収納魔法になりました

αラブッ

文字の大きさ
1 / 3

0話 プロローグ 俺の名は収納魔法

しおりを挟む
 俺は収納魔法と呼ばれている。それは決して俺がパシリだからとか虐められているからという訳では全く無く、俺を的確に表現する良いあだ名だ。種族名と言っても遜色ないくらいに。
 そう、俺は人間ではない。魔法だ。何を言っているかは分からないと思うが、それが全てだ。俺も分からない。ひとつ追加することがあるとすれば、魔法は魔法でも俺は収納魔法だ。……前は人間だったけどね。
「何をブツブツと言ってるのかしら。貴方は……はっきり言ってキモイわよ」
おっと声に出ていた様だ。
「と、言っているのはアンジェリーナ・ラフィーネ・クリス。俺の……俺のパートナー? ……違うな……お前は俺にとっての何だ?」
「はぁ……さっきからなんなのかしら……物語の冒頭ごっこなんてやめてもらえない? うるさいのよ、収納魔法の分際で」
「あぁ!? 言ったなラフィ!? あーもう俺怒ったー。完全に怒ったわー。もう収納させてやんねーからな!」
 と声高らかに反抗する。
 種族名『インテリジェントマジック知性ある魔法』と分類分けされた俺は、この世界において非常に珍しい存在らしい。
その珍しい俺は魔法を使う主人の意思に反して魔法じぶんを使う事ができる。逆に、俺が認めなければ主人は収納魔法を使うことはできない。
「ギャーギャーうるさいわね。全く……とんだ迷惑よ。アンタなんかを使わなきゃならない私の身にもなりなさい」
 と嫌いな奴に話しかけるみたいな声色だった。
「で? そんな事より今は何処に向かってるんだ?」
 話を逸らすと、ラフィは大きなため息をつきこう言った。
「貴方……いつにも増して話の逸らし方が雑なんじゃ無いかしら。どこかおかしいんじゃないの? 
 特に頭とか」
「最後は余計だわ! しかも俺頭はおろか身体がないんだが……で、何処に向かってるんだよ」
 彼女は、今の今まで何を聞いていたのかしら、と深くため息をついてこう言った。
「西よ。その先に国があるといいわね」
 そう、目的地も無い旅をしている。西へ、ひたすら西へ。その先に国があるのなら寄っていく。
「やっぱそうだよなぁ」
 それも地図も無しに、だ。だから歩いて行く先に国があるかどうかも判らない。
 ラフィが家を出て早3ヶ月。目的地は無いが多分滞りなく進んでいる。
 ぐぅぅぅ、と鳴り響く腹の音。
「昼飯にするか? 食べもんはまだまだあるぞ」
 仕返しついでに優しい声色で問う。
「何よ。乙女に対してデリカシーの無い男ね。良いわよ昼なn……」
 ぐぅぅぅ。
「……」
「……」
 なんてタイミングで鳴るんだ。ナイス。
「ほら、お腹空いてるんだろう?」
 と冗談半分仕返し半分に優声で言う。
    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...