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第七章 製造と販売
ミリリッ太の報復
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サクラに蹴飛ばされ宙を舞うミリリッ太は、体をよじって着地に構える。
無理だ。彼の手は短い。足も。
すこーんとよく響く音を立て、彼は地面に跳ね返る。
そのままごつんと、海洋生物のおでこにぶつかった。
断っておくが、ここは陸地、のっぱらだ。そこに住む海洋生物とは当然のごとく、アサルセニア名物、陸クラゲ。正式名称、ヘヴィー・メタル・ジェリーフィッシュ。
しかし、彼らを正式名称で呼ぶものはいない。
プルプルの体に金属の鎧をまとった彼らを、人はこう呼ぶ。『軍艦(マノウォー)』と。
マノウォーは、ぶつかってきたミリリッ太を、優しく触手で受け止めた。
見つめ合うミリリッ太とマノウォー。
陸にあがった海洋生物と、空を飛んできた魔法生物。奇しくも共に金属の体を持っていた。
「おっと失礼、すいやせんね、旦那。あっしはミリリッ太という、ケチなスキットルでございやす。旦那はなんてお名前で?」
しかしマノウォーは答えない。なぜか。そう、口がないからだ。
しゃべるクラゲは、既にクラゲではない。
マノウォーはミリリッ太の無事を確かめるように、触手で優しく撫でると、そのまま立ち去ろうとした。
「旦那、でっかい鍋みたいな旦那。ここで会ったのも何かの縁です。あっしと組みやせんか? あっし、ちょっとむかつく野郎がいるんでさあ。旦那にちょっと懲らしめてもらおうかと思いやして。
なに、損はさせやせん。そいつ、みょうちきりんな機械を最近つくりやがってですね。報酬はそいつでどうです?
ああ、機械のことですか? でっかい鍋みたいなやつで、その中に、くるくる回る羽がついているんです。
――どうです、旦那。中に入ったら、絶対気持ちいいですよ?」
マノウォーの目が、鎧の奥できらりと光った。
この小さな金属瓶の魔法生物は、自分のことを知っているのか?
この、固い鉄の鎧の下の、ぷるぷるのボディのことを。
興味を持ったマノウォーは、ミリリッ太の体に触手を巻き付ける。
飛び出る毒針。弾くミリリッ太。
金属の体に、毒針は刺さらない。
ふぉっふぉっふぉっふぉ。
不気味にこもった声を出し、マノウォーは笑う。
彼はマノウォー一族の中でも、かなりの頭脳を持っていた。頭が非常に、よろしい。
地上を征服するのだ、その足掛かりとして、この奇妙な空き瓶野郎を利用する。そう考えた。
このマノウォーは頭がよい。しかし、所詮はクラゲ。所詮は海洋生物。脳みそは少なかった。
ミリリッ太は中身がない。脳みそもない。しかし、魔法生物。それなりに知能はある。調子だけは良い。
マノウォーはミリリッ太と組むことにした。
戦ったところで、あっさりとイングウェイの術により蒸発してしまうのは、目に見えているというのに。
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