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 とりあえず、私を助けてくれたリョウさんとミサキ君を茂生さんと京香さんに紹介したの。
 私から話を聞いた茂生さんと京香さんが二人にお礼を言ったの。

 「コトハを助けて頂きありがとうございます。なんてお礼を言っていいのか」
 「いいえ。私達はコトハさんを守るのが使命なので気にしないで下さい」
 「使命……ですか?」
 「はい。これこらコトハさんを含めて私達のお話を聞いてもらえませんか?」
 「「……」」
 「とても大切な事なのでお願いします」
 「分かりました。お話を聞きましょう」

 茂生さんと京香さんはお話を聞く事を選んで、私を一度見てから二人に『どうぞ、座って下さい』と席を勧めた。
 
 「ありがとうございます。まずは、私達の事からお話致します。今からお話する事は、コトハさんにも関係があります」
 「私にも?」
 「コトハにも?」

 茂生さんと京香さんが不思議そうにリョウさんとミサキ君を見てから私の方を見たけど、私自身も理解はしていない。だって、いきなり『姫様』なんて呼ばれ、襲われ知らない所に連れて行かれそうになって私自身昔の記憶が思えていないから、自分の事を知るチャンスなのではと思うけど、本当にこの二人が私が知りたい情報を持っているのかと頭のどこかで思っている自分もいる。難しい……。

 「もう一度聞くけどコトハにも関係がある事なんだね?」
 「はい。僕はミサキと言います。僕と兄さんが来たところは、コトハさんが生まれ育った場所からです」
 「「「!」」」
  
 私自身も驚いた。もちろんその場にいる茂生さんと京香さんも。だって、私と藤森夫妻と出会った場所は神社だと聞いていたから。
 少し間をとってから早摩兄弟の話は進んでいく。

 「私はリョウと言います。ミサキの兄です。私達兄弟は違う場所せかいから来ました。こちらで言えば、『異世界』と言えるところです」
 「い、異世界?」
 「はい。コトハさん、いいえ、コトハ姫がお生まれになった国はフィール王国、別名、風の国と呼ばれている所です」
 「フィール王国……それが私が生まれた場所……」

 初めて私が生まれたところを聞く事ができたの。でも、そこで一つの疑問が生まれたの。
 それは……

 「じゃあ、なんで……私はここに?」

 私の疑問に答えてくれたのは、ミサキ君だった。

 「落ち着いて下さい、コトハ姫。大丈夫です、ちゃんとお答えします、ミサキ」
 「はい。昔、コトハ姫がまだ幼い時に我々の国は敵襲を受けました」
 「それって襲われたという事?」
 「はい。正確に言えばある子に以外、全部の国が」
 「どういう事ですか?」
 
 早摩兄弟は私にもそして茂生さんと京香さんにも分かるように話をしてくれたの。
 
 「私とミサキも当時はまだ幼い子供だったので、祖父から教わった事をそのまま皆さんに正確にお伝えします。我々の住んている世界には、五つの国があります。昔から平和協定という条約があり、各国に交流がありました。でもある日、突然の出来事だったそうです。五つの国のうち一カ国が条約を破り、裏切り行為をしたのです」
 「裏切り?」
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