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末広産業の

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末広産業の事務所に個人のロッカーはなく、ドアのないラックに職員それぞれが持ち物を置くようになっていた。その日、いつも俺が荷物を置いているスペースを見るとやや太めの黒縁眼鏡がある。(ん?)と思ったが、すぐに(誰かが間違って置いたのか)と自然に推測し、深夜番で既に作業を終えかけている中年太りが定着した小柄な男性同僚に「これ、何でしょうね?」と声を掛けてみた。
「何?眼鏡じゃないの?」
 と億劫そうな声を返す義孝の持ち物ではなさそうだ。
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