたしました」
「今度は、止めるだけでなく“失ったあと何が困るのか”がもっと見えるようにしましょう」
グラハムの目が細くなる。
「王太子殿下にも、ようやくご理解いただけるやもしれませんな」
「ええ」
エルシェナは窓の外を見た。
曇り空の下、冬の庭はまだ静かだった。
だがその静けさの奥で、確実に季節は動いている。
王太子は婚約を破棄したつもりでいる。
けれど、本当に始まったのはここからだ。
そして今、ようやく向こうは最初の請求書を受け取ったにすぎない。
そのことを思うと、エルシェナの唇にはごくわずかな笑みが浮かんだ。
冷たく、静かで、けれど確かな笑みだった。
王宮へ届けられたその書状は、見た目だけならひどく静かなものだった。
上質な紙に、乱れのない筆跡。
封蝋にはヴァルモン公爵家の紋章。
過剰な飾りはなく、威圧のための大仰さもない。
だが、だからこそ重かった。
それは感情に任せた抗議文ではない。
泣き言でもなければ、怒鳴り込む代わりの脅しでもない。
公爵家が、正式な案件として王家へ差し出した文書だった。
朝の執務の時間、王宮の文官がその封書を受け取った時点で、部屋の空気はわずかに変わった。
「ヴァルモン公爵家より」
その一言だけで、居合わせた数人の顔色がかすかに固くなる。
やはり来たか。
そんな思いが、誰の胸にも浮かんでいた。
婚約破棄そのものよりも、その先だ。
ヴァルモン家がどう出るか。
王宮の実務に関わる者ほど、そこを恐れていた。
文官は中身を確認し、すぐに上へ回す判断を下した。
宰相府を経て、国王付きの政務官へ。
そこからさらに、王太子本人にも通されることになる。
そしてほどなく、王太子宮の一室で、その文書は読み上げられた。
エドガーは朝から機嫌が悪かった。
前日までに積み上がった「届かない」「止まった」「確認待ちだ」という報告の山が、彼の苛立ちをすでに限界まで引き上げていたからだ。にもかかわらず、今朝もまた文官が重い顔で現れた時点で、ろくな話ではないと分かっていた。
「何だ」
椅子へ深く腰掛けたまま、エドガーが吐き捨てるように言う。
文官は一礼し、紙を広げた。
「ヴァルモン公爵家より、正式な通知でございます」
「またか」
「婚約破棄に伴う諸手続き、および請求に関するものです」
エドガーの眉がぴくりと動いた。
「請求?」
文官は慎重に文面を読み上げる。
「王太子エドガー・ルーヴェン殿下が、卒業舞踏会の公衆の面前において、エルシェナ・ヴァルモン嬢との婚約を一方的に破棄し、かつ名誉を著しく毀損した件につき――」
「待て」
エドガーが不機嫌そうに手を振る。
「くどい前置きはいい。要点を言え」
「……婚約破棄に伴う違約金、ならびに名誉毀損、公爵家の信用損壊に対する補償請求が正式に行われております」
室内が静まり返った。
控えていた侍従たちも、さすがに一瞬だけ息を止める。
エドガーは数拍遅れて、笑った。
「は?」
それは愉快だからではなく、あまりに予想外で笑うしかなかった顔だった。
「私に、請求だと?」
「はい」
「誰が?」
「ヴァルモン公爵家が、でございます」
「そんなことは聞いていない!」
思わず声を荒らげる。
「金額は!」
文官は目を落とし、淡々と答えた。
「婚約違約金、式典準備に関わる諸経費、名誉毀損による信用損害、公爵家の対外的体面を傷つけたことに対する補償金……合算で、かなりの額になります」
“かなり”では曖昧だとエドガーは苛立ったが、読み上げられた具体的な数字を聞いた瞬間、その苛立ちは言葉を失う形で止まった。
「……馬鹿な」
口からこぼれたのは、その一言だった。
額が大きすぎた。
単なる婚約解消の慰謝料ではない。家と家との契約を一方的に壊したうえ、公衆の面前で相手を断罪し、公爵家そのものの信用に傷をつけた。その結果として積み上げられた金額は、エドガーが思っていた“少し怒っている婚約者”の範囲をはるかに超えていた。
「こんなもの、認められるはずがない!」
エドガーが立ち上がる。
「婚約をやめたのは私だ! あの女に非があったからだろう!」
文官は頭を下げたまま答える。
「その“非”について、正式な証拠は提示されておりません」
「証拠?」
「はい。義妹君への虐待、婚約者への不当な圧力、不品行――昨夜、殿下が挙げられた事由はすべて、現時点では公的な立証を欠いております」
その言い方は、あくまで職務上の確認だった。
だが中身は辛辣だ。
つまり、昨夜の断罪は法的にも契約上にも何の裏付けもない、ただの感情的な糾弾として扱われているということだった。
「……っ」
エドガーの顔が引きつる。
セラフィナが、少し離れた長椅子から不安そうに立ち上がった。
「殿下……」
彼女の声は震えていた。
請求。
その響きだけでも十分重い。しかもそれが、泣いて謝れば済むようなものではなく、正式な文書として王宮へ届いている。これはもう、単なる恋愛のもつれではなかった。
「どういうこと、ですの……?」
セラフィナの問いに、誰もすぐには答えない。
答えにくいからだ。
エドガーは荒く息をついた。
「どうもこうもない。あの女が逆上しているだけだ」
「ですが、殿下」
年配の侍従が控えめに口を開いた。
「文書は公爵家の正式名義で届いております。つまり個人の感情ではなく、家として対応すると」
「同じことだ!」
エドガーは怒鳴った。
「エルシェナが家を使って騒いでいるだけだろう!」
その瞬間、誰もが思った。
違う。
家が動いているのだ。
そして家が動くということは、もはや王太子が“元婚約者と少し揉めている”程度の認識で済ませられる段階ではない。
文官はさらに続ける。
「なお、違約金請求とは別に、ヴァルモン家名義で王宮および王太子宮へ供与されていた便宜・信用・優先発注枠については、婚約破棄の成立と同時に順次失効扱いとなることが明記されております」
「……だから、それが何だと言うんだ」
エドガーは吐き捨てるように言う。
だがその声には、さきほどまでの勢いが少し欠けていた。
「何だ、とは申し上げにくいのですが……」
文官は言葉を選んだ。
「すでにここ数日、王太子宮付近で起きております諸々の遅延や確認待ちは、ほぼその影響と考えて差し支えないかと」
沈黙が落ちる。
セラフィナが、ゆっくりと青ざめていく。
今までの違和感が一つに繋がってしまったからだ。
届かないドレス。
揃わない花。
減った招待客。
簡素になっていく茶会。
冷たい侍女たちの目。
どれも小さいことだった。だが、それらは全部“姉が消えたから自然にこちらへ流れてくるはずだったもの”が、実は一緒に消えていた証拠だったのだ。
「そんな……」
セラフィナが小さく呟く。
「お姉様が、そこまで……」
エドガーはそれに苛立った。
「お前まで何を言う!」
「で、でも、殿下……」
「これが脅しでなくて何だ! 金を請求して、便宜を止めて、私が困れば頭を下げると思っているんだろう!」
その理屈の幼さに、侍従たちの表情がさらに冷える。
王太子はまだ、自分が相手を困らせた結果、相手も正当に対応してきただけだという構図を理解していない。
脅しではない。
取り立てなのだ。
それも、家として当然の権利を行使しているだけの。
その頃、ヴァルモン公爵邸ではグラハムが新たな控えをエルシェナへ手渡していた。
「王宮への送達、完了いたしました」
「そう」
エルシェナは落ち着いた声で答える。
「向こうは騒いでいるでしょうね」
「かなり」
グラハムの声音には、珍しく乾いた皮肉が混じった。
「請求される側になるとは思ってもおられなかったのでしょう」
エルシェナは書面の写しへ目を落とした。
数字、項目、文言。どれも冷たいほど整然としている。
そこには怒りも恨みも書かれていない。
だが、だからこそ逃げ道がない。
感情ならば、泣いて縋れば揺らぐ余地もある。だが書面は違う。一度交わされれば、それはもう“気持ち”ではなく“責任”だ。
「グラハム」
「はい」
「向こうはたぶん、これを嫌がらせだと思っているわ」
「左様でしょうな」
「でも違う」
エルシェナは紙を閉じた。
「これはただの最初の取り立てよ」
グラハムは深く一礼した。
「まことに」
暖炉の火が静かに揺れる。
王宮では今ごろ、請求の額に顔を青くしている者がいるだろう。王太子は怒鳴り散らし、セラフィナは震え、文官たちは胃を痛めているに違いない。
けれど、それで終わりではない。
まだ始まったばかりだ。
婚約を破棄し、公衆の面前で断罪し、こちらの名誉も信用も傷つけた。
ならば、返すのは当然だった。
ただし、取り乱して叫ぶような返し方ではない。
相手が理解せざるを得ない形で、順番に、逃げ場なく追い込んでいく。
それがいちばん効く。
「次の文書の準備も進めて」
「承知いたしました」
「今度は、止めるだけでなく“失ったあと何が困るのか”がもっと見えるようにしましょう」
グラハムの目が細くなる。
「王太子殿下にも、ようやくご理解いただけるやもしれませんな」
「ええ」
エルシェナは窓の外を見た。
曇り空の下、冬の庭はまだ静かだった。
だがその静けさの奥で、確実に季節は動いている。
王太子は婚約を破棄したつもりでいる。
けれど、本当に始まったのはここからだ。
そして今、ようやく向こうは最初の請求書を受け取ったにすぎない。
そのことを思うと、エルシェナの唇にはごくわずかな笑みが浮かんだ。
冷たく、静かで、けれど確かな笑みだった。
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