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#046 チャラ男ホストの人気の秘密
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「いらっしゃいませ~♡ 今夜は姫のために俺を捧げちゃうよん♪」
銀座の高級ホストクラブ。
テーブルに座るのは、やや疲れた様子の女性客。彼女の向かいで軽快にシャンパンを開けたのは、No.1ホスト・レイ。
「レイくん、相変わらずチャラいねぇ」
「いやいや、姫の前だからテンション上がっちゃうんよ~!」
白い歯を見せて笑うレイ。しかし、その目はふと、女性の肩越しを見た。そこには、誰もいないはずだが……。
(またか)
彼には、小さな頃から霊が視える能力があった。もちろん、ホストの世界ではそんな話をするわけにもいかない。だから、彼は何にも気づかない”チャラ男”を演じて生きていた。そうでもしないとやってられない。
「姫、きれいなお顔がお疲れモードじゃん。最近なんか悪いこと続いてない?」
「え……わかるの?」
「ん~、オーラがちょっとモヤモヤしてる気がするんよね~」
本当は、女性の背後にしがみつく黒い影が視えていた。生霊かもしれない。女性は名うての経営者。恨みを買うことも少なくないだろう。
「ヤダ、オーラってなによ。また変なこと言い出すんだから」
「姫さま~、ちょっと手出して?」
「え、なんで?」
「いいからいいから! 姫だけに、レイくんの秘密のおまじない♪」
彼は女性の手を優しく握り、念を込める。これは別になんらかの呪法とかそういうものではない。接触することで声が届きやすくなるだけだ。「お前、ふざけてんじゃねぇよ。どうなるかわかってて生霊飛ばしてんのか?」と、心のなかで啖呵を切ると、一瞬だけ空気が震え、影がフッと消えた。
生霊を飛ばせば本人も気づかない間に寿命を削られるらしい。まさに命をかけての呪いだ。実をいうとそれを追い返のもキツい。レイは別に霊媒師とかそういうものでもないし、あやしげな週刊誌記事の霊能特集や自身の経験を元にやっているだけなのだ。
「……あれ?」
「どしたん?」
「なんか……急に肩が軽くなった気がする」
「それはねぇ~、俺の愛が届いたからよ♡」
ふざけた調子でウインクするレイ。しかし、彼の額には薄く汗が滲んでいた。
(結構恨まれてたみたいだったな……)
「レイくん、本当はすごい人なんじゃない?」
「え、何? 俺のイケメンっぷりに気づいちゃった?」
「違う違う! なんか、ただのホストじゃない感じ……」
レイは一瞬、言葉を詰まらせた。しかし、すぐに笑顔を取り戻す。
「姫、ホストなんてみんな魔法使いみたいなもんよ! だって、会うだけで元気になれるっしょ?」
「……確かに、今日はすごく楽しい!」
「それな♡ だから疲れたらまた来てね~!」
彼はそう言いながら、心の中でそっと呟く。
(憑かれたらまた来てね)
今夜もまた、チャラい演技の裏で、誰かをそっと救う。レイに会うと元気になれる。これがNo.1ホスト・レイの秘密。
銀座の高級ホストクラブ。
テーブルに座るのは、やや疲れた様子の女性客。彼女の向かいで軽快にシャンパンを開けたのは、No.1ホスト・レイ。
「レイくん、相変わらずチャラいねぇ」
「いやいや、姫の前だからテンション上がっちゃうんよ~!」
白い歯を見せて笑うレイ。しかし、その目はふと、女性の肩越しを見た。そこには、誰もいないはずだが……。
(またか)
彼には、小さな頃から霊が視える能力があった。もちろん、ホストの世界ではそんな話をするわけにもいかない。だから、彼は何にも気づかない”チャラ男”を演じて生きていた。そうでもしないとやってられない。
「姫、きれいなお顔がお疲れモードじゃん。最近なんか悪いこと続いてない?」
「え……わかるの?」
「ん~、オーラがちょっとモヤモヤしてる気がするんよね~」
本当は、女性の背後にしがみつく黒い影が視えていた。生霊かもしれない。女性は名うての経営者。恨みを買うことも少なくないだろう。
「ヤダ、オーラってなによ。また変なこと言い出すんだから」
「姫さま~、ちょっと手出して?」
「え、なんで?」
「いいからいいから! 姫だけに、レイくんの秘密のおまじない♪」
彼は女性の手を優しく握り、念を込める。これは別になんらかの呪法とかそういうものではない。接触することで声が届きやすくなるだけだ。「お前、ふざけてんじゃねぇよ。どうなるかわかってて生霊飛ばしてんのか?」と、心のなかで啖呵を切ると、一瞬だけ空気が震え、影がフッと消えた。
生霊を飛ばせば本人も気づかない間に寿命を削られるらしい。まさに命をかけての呪いだ。実をいうとそれを追い返のもキツい。レイは別に霊媒師とかそういうものでもないし、あやしげな週刊誌記事の霊能特集や自身の経験を元にやっているだけなのだ。
「……あれ?」
「どしたん?」
「なんか……急に肩が軽くなった気がする」
「それはねぇ~、俺の愛が届いたからよ♡」
ふざけた調子でウインクするレイ。しかし、彼の額には薄く汗が滲んでいた。
(結構恨まれてたみたいだったな……)
「レイくん、本当はすごい人なんじゃない?」
「え、何? 俺のイケメンっぷりに気づいちゃった?」
「違う違う! なんか、ただのホストじゃない感じ……」
レイは一瞬、言葉を詰まらせた。しかし、すぐに笑顔を取り戻す。
「姫、ホストなんてみんな魔法使いみたいなもんよ! だって、会うだけで元気になれるっしょ?」
「……確かに、今日はすごく楽しい!」
「それな♡ だから疲れたらまた来てね~!」
彼はそう言いながら、心の中でそっと呟く。
(憑かれたらまた来てね)
今夜もまた、チャラい演技の裏で、誰かをそっと救う。レイに会うと元気になれる。これがNo.1ホスト・レイの秘密。
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