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 「女王陛下は陛下と共に最後まで国を光の国から守っておりました。けど、我々の力が弱くなってきたところに敵側がさらに追い打ちをおかけになり、女王陛下はコトハ姫だけでも無事に生きてほしいと願い、こちらに転送をしたのではと陛下がおっしゃっておりました」
 「……」
 「王家では親子から子へと力を受けずかれていきます。コトハ姫も母君、女王陛下から力を受けすかれるその儀式の最終段階の時に光の国が攻めてきたと存じております」
 



 『儀式が最終段階だというのに光の国が攻めてきたか。○○○は儀式を完了させて奥の部屋へコトハと共に避難していなさい。私は国とお前達を守る』
 『あなた……。分かりました。儀式を完成させてから奥の部屋に行きます。だからあなたもどうか生きて私達のもとに……』
 『分かった』
 『あなた……。では、コトハ。儀式を終わらせますよ。あとは最後の呪文とこのペンダントをコトハの首にかければ終わりですから頑張りましょうね』
 『はい。おかあさま!』






 「私を違う世界へ。私を守る為に……」
 「「コトハ姫!」」
 「コトハ!」
 「コトハさん!」

 私は呼ばれてハッと四人を見たの。四人共、心配そうな表情をしていたの。
 自分でも無意識だったこそ、昔の自分の記憶がほんの一部蘇っていたみたい。

 「私……何か言っていましたか?」
 「はい。私を守る為に違う世界に飛ばされたと」
 「そんな事を?」
 「無意識ですか。どうして知っているのですか、コトハ姫? 失礼ながらコトハ姫には、昔の記憶がないと僕と兄さんは陛下からそう、聞いております」
 「……夢? 違う……あれは記憶……かもしれないです」
 「記憶ですか。もしかして少しずつ思い出しているのかも知れませんね。私やミサキと出会い、こうして話を聞いて自然と」
 「僕も兄さんと同じ意見です」

 私の話を聞いてリョウさんとミサキ君は、私の記憶が戻り始めているのではと話していたの。本当にそうなのかは分からないけど、もしそうだったら少しずつ思い出すのも時間の問題かなと私の心の中ではそう思えた。
 記憶が少しずつだけど戻り始めていると確認したリョウさんとミサキ君は、今の国の現状や私の父、お父さんについて話をしてくれたの。
 もちろん自分達が分かる事だけ教えてくれたの。
 その話は私はもちろん、茂生さんと京香さんも話の内容を聞いていたの。

 「コトハ姫。我々と一緒に来て下さいませんか?」
 「……私……」
 
 正直に迷っていたの。本当はお父さんに会ってみたい。会えるなら。
 でも、今まで育ててくれた茂生さんと京香さんとこのまま離れてしまってもいいのだろうかと私の心は揺らいでいたの。

 「コトハさん。私と茂生さんの事は気にしているなら大丈夫ですよ」
 「!」
 
 京香さんが私が思っていることが分かっているかのように話し掛けてくれたの。

 「コトハさん。自分の気持ちを優先してもいいのですよ」
 「そうだよ。やっと本当の父親に会えるのだから。今、会わないでいつ• •会うんだい? それにもう二度と会えないという訳じゃあないんだろう?」
 「はい。それは大丈夫です。僕と兄さんは何度もこちら• • •に来ては、
影でコトハ姫を守る為に来ておりましたから」
 「それに私とミサキからの報告で一度、お二人に会ってお礼をしたいと陛下がおっしゃっておりました。その時でもコトハ姫には会える事もできますし、私達と一緒にコトハ姫がこちらに来る事も可能なので」
 「ほら、大丈夫ですって、コトハさん」

 茂生さんと京香さんが私の背中を優しく押してくれる。本当にこの人達に出会えて良かったと思う。
 そんな優しさが嬉しくって私は、だんだんと涙が溢れてきて自分の気持を素直に伝えようと思った。いざ、伝えようとしても中々、言葉が出てこない。
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