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インディア~親蜜の香り~その二章 5
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その夜遅く、彼はアーシャが待つ自分の家に戻った。
リンゼイの持ち家もまた郊外にあり、二階のない一軒家で、一人暮らしには大き過ぎ家族持ちには小さ過ぎる造りだった。停まっている車はベンツ、薄茶の壁に茶色の屋根で窓枠も茶色、彼が越した時に自分で塗ったものである。
内部は小さなキッチンと大きなリビングルームがあり、居間は小さな裏庭が見える大きな窓に面している。部屋は他に個室が三室、一番大きな一室を寝室に使い、黒い革のヘッドが付いたダブルベッドとクローゼット、一番小さな部屋にはパソコンデスクとデスクが置かれ、書斎だった。
もう一室は空いているのだが開かずの間で、学生時代に使っていたシングルサイズのスプリングベッド、長期旅行の為のスーツケース、たまに乗るスポーツ自転車、その時々に散らかされ片付けられなかったものが突っ込まれている。もしアーシャがセックスを拒んでも、逃げ込める部屋があるわけだ――リンゼイは半分本気でそう思っていた。
彼女は居間にいた。ソファで横になって、テレビを付けっ放しで眠っている。リンゼイを待っていたのだ。今着ているぶかぶかのバスローブはリンゼイのものである。シャワーを浴びたらしい。寒い英国で着る為のセーター、コート、マフラーなどは買い漁ったが、そういえばパジャマはいつもリンゼイのシャツだった。
最初にアーシャに貸したシャツは今、彼が着ている。メイドが洗濯して戻って来たシャツの甘い残り香を嗅いで、リンゼイは激しく動揺し、ときめいた。これを纏っていることに倒錯的な気持ちすら抱いた。ここで彼女がずっと暮らしたら、シャツ全部に彼女の匂いが付くだろう。昔は欧州でも恋人の男と女が同じ香水をつけるのは「愛し合っているから」だといわれたのだが、今は「ゲイみたいな匂い」とそやされる。
彼はソファに足を突き、ソファの背に手を置いて、婚約者を覗き込んだ。揺れに目覚めて、アーシャが瞳を開ける。
「戻ってこないかと思いました」
「何故?」
「だって、貴方の親御さんは凄く立派だったから」
リンゼイもそうだ小声で上品に喋り、優しくて親切だった。それは文化的で教養が高いからだと、彼女にも判る。
彼は、アーシャの勘の良さには愕かなかった、女なら誰でも分かることだ。彼は家族を黙らせた様に、囁いた。
「愛しているんだ」
そして、ヴァイオレットの香油を垂らしたであろう首筋に、鼻を押し付ける。アーシャの体臭を交じり合ったそれは、より芳しく彼を宥め、静かに猛らせる。
「大好きだ、君の匂い」
首筋だけじゃない、汗の匂いも、内股のそれも……あの味も。身体だけではない、身の裡に宿る心と魂はもう切り離せないほど強固に、男の中に根付いてしまった。大きく開いた胸元から手を差し入れ、乳房に触る。バスローブの下に彼女はサテンのキャミソールを着ていたが、肩紐を指で滑り落とし、直に胸を掴んだ。柔らかい質量を本格的に揉みしだき、顔を寄せようとする。アーシャは身を捩り、その手を両手で押し戻した。
「ベッドに……」
「ここでいいよ」
リンゼイは手を除け、自分の胸の釦を外しながら、コーヒー色の耳後ろに舌を這わせる。しかし、アーシャは厳しい顔付きで一方を直視した。その方向には、午後中陽光が入る大きな窓がある。カーテンは二重に掛かるようになっていたが、今は薄い内側のカーテンしか閉まっていない。
「嫌。見えてしまうわ、ダメ」
「見えたっていい。君は僕と結婚して、毎日この家でこうするんだから」
「毎日?」
彼女は聞き咎めて、身を起こした。彼は驚いて顔を上げ、アーシャを間近で見つめる。アイラインを落とし、少し小さくなった瞳は濃艶を失って、まるで少女の様だが、通った鼻、厚い下唇、茶色い黒砂糖の様な胸肌は大人の女だ。早く、抱きたい。
「私、ずっと家にいるの?」
「あ、今のは例えで……働いて構わないよ」
彼女は男の扱い方を心得ているらしい。鉄は熱い内に打て。冷たくなってからでは自分の求める形には変えられない。変えられたとしても、大きな力が必要で壊してしまう可能性がある。これ以上ないくらいに盛り上がったところで婚約、結婚する前から結婚後の生活に逐一目を光らせている。この分だと、新婚の間にリンゼイはアーシャの望む通りに躾けられてしまうだろう。
「でも……」
彼女はそれでも渋って、バスローブの胸を整えてしまった。
「疲れたら、応えられません」
「もちろん、君の予定に合わせるよ」
「本当ですか?」
何度目かの、嘘だ。彼は無邪気にも、結婚したら家の中ではいつでも何処でも、思い立った時にセックスできる、と思っていた。違うようである。しかし致し方なかろう、認めるしかない。このまま結婚生活に話が飛んでは、本末転倒だった。話題を元に戻すために、リンゼイが彼女の唇を見ながら口説こうとする。
「君のいう通りにしたら、ベッドに行く?」
男と女として付き合って間もない二人は、まだお互いの欲望をぶつけ合うほどに親しくはない。彼女は安らいで笑い、頷く。
そう、これだ。こんな時、愛する女との性交しか考えていない男が、イエスといわざるを得ないような状況で、取引を持ち出すとは、油断ならない女。彼はアーシャの賢しさに失笑し、腕に抱き上げ、ベッドに向かう。リンゼイはその多感さを理解していたし、彼女は焦らしたり、交歓に冷水を浴びせるような真似をしたりするが、こういった行き違いは媚薬のようなものだ。潔癖さに腹は立たない、その返礼は充分に受けている。その為の交換貨幣なら幾らでも払おう。今もそうだ。
「貴方が好き、貴方は優しいわ……」
こういって、リンゼイの首に腕を巻き付け、頭を胸に寄せる仕草が、彼を満たすのだ。そのこめかみにキスすると、見下ろす彼の頬を小さな手で包んで、潤んだ瞳で見上げてきた。
「私の王様、貴方を愛しています、貴方に可愛がってもらえるように永遠に努めます。私を貰って下さったのが、貴方で良かったと思っています、サー」
現代の男には赤面するか噴き出すかしか選択肢はないように思われる、大袈裟な睦言にも、リンゼイは慣れて来ていた。こそばゆくて顔が赤くなったが、微笑み返す。彼女は男の機嫌を取る方法を、崇拝だと信じている。
アジアの男は、自分を崇め奉ってくれる下位の女でないと魅力を感じないというが、それに端を発しているのだろうか。そういった男は女が崇めてくれなくなると、次の女を探すという。
大学の同級生だったアーリア人の男友達はファラオの如き美しい男だったが、自分を崇めて仕えてくれる限りどんな冴えない女子学生でも相手にした。しかし恋人が北欧の男女の原理を当て嵌めようとし始めると、あっさりその女を捨て、彼女の後ろに並んで順番を待っている学生の中から、また洗濯をし料理をし奉仕し、彼を褒め称える女を見つける。捨てた恋人に対する冷淡さは、女の訴えをまるで外を通る車の雑音か何かと同じと思っているかのようだった。
リンゼイには違う血が、女王に忠誠を誓い、上位の女を憧憬する騎士の血が流れているので、無意識に自分は十字軍でインディアの王女を褒章で戴いたのだ、と想像する。しかもその王女は一介の騎士である彼にとって身分違いの高嶺の花、ずっと手に入れたくて煩悶した女だ。
「君は僕の女だ」
リンゼイは寝室の電気を点けずベッドに抱いて行って、ベッドの端に投げ落とした。そして自分は立ったまま、乱暴にジャケットを放り、ベルトを外して下着ごと脱ぎ散らかす。それを見ながら、落ち着いた表情で彼女は柔らかいベッド上で身をくねらせ、足を曲げて上に上げ、男の手を静かに待っていた。
リンゼイが被さり、胸元を引き下して艶やかなコーヒー色の肌を剥き出しにする。キスで味を確かめ――初めての時は薄い塩味がしたのだが、今も美味だ――舌鼓を打つ。時に強く吸い、所有の印を幾つも刻んで、彼女を自分の物にしたいと願望する。そのままスリップを引き下げていって、下着も引き摺り落とした。ヒンドゥー女もそれに倣って。腰を上げて脱がされるまま手伝う。腰を浮かび上がらせる蛇のような柔らかい胴の動きに、リンゼイが卑猥な想像をしているとは、知るまい。そういえば、彼女に初めて絶頂を教えたときもこうやって腰を振ったものだった。
男は自分を盛り上げながら、上から足先まで全身にキスの雨を降らせ、脚を大きく割り開く。アーシャが顔を手で隠してしまった。
「そんなところ、見ないで下さい、恥ずかしい」
彼女のいう通り、二つに割れた秘密の裂け目が露わになっている。
「本当に、可愛いよ」
彼は労わりたくなる様な幼女の如き性器を間近で視姦し、女の香気を嗅ぎ愛でてから、特に顔を出しているピンク色の小さな芽を舌で突付た。舐めて、やっと潤ってきたところで、彼は早急に指での摩擦に切り替え、身を重ねる。音を立てて舐めてやりたいが、今は何にも増して繋がってしまいたかった。潤みは少なく、緊張は解けていないが、今は神にだって咎められずに強引にでも結合できる筈。自分は女に対する男の最も偉大な義務を、果たしてきたところだ。
「いい?」
頷いて目を閉じるアーシャに、リンゼイは慎重にしかし毛際まで一気に入り込んだ。着たままのシャツを、彼女が掴んで身を強張らせる。
「ア……!」
まだ奥が濡れていなくて、彼自身の粘膜も攣れて痛みを感じた。リンゼイは床に足を付けて支え、注意深く彼女を何度もベッドに押し上げる。
「君は、僕のものだ」
「ア……ア……」
長い男の腕で掬い上げるように抱き、濃い色の肌が彼の浮き出した筋肉に密着する。汗を孕んだ肌は濡れた絹のような質感で纏わりつく。その中で、乳房の頂点だけがしこっている。
まだ子供は欲しくない、丁度一大事業を成し遂げたところなのだ。今だってもっと独占したくて悶々しているのに、子育てを家庭の本分と心得るであろう古いアーシャを、赤ん坊なんかに取られるわけにはいかない。外に出さなくてはならない。頭の隅でリンゼイはまだ考えられた、あと数分の間はこの考えを持続できるだろう。その間に、外に出さなければ。
リンゼイの持ち家もまた郊外にあり、二階のない一軒家で、一人暮らしには大き過ぎ家族持ちには小さ過ぎる造りだった。停まっている車はベンツ、薄茶の壁に茶色の屋根で窓枠も茶色、彼が越した時に自分で塗ったものである。
内部は小さなキッチンと大きなリビングルームがあり、居間は小さな裏庭が見える大きな窓に面している。部屋は他に個室が三室、一番大きな一室を寝室に使い、黒い革のヘッドが付いたダブルベッドとクローゼット、一番小さな部屋にはパソコンデスクとデスクが置かれ、書斎だった。
もう一室は空いているのだが開かずの間で、学生時代に使っていたシングルサイズのスプリングベッド、長期旅行の為のスーツケース、たまに乗るスポーツ自転車、その時々に散らかされ片付けられなかったものが突っ込まれている。もしアーシャがセックスを拒んでも、逃げ込める部屋があるわけだ――リンゼイは半分本気でそう思っていた。
彼女は居間にいた。ソファで横になって、テレビを付けっ放しで眠っている。リンゼイを待っていたのだ。今着ているぶかぶかのバスローブはリンゼイのものである。シャワーを浴びたらしい。寒い英国で着る為のセーター、コート、マフラーなどは買い漁ったが、そういえばパジャマはいつもリンゼイのシャツだった。
最初にアーシャに貸したシャツは今、彼が着ている。メイドが洗濯して戻って来たシャツの甘い残り香を嗅いで、リンゼイは激しく動揺し、ときめいた。これを纏っていることに倒錯的な気持ちすら抱いた。ここで彼女がずっと暮らしたら、シャツ全部に彼女の匂いが付くだろう。昔は欧州でも恋人の男と女が同じ香水をつけるのは「愛し合っているから」だといわれたのだが、今は「ゲイみたいな匂い」とそやされる。
彼はソファに足を突き、ソファの背に手を置いて、婚約者を覗き込んだ。揺れに目覚めて、アーシャが瞳を開ける。
「戻ってこないかと思いました」
「何故?」
「だって、貴方の親御さんは凄く立派だったから」
リンゼイもそうだ小声で上品に喋り、優しくて親切だった。それは文化的で教養が高いからだと、彼女にも判る。
彼は、アーシャの勘の良さには愕かなかった、女なら誰でも分かることだ。彼は家族を黙らせた様に、囁いた。
「愛しているんだ」
そして、ヴァイオレットの香油を垂らしたであろう首筋に、鼻を押し付ける。アーシャの体臭を交じり合ったそれは、より芳しく彼を宥め、静かに猛らせる。
「大好きだ、君の匂い」
首筋だけじゃない、汗の匂いも、内股のそれも……あの味も。身体だけではない、身の裡に宿る心と魂はもう切り離せないほど強固に、男の中に根付いてしまった。大きく開いた胸元から手を差し入れ、乳房に触る。バスローブの下に彼女はサテンのキャミソールを着ていたが、肩紐を指で滑り落とし、直に胸を掴んだ。柔らかい質量を本格的に揉みしだき、顔を寄せようとする。アーシャは身を捩り、その手を両手で押し戻した。
「ベッドに……」
「ここでいいよ」
リンゼイは手を除け、自分の胸の釦を外しながら、コーヒー色の耳後ろに舌を這わせる。しかし、アーシャは厳しい顔付きで一方を直視した。その方向には、午後中陽光が入る大きな窓がある。カーテンは二重に掛かるようになっていたが、今は薄い内側のカーテンしか閉まっていない。
「嫌。見えてしまうわ、ダメ」
「見えたっていい。君は僕と結婚して、毎日この家でこうするんだから」
「毎日?」
彼女は聞き咎めて、身を起こした。彼は驚いて顔を上げ、アーシャを間近で見つめる。アイラインを落とし、少し小さくなった瞳は濃艶を失って、まるで少女の様だが、通った鼻、厚い下唇、茶色い黒砂糖の様な胸肌は大人の女だ。早く、抱きたい。
「私、ずっと家にいるの?」
「あ、今のは例えで……働いて構わないよ」
彼女は男の扱い方を心得ているらしい。鉄は熱い内に打て。冷たくなってからでは自分の求める形には変えられない。変えられたとしても、大きな力が必要で壊してしまう可能性がある。これ以上ないくらいに盛り上がったところで婚約、結婚する前から結婚後の生活に逐一目を光らせている。この分だと、新婚の間にリンゼイはアーシャの望む通りに躾けられてしまうだろう。
「でも……」
彼女はそれでも渋って、バスローブの胸を整えてしまった。
「疲れたら、応えられません」
「もちろん、君の予定に合わせるよ」
「本当ですか?」
何度目かの、嘘だ。彼は無邪気にも、結婚したら家の中ではいつでも何処でも、思い立った時にセックスできる、と思っていた。違うようである。しかし致し方なかろう、認めるしかない。このまま結婚生活に話が飛んでは、本末転倒だった。話題を元に戻すために、リンゼイが彼女の唇を見ながら口説こうとする。
「君のいう通りにしたら、ベッドに行く?」
男と女として付き合って間もない二人は、まだお互いの欲望をぶつけ合うほどに親しくはない。彼女は安らいで笑い、頷く。
そう、これだ。こんな時、愛する女との性交しか考えていない男が、イエスといわざるを得ないような状況で、取引を持ち出すとは、油断ならない女。彼はアーシャの賢しさに失笑し、腕に抱き上げ、ベッドに向かう。リンゼイはその多感さを理解していたし、彼女は焦らしたり、交歓に冷水を浴びせるような真似をしたりするが、こういった行き違いは媚薬のようなものだ。潔癖さに腹は立たない、その返礼は充分に受けている。その為の交換貨幣なら幾らでも払おう。今もそうだ。
「貴方が好き、貴方は優しいわ……」
こういって、リンゼイの首に腕を巻き付け、頭を胸に寄せる仕草が、彼を満たすのだ。そのこめかみにキスすると、見下ろす彼の頬を小さな手で包んで、潤んだ瞳で見上げてきた。
「私の王様、貴方を愛しています、貴方に可愛がってもらえるように永遠に努めます。私を貰って下さったのが、貴方で良かったと思っています、サー」
現代の男には赤面するか噴き出すかしか選択肢はないように思われる、大袈裟な睦言にも、リンゼイは慣れて来ていた。こそばゆくて顔が赤くなったが、微笑み返す。彼女は男の機嫌を取る方法を、崇拝だと信じている。
アジアの男は、自分を崇め奉ってくれる下位の女でないと魅力を感じないというが、それに端を発しているのだろうか。そういった男は女が崇めてくれなくなると、次の女を探すという。
大学の同級生だったアーリア人の男友達はファラオの如き美しい男だったが、自分を崇めて仕えてくれる限りどんな冴えない女子学生でも相手にした。しかし恋人が北欧の男女の原理を当て嵌めようとし始めると、あっさりその女を捨て、彼女の後ろに並んで順番を待っている学生の中から、また洗濯をし料理をし奉仕し、彼を褒め称える女を見つける。捨てた恋人に対する冷淡さは、女の訴えをまるで外を通る車の雑音か何かと同じと思っているかのようだった。
リンゼイには違う血が、女王に忠誠を誓い、上位の女を憧憬する騎士の血が流れているので、無意識に自分は十字軍でインディアの王女を褒章で戴いたのだ、と想像する。しかもその王女は一介の騎士である彼にとって身分違いの高嶺の花、ずっと手に入れたくて煩悶した女だ。
「君は僕の女だ」
リンゼイは寝室の電気を点けずベッドに抱いて行って、ベッドの端に投げ落とした。そして自分は立ったまま、乱暴にジャケットを放り、ベルトを外して下着ごと脱ぎ散らかす。それを見ながら、落ち着いた表情で彼女は柔らかいベッド上で身をくねらせ、足を曲げて上に上げ、男の手を静かに待っていた。
リンゼイが被さり、胸元を引き下して艶やかなコーヒー色の肌を剥き出しにする。キスで味を確かめ――初めての時は薄い塩味がしたのだが、今も美味だ――舌鼓を打つ。時に強く吸い、所有の印を幾つも刻んで、彼女を自分の物にしたいと願望する。そのままスリップを引き下げていって、下着も引き摺り落とした。ヒンドゥー女もそれに倣って。腰を上げて脱がされるまま手伝う。腰を浮かび上がらせる蛇のような柔らかい胴の動きに、リンゼイが卑猥な想像をしているとは、知るまい。そういえば、彼女に初めて絶頂を教えたときもこうやって腰を振ったものだった。
男は自分を盛り上げながら、上から足先まで全身にキスの雨を降らせ、脚を大きく割り開く。アーシャが顔を手で隠してしまった。
「そんなところ、見ないで下さい、恥ずかしい」
彼女のいう通り、二つに割れた秘密の裂け目が露わになっている。
「本当に、可愛いよ」
彼は労わりたくなる様な幼女の如き性器を間近で視姦し、女の香気を嗅ぎ愛でてから、特に顔を出しているピンク色の小さな芽を舌で突付た。舐めて、やっと潤ってきたところで、彼は早急に指での摩擦に切り替え、身を重ねる。音を立てて舐めてやりたいが、今は何にも増して繋がってしまいたかった。潤みは少なく、緊張は解けていないが、今は神にだって咎められずに強引にでも結合できる筈。自分は女に対する男の最も偉大な義務を、果たしてきたところだ。
「いい?」
頷いて目を閉じるアーシャに、リンゼイは慎重にしかし毛際まで一気に入り込んだ。着たままのシャツを、彼女が掴んで身を強張らせる。
「ア……!」
まだ奥が濡れていなくて、彼自身の粘膜も攣れて痛みを感じた。リンゼイは床に足を付けて支え、注意深く彼女を何度もベッドに押し上げる。
「君は、僕のものだ」
「ア……ア……」
長い男の腕で掬い上げるように抱き、濃い色の肌が彼の浮き出した筋肉に密着する。汗を孕んだ肌は濡れた絹のような質感で纏わりつく。その中で、乳房の頂点だけがしこっている。
まだ子供は欲しくない、丁度一大事業を成し遂げたところなのだ。今だってもっと独占したくて悶々しているのに、子育てを家庭の本分と心得るであろう古いアーシャを、赤ん坊なんかに取られるわけにはいかない。外に出さなくてはならない。頭の隅でリンゼイはまだ考えられた、あと数分の間はこの考えを持続できるだろう。その間に、外に出さなければ。
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