賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第六章 女神の洗濯

洗濯機の誘惑

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「失礼な! 答えなさい、我らキャンポーテラ神の、一体どこにムダが多いというのです!」
「ちょっとイングウェイさんっ、何言ってるんですかああー! いきなり怒らせてどーするんでうぅー!」

 興奮するヒューラ、涙目のレイチェル。ちょっと落ち着けお前ら。

「いいか、ヒューラとやら。キャンポーテラ様とやらは、洗濯板だということじゃないか」
「ええ、それが何か?」

「ということは、その神様は洗濯機も使わずに、手で洗っていることになるっ!」

「せんたく、き? ……なんです、それは?」

 ああ、やはり洗濯機を知らないのか。予想はしていたが、この反応。まったく不便な世界にやってきたものだ。

「では教えてやろう。まず風呂釜より一回り大きいくらいのプールに、水を溜めたものを想像してくれ」

「……しましたわ」
「私もしましたよー」

「その真ん中、底のあたりに、風車のようなプロペラを付ける。プロペラは回って水流を作る。ああ、一定間隔で逆回転することもあるな。要するにかき混ぜたいのだ、中の水を」
 ヒューラは何を言っているのかわからないといった顔をするが、素直に相槌を打っている。
「はあ、なるほど、ふむふむ」

「その中に赤ん坊と石鹸をまとめて入れれば、効率的に洗えるのではないか?」

「ふむ? ――なっ、そんなっ! いや、しかしこれは……」

 ヒューラはなかなかに賢いようだ。驚くのは、こんな簡単な説明で詳細なところまで想像できた証拠でもある。
 うーん、その才能、宗教施設の幹部にしておくには惜しいな。

 ヒューラはわなわなと震えながらも、必死で反論してくる。

「そ、そうだ、危険だ! 危険だぞ、そんなことをすれば。赤ちゃんたちがぶつかって、ケガをしてしまうではないかっ!」
「なるほど、いい質問だ。しかしそこは、防御魔法をかけてやれば問題なかろう」
「くっ、しかしっ、 ――こいつ、どこからそんな発想を……?」
「あー、なるほど。いいですねー、何かで試してみようかな。野菜とかお皿を洗うのにも便利かもしれませんね」

 レイチェルよ、感心してくれるのは嬉しいが、そこは素直に服を入れて試してくれ。

「しっ、しかしだ、そんな道具に頼るより手で丁寧に洗った方が、罪も汚れも落ちるはずだ!」

 なるほど、痛いところを付いてくるな。しかし――
「あまり汚れが落ちないのなら、その分、長く洗い続ければいいではないか。魔力でプロペラを回せば、疲れることもないぞ。……おっと、失礼。君たちの女神は洗濯板だったね」

 くすりと俺が笑みをこぼすと、たちまちヒューラの顔が真っ赤になる。
「なっ、あなた、キャンポーテラ様をバカにしましたね! 許せませんっ」


 そのときだ。
「あなたたち、神聖な教会内で、何を騒いでいるのです!」
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