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 「私も知っている人?」
 「呼んでもいいのかな? リョウさん、ミサキ君。来てもらってもいいですか?」
 
 二人を呼んでみたの。二人を呼んで姿を現すかは分からないけど、とりあえず呼んで見ることに。
 私の近くで見守っていると言っていたから近くにはいると思うけど、姿を現してくれるかは別問題。けど、自分の心のどこかに二人は現れてくれると信じていた。
 それにリョウさんとミサキ君は友紀と面識があるから大丈夫と思った。
 呼んてからしばらくして二人は姿を見せてくれたの。二人は少し離れたところから出てきて、私と友紀の居るところまで移動してくれたの。
 「こんにちは、友紀さん」
 「こんにちは」
 「! こ、こんにちは、ミサキ君にお兄さん」
 
 二人は友紀に挨拶をして私の隣に移動。

 「リョウさんとミサキ君から私の幼い頃やお父さんの事など色々と話を聞いたの」
 「えっ、二人から。と言うか、そうなの!」
 「ずっとコトハ姫のお友達でいてけれた事をとても感謝しております」
 「い、いいえ……」

 友紀は顔を赤くした。顔を赤くして両手を前に出して「いいえ」と言いながら手を振った。そして、改めて私のことを見たの。

 「本当にお姫様なんだね、コトハ」
 「うん、そうみたい……実感はないけどね」

 友紀に「お姫様なんだね」と言われても今でもはっきり言って実感はない。姫だからと言われてもありのままの自分でいればいいと思うし。

 「あの時に襲われた時にも言われていたけど、本当にお姫様なんて驚きだよ」 
 「私だって未だに信じられないもの。未だに」
 「分かる気がするよ」
 「そろそろ、行きましょうか、コトハ姫」
 「ちょっと待って!」
 「友紀?」

 友紀が突然声を上げたの。私を始めもちろんリョウさんとミサキ君も驚きと不思議そうに友紀を見たの。

 「あの……ほんの少しだけ待ってもらいませんか?」
 「大丈夫です。ねぇ、兄さん」
 「そうだな~」
 「ありがとうございます。コトハ、少しだけここに居て!」
 「う、うん……分かった」
 「直ぐに戻って来るから!」
 
 友紀が突然、その場から走ってどこかに行っちゃったの。突然の行動で友紀がどこに行ったのか分からないからただ、その場で待っているしかなかったの。
 
 「どうしたのかな、友紀?」
 「コトハ姫、茂生さんと京香さんには挨拶はよろしいのですか?」
 
 リョウさんが心配して声を掛けてくれたの。

 「大丈夫です。友紀と会う前に茂生さんと京香さんには挨拶をしましたから。それに茂生さんと京香さんに渡したいものを渡せたし、……それにまた会える日が必ずあるからと知っているので大丈夫です」
 「そうですか」
 「なかなか戻ってこないですね、友紀さん」
 「うん……」
 『コトハ、お待たせ~』
 
 三人で会話をしていると走りながら友紀の声が聞こえ、友紀はそのまま走りながら神社の中に入ってきた。
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