異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし

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8章 勇者の国

88.怒り

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 「やはり俺の王選に参加しろ」

 真剣に、そしてにやけながらバーニングは手を差し出してくる。
 ・・・これを掴めと?やなこった!

 「は、なんでだ?」
 「その方がお前にも俺にも得があるからな」

 だからそれはなんなんだよこの熱血某マツオカめ。

 「ふふふ、問題点は『王都へ入れない』。ただ一点だけ。理由は、封鎖されているからだ」
 「・・・そうだな」

 だから?

 「だがな、その封鎖を通り抜ける方法がある!それも、合法的な手段で!」

 つまり、正攻法で乗り込むことができる、と。

 「どうやって?」
 「ふふ、その前にある話をしよう。
 クーデターで建国された国は過去にもある。しかし、それらの国はある1つの悩みを持っていたのさ。クーデターゆえに抱える悩みをな」

 クーデターだからこその悩み?
 うーーん、要は、言ってしまえば不正に国を建てたのだからそこの弊害.....。

 「他の国に認められなかったとか?」
 「お、あたり!」

 まさかのビンゴ。俺氏冴えてるぅ!
 
 「他の国は、クーデターで建てた国なんかと関わりたくないわけだ。つまり、外交や貿易にも影響が出る。んでやがては経済が行き詰まって滅亡するわけだが.....」

 俺の言いたいことわかる?
 と俺を見てくるがさっぱりですゴメンナサイ。

 「・・・だから、その悩みをつくのだ」

 悩みをつく?それが王選となんの関係があるんだよ。
 
 「・・・だから、シュウスイとクーデター国とで外交を持ちかけるんだよ」

 外交を持ちかける?あ、なるほど。向こうとしては外交は嬉しいから例え王都を封鎖してても入れてくれるってわけか。
 ・・・で、王選......。

 「あ、国を取れば外交官になれる、ってそういうこと!?」

 つまりはこの国の外交官として俺を派遣すれば合法的に入国できるってわけ?

 「うむ」
 「面倒な言い方するなぁ」

 だが確かに有効的ではある。非常に遠回りではあるけども。

 「で、俺の王選に参加するか?」

 そして話は最初に戻る。
 遠回りっちゃあ遠回りだが正攻法で乗り込める方法。ありがたく提示してくれたわけだ。
 しかし王都へ強引に乗り込めなくもない。
 あと1つなにか欲しいところである。

 「ちなみに、シュウスイは権力が結構強い。乗り込んだ後の後始末も簡単に済むだろうな」
 「よし乗ろう」

 基本、俺は面倒臭いものは嫌いである。
 ちゃっちゃと王選終わらしてちゃっちゃとエミリア助けだすのがベスト。
 正直、後始末なんてやってらんね。
 
 「ふ、参加してくれて助かるぜ。じゃあさっさと国でも取るとしようぜ!」
 「ああ!」

 俺とバーニングは拳をガッチャンコする。
 なんだかんだ言ってコイツとは気があいそうだ。・・・まあコイツが王になりさえすれば俺は甘い蜜を吸える。その保障だけで十分王選に参加する価値はあるのだ。

 「あ、もし俺が王になったらお前には国軍の長官になってもらうぜ?」
 「あ?」

 え?

 「そんでその美人さん達は有力大臣とか貴族だな」
 「う?」

 いきなり話が飛躍。

 「俺、あんまり人とのコネ持ってねえし取り敢えず近いやつを重役につけるつもりだから」 
 「あ、そんなんですか」

 要は友達いないってことだな。納得。

 「んでお前に裏切られたら困るから俺の妹と結婚な」
 「・・・はい?」
 「要は政略結婚てやつだな。トールストンと結婚させんのも良かったんだけど、あいつ俺を裏切れないし、やっぱお前じゃん?」
 「はいはい?」
 「ま、俺が王になったらの話だけどな!ガハハハハ!!」

 いやガハハハハ!じゃねえよ。
 え?ケッコン?血痕?

 「いや、待て待て!だから俺婚約者いるし!」

 今にでもバーニングを殺しそうな婚約者が。お、恐ろしいよカルナさん。

 「あ、そうか!うーん、じゃあ取り敢えず保留ってことで!」

 その返事で、取り敢えずバーニングの命も保留された。カルナも心のナイフを抑えたようである。

 「んじゃあ、王選の打ち合わせはまた後日ってことで。今日は夜遅いから俺は失敬するぜ」

 と言って暴虐無人で自分勝手で唯我独尊のバーニング野郎は店を出て行った。
 アンはすでにグースカ寝ているし、ハクリもうとうとしている。ちなみにトールストンはいつの間にか姿を消していた。あの雰囲気が耐えられなかったようだ。逃げやがって。

 つまり、オコなカルナとほぼ2人きりである。

 「ケッコン?」

 目が、怖い。え?こんな人だったっけ?

 「ま、まさかするわけがないだろ?俺にはカルナがいるんだからさ!」

 はずかしめの極刑を受ける俺。必要な犠牲なんだ、耐えろ俺のメンタルっ!

 「も、もう!レイさんったら!誤魔化されませんよー?」

 するとコロンとカルナの態度が変わる。照れ照れだ。
 チョロくて良かった。

 が、再びカルナの目が黒くなる。

 「で、助けにいく女性とはどのような関係で?」

 あ、そっちに戻ります?

 「ただの幼馴染だよ」
 「幼なじみ......。その人可愛いんですか?」
 
 可愛い?そりゃあーーー

 「可愛いけど」
 「・・・へえ」

 うん、ちょっと間違えた。完全に殺人モード入っちゃったよカルナさん。

 「ま、まあカルナの方が可愛いけどね?」

 と慌ててフォロー。女性はとにかく褒めるべし!と教わったんだ。彼女いない歴=年齢の友人から。え?デジャブ?

 「!!???」

 すると、途端に顔を真っ赤にするカルナ。黒だったり赤だったり彩り豊かである。いや黒は彩りじゃないけど。
 まあ、正直1年前ぐらいのエミリアと今のカルナを比べたらカルナの方が優っている。
 エルフの血、というやつだろう。なんか、圧倒的な可愛さが存在しているのだ。

 って、俺何言ってんだろ。

 「レイさん」

 すると改まってカルナがこちらを向いた。耳が真っ赤だ。

 「好きです」
 「ぐはっ!!!」

 破壊力絶大だ。なんでこの子はこうも可愛いんだ?

 「だから、あの......」

 顔をりんごにさせながらしどろもどろに言葉をつなげる。

 「・・・一緒に寝てもいいですか」

 ・・・うん。

 「・・・それはダメーーー」
 「ダメじゃな」

 俺の声を上書きするようなハクリのとげとげしい声。
 さっきまでウトウトしてたくせにいきなり起こるとか情緒不安定なやつだ。

 「な、なんでですか!?」
 「だって......」

 そしてハクリは自嘲気味に笑う。

 「お主らにイチャつかれたら妾らの寝るところなくなるし?」

 ・・・ああそうだ。そういえば俺らはあのバカアンのおかげで金がないんだった。
 食いあらすイナゴめ。


 結局、その日はボロ宿で寝たのだった。女子勢は。
 俺?もちろん廊下です。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次回から王選編へ。
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