異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし

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7章 エルフの里

78.妖狐×幼女

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 「ふぅ、なんとかなったな」

 作戦どころか、ほぼゴリ押しだが。
 俺は燃え盛る森を目の前に、果たして"作戦"と呼んでいいのか疑惑の光景を思い出していた。
  
 敵を誘き寄せ、霧で視界を奪い、落とし穴に落として大部分を減らし、そしてとどめの隕石落下。
 我ながら見事なゴリ押しだ。隣で目をキラキラさせるエルフになんか申し訳ない気分になったほど。

 「な、なんと凄い.....。あ、あれはなんという魔法ですか.....?」

 おそるおそるイケメンエルフは俺を見る。そう、まるで神を見るような目で。
 ふふふ、イケメンに敬われるのは悪くない。

 「あれは、えーっと」

 なんだったっけ。そういえば隕石落とす魔法なんかあったっけな?
 うん、確か強引に発動させたやつだよあれ。魔法じゃなしに。

 「超最強特別極大魔法だ」

 スーパーでストロングなスペシャルな魔法にしておいた。

 「超最強特別....魔法ですか!!」

 言えてねぇ!ちゃんと超最強極大.....最強....と、特別....?......って言わないと。

 「そうだ。これは俺が200年かけて習得した技で、アレは物凄い修行だった....」

 俺は遠くを見るような目をする。
 当然200年も生きてないし修行もしてない。
 だが、俺のホラ吹きが効いたようでさらにエルフは目をキラキラさせた。

 「なんと!200年も....!師匠と呼ばせてもらっても!?」

 ーーー師匠?

 「ふふ、もちろn」

 「何が200年じゃい」

 その時、頭にゲンコツが降った。
 い、いいところだったのに。

 「あ、あのー?」

 「あー、さっきの嘘だ。それと師匠って呼ぶなよ」

 「え」

 「そんなことより、ハクリ。途中のアレって妖狐か?」

 先ほどの態度とは一転し、疑問の視線がビンビン刺さる中、俺はあの謎の巨獣の正体をハクリに問う。
 するとハクリは頷き、苦虫を潰したような顔で遠くの森を見た。

 「まさかあれほど妖狐が力を持っているとはのぅ。交渉自体も一癖あったのじゃ。いくつも条件を出されての、妖狐の力を世に知らしめること、エルフとは金輪際関わらないこと、そしてーー」

 「私を連れていくことだ!」

 ーーーん?
 突然子供が出すような高めの声がし、思わず周囲を見る。ここにはもう成人、てか爺さんのイケメンエルフたちとハクリ、そして俺しかいない。そんな高い声を出すやつなどーーー

 「ここだ!下を見ろ!」

 「え、はぁ...」

 下を見る。すると美しい金色の毛並みを持つ狐が俺の足元に擦り寄っていた。
 まさかのごんぎつねに咄嗟に足をどかす。

 「き、キツネ!???」

 「む、確かに私はキツネだが妖狐であるぞ!」

 その瞬間、キツネが急に飛び上がると、くるりと一回転し、するとたちまち幼児の姿に変身した。ほんの一瞬のことだった。
 先程までキツネだったものはいつの間にか金色の髪をなびかせ、白い装束を着た幼女へと変身している。
 なんだこりゃ。

 「こちらの姿の方が話しやすいな!」

 「あ、そうですか」

 そう答えると、それを良しと捉えたのか、幼女は自己紹介を始めた。
 ちなみに背丈は10歳ぐらいの俺と同じぐらいだ。

 「私は妖狐のアントワーヌ・サルベキアッシュネ・ドル・アートニーニ・ガルミッシュ・シューガストン・ギルモアハート・ゴースイーーー」

 「待て待て待て待て!長いな名前!」

 「私の先祖様方からとった名前だ!すごいだろう!」

 無い胸をはり、ふふん!と自慢げに話す幼女に、いや何が?とはあえて言わず、何故こうなったという目をハクリに向ける。

 「・・・条件の一つが妖狐を連れて行くことじゃったのじゃよ。なぜだかは知らんがの」

 「外の世界を見たかったのだ!それにお前たちは面白い!退屈しなさそうだ!」

 こいつ、やけに上からな幼女だなあ。
 確かに容姿はエルフと同等、いやそれよりも良いかもしれない。しかも幼女だ。プレミアだ。
 しかしどうせ中身はババアに決まっているのだ。なにせもう経験済みですから....。

 「ちなみにお歳は?」

 「11だ!」

 神よ!感謝します!新鮮な幼女をどうもありがとう!
 
 「ちなみにお前は?」

 「ん?俺?10歳だ」

 そう言うと、幼女は勝ち誇ったような笑顔を浮かべた。まるで「私の方が年上だからな!お姉ちゃんだからな!」とでも言いたそうな顔だ。
 しかし残念、俺の中身は二十代だ。
 え?200年間の修行?なにそれ。
 まあ、そんなことは置いておいて。

 「しかし妖狐が森を離れても大丈夫なのか?住み慣れた土地なんだろ?」

 「それは心配無いぞ!妖狐は私だけじゃ無いからな!あと100匹ぐらいいるぞ!」

 その言葉に、さっきまで妖狐が出て行くと聞き顔を綻ばせていたエルフの顔がびっくりするほど歪んだ。
 どんまい。

 ・・・ん?いやちょっと待てよ?
 あの化け物が妖狐.....ってことはあの化け物があと100匹もいるのか?
 半端無いな。

 「んじゃあ俺らについて来ても問題無いと。
 ・・・まあいいんじゃないか?」

 だって幼女だぞ幼女。
 厳しい道中にも花は必要だ。

 「むむむ.....妾はあまり賛成せぬが....」

 ハクリのその顔には「絶対面倒くさくなるから」と書かれてあった。
 確かにこの幼女、上から目線な上に幼女だ。道中散々わがままを言うに違いない。
 ん?そういえば、11歳って幼女か?地球で言えば小学5.6年生......。よ、幼女?
 いや!絶対幼女!幼女に決まってる!幼女に違いない!容姿は幼女なのだ!そう!幼女!

 ・・・我ながら気持ち悪いな....。

 「まあ仕方がないかの....」

 実際ハクリが勝手に決めたことだしな。

 「まあ構わんかーーーー」

 「ヌゥゥゥウウウオオオオオオ!!!!」

 突如、ハクリの声を遮って、消火するのを忘れていて未だ燃え続ける森に、なにやら叫び声が響き渡った。
 これはあれだ。仕留めきれなかったやつだ。

 「しぶといのぅ亜人王も」

 お主がきちんと仕留めておかなかったせいで、という目線を送られる。

 「いや、ほらあれだ!そ、そうだ!妖狐の力を見たかったんだよ!」

 「へぇ~」

 「そうだったのか!なるほど!テストということだな!それならば私の力を見せてやるぞ!」

 むふふふふ、と妖狐は笑い拳を振り上げる。
 ・・・なんか純粋な心が胸に刺さった。


 そうして、妖狐による亜人王の討伐が決まった。
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