インディア~親蜜の香り~その一章

サーガ

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インディア~親蜜の香り~その一章 13

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「自分で、慰めたことはあるのか?」
 膝を取って開脚させながら、耳元で囁く。アーシャは濡れた瞳を開けてリンゼイを見上げ、途惑った顔でただ見つめ返した。
 あるわけはない。聞いたのは悪戯心だ。二部屋に家族五人が詰め込まれる生活で、全員が身体に鞭打って働いている。性欲など感じない。感じたとしても、それと意識することすらないだろう。
 胸の蕾と秘所の花芯を弄りながら、抉れたあばら、柔らかい下腹に接吻する。染み一つない内股はしっとり湿って吸い付くようだ。小さな恥丘から中心に掛けて、手入れのされていない黒々とした茂みが生え揃い、内側を護っている。人差し指と中指を当て両側に披くと、淫らな匂いが漂った。茂み隠された場所は、蘭の花というよりも、そう、正に紫色の小さな菫の様だった。儚げで、摘んでしまうと罪を犯したような気にさせられる。壊れ物のような秘所はしかし赤く熟れて充血し、震えている。小さな豆の様な雌蕊と花弁があり、その周辺の黒い茂みは蕩けた熱い蜜でぬかるんでいた。こんなに濡らして、何と可愛い女だろう。未熟でありながら素直な身体はただただ、リンゼイの征服欲を切羽詰まらせる。
 舐めたい――味わいたい。初めての味はどんなものだろう。男は照れも忘れてその花弁を見つめ、唇を湿らせる。頬も首筋も火が点いたように熱い。だが、ここで極めさせてしまったら、挿入は見送らねばならないかも知れなかった。
 処女と寝たことは初体験と、大学二年生の時に新入生をものにした時だけだったが、数多くの経験からオーガズムを迎えた女の何割かが、ヴァギナが縮んでリンゼイを受け入れられないことがあった。勿論その時は、彼女たちは別の方法でリンゼイを愉しませてくれたが、アーシャには望めまい。
 だが、そんなこと、どうでもいい。
 掛かる息遣いで震える内股にリンゼイは無我夢中で吸い付き、花弁に唇を付ける。シャワーを浴びていないので、むっとする牝の臭いが立ち込め、処女もまた女なのだと思い知らされる。こんなところまで微かに菫の匂いが付いていた。アーシャの蜜は芳醇で、美しい透明で、塩味がして美味しい。
 女の全身が、撓った。
「……いやっ……」
 彼女は半身を起こして、己が下身を抱えて秘所に顔を押し付ける男の髪を、子供の如く引っ張った。
「嫌、ダメ」
 しかし、腕を腿に回されて脚を閉めることができない。ぬるぬるした舌が嘗め回す度、強い快感が腰を貫く。乱れた金の髪が美貌に掛かり、表情は見えないが、桃色の舌が自分の黒い茂みに割り込むのは良く見える。リンゼイが顔を少し傾け、舐めながらアーシャを見た。
 金糸の間から碧眼が、彼女を試しているようだった。本当に嫌がっているのかどうか。
 整って美しい男の顔半分が、アーシャの不浄の場所に埋まり、先程彼女の口を犯した舌が水音を立てて引っ切りなしに蠢く。リンゼイは餓えた狼の様な様相で、こんなことをしながら奮い立って猛っていた。
 どうしてそんな汚いところを舐めるのか、分からない。このインドでは、結合はカーマスートラでも重要視されるが、男根崇拝が根強く……これを使わないで女に快感を与えることは滅多にない。乙女はこんなことを想像したこともない。
 リンゼイは何をしているのだろうか、そして肌を灼いて駆け巡る熱塊の小隊は何なのか。
 ――彼は私のことを乱したいの?
 それとも、汚いと思わないほど夢中になっているから、だろうか。そう思った途端、アーシャの身の裡を快感が貫く。固く瞑らざるを得なかった瞼の裏に火花が散った。
「ア――…ッ」
 まるで快楽のナイフが切り裂かれたような感覚に、微かに尾を引く悲鳴が上がる。彼女はそれが何なのか分からない。ただ腰が浮き上がって、意思に反して魚のように撥ねる。息が乱れ、身体中が硬直して、痺れたように大きく震えていた。それが終わったと頭の何処かで感じても、細波が寄せては返して、彼女を放って置いてくれない。
「嫌だった?」
 リンゼイの声は静かで堅苦しく聞こえる。彼の唇で割り開かれた亀裂が、歓喜の蜜を零しながら収縮を繰り返すのを、余す所なく見たのだ。もっと先が欲しいが、アーシャは黙ったままでいる。シーツにまでも溢れたのに、本当に否、だったのだろうか。
 彼女はやっと楽になってから、小さく溜め息を吐いた。傾けた顔の鼻筋の方へ、目頭から一筋雫が零れ落ちる。頬が打たれたように赤みを帯びていた。女の上げた目の白目がほんのり充血して、溶け出しそうだ。拒むようにくねる総身に彼が臍を噛む。
「ごめん、嫌ならもうしない」
 彼女は首を振る。リンゼイがその間、息を呑み、うろたえている気配が伝わってきて、いい気味だと思う。気になるなら、始めからしなければいいのだ。だが、意思を無視された気がするのに、怒る気にはなれない。それに済む前は酷く不安だったが、済んだ今は何故かゆったりした、とても善い気分になっていた。こんな気持ちになるものが、悪いものだとは思えない。
「今のは何? 私は……汚れてしまったの?」
「どうしてそんなことを。美しい、誰よりも」
 リンゼイがキスしようとする。しかし、アーシャは困惑して顔を逸らしてしまった。受けるべきだと思っていたのだけれど、汚い気がしたから。彼は何もいわず、頬に接吻する。その手が、やっと痙攣が治まった彼女の花弁に触れ、何も聞かずに指を入れてきた。
「ア……」
 アーシャは焦ったが、それは男を拒む筈の場所が何の痛みも呼び起こさず、指をあっさり受け入れてしまったからだ。
「痛い?」
「いいえ、でも」
 返答に、リンゼイは安堵する。余りにも小さ過ぎるから、発達していないのかと思ったが、ヴァギナはちゃんと成熟している。これなら、入る。なので、もっと大胆な気持ちになった。
「気持ち、良くはない?」
 一度引き抜かれ、次には二本も入って来た。埋め込まれている圧迫感は増えたが、彼女の汚されていない秘所は少しも拒否していない。女の体を知り尽くした指が、内部の形状に沿って折り曲げられているから、傷まないのだ。苦痛がないので安心したとばくちを器用に綻ばせて、リンゼイが耳元で哀訴する。
「君が欲しいんだ、這入ってもいい?」
「サー、リンゼイ」
 アーシャは細腕を彼の首に巻き付け、抱き付いた。リンゼイの息が思わず乱れ、自分の一物が震え、大きくなって引き攣ったのが分かる。愛撫して快感を与え、乱れさせ、所有欲求を満たすのも大好きだが、インサートも……好きだ。入れることを求められるのはもっといい。
 誰も通ったことがない女の処女を奪って、「初めての男」になれるのだと考えると、心が躍った。可笑しな物だ、少し前まで実は、処女を抱く億劫さも意識にあったのに、いざ抱けるとなると苦労したほど戦利品に価値があるように思える。何でも初体験は重要だ。初めてスキーをする人間が骨折したなら、自分の落ち度はさて置いて、大抵もう二度とスキーをすることはないだろう。
 優しくしなければならない、自分が男の素晴らしさを彼女に教えるのだから。
 リンゼイは忘れたりはしなかった。惜しくてたまらないが、彼は肌を離し、ベッドから降りる。脱ぎ落としたジャケットから財布を取って、中からコンドームを取り出した。そのまま手馴れた仕草で、勃起した自分の一部に被せる。鼻歌を囀りそうな気分はいつものことだ。
 しかし戻って見ると、何とアーシャは起き出しており、涙ぐんでいた。そして隣に滑り込んだ彼から大仰に身を逸らす。リンゼイは思い立ったことをそのままいってしまうほど、動揺した。彼女は初めてなのだ、恐れても仕方がない。初めてだったら良くあることだ。
「僕のが……大き過ぎると思ったのか? だが、自然は上手くできているんだ、そのことで特別痛くなったりしないよ。痛かったら、止めるから」

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