賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

文字の大きさ
100 / 200
第10章 ドキドキ☆ラブ・ライトニング!

異界からの呼び声

しおりを挟む

「なんですの、ここは。ずいぶんぼろっちいですけど、初めて見る雰囲気ですわ」
「そうだねー、マリア連れてきたら喜びそうだけど」

 扉の先は、奇妙な部屋だった。
 地下なのにガラス窓がいくつも並んでおり、その手前に金属製のテーブルがある。
 テーブルにはいくつものボタンやレバーがついており……

「まるでコントロールルームだな。遺跡内を管理していたのか? 動力は――、さすがに来ていないか」

 ホコリを手で払いのけるが、書いてある文字はかすれていて読めなかった。

「わかるんですの?」
「ある程度はな。見たことがあるってだけだ」

 なぜこんなところに? 俺は顎に手をやり、じっと考えを巡らせる。
 キャスリーの使っている銃のように、過去の遺跡から妙な機械が発掘されることはよくあることだ。
 もしかしたら今まで発見例がないだけで(もしくは、発見者がわからなかっただけで)、他にもこんな遺跡はあるのかもしれない。

 となると、だ。
「キャスリー、この地方に伝わる伝承で、過去の文明についての話を何か知っているか?」
「え? ええ、いくつかありますわよ。昔々私たちの御先祖様は、この地で貧しい暮らしをしていたらしいですけど、突然現れた神様みたいな人達にいろいろな道具を与えてもらって、発展したとかなんとか」
「その神様みたいな人達とやらは、その後どこへ行った?」
「たしか、東の方角へ旅立ったとか」

 ――東、か。古い遺跡が多くあると聞いているが、今は荒れ果て、魔族の住む地となっていたはずだ。

「でもそんな昔話って、どこにでもあるものじゃないんですか? 私の故郷にもありましたよ?」
 まあ、そうだろうな。こういう伝承は珍しい話じゃない。
 だが、伝説に語られる武器が実在しないという証拠などない。魔族が実際に俺たちの知らない武器を所持していたら? それが魔法による武器なら、まだいいさ。しかし、科学技術による武器だったとしたら。
 情報は力だ。知らないこと自体が、致命的な差になってしまう。

「まあ、考えたところでどうしようもないか」

 ため息を吐いた拍子に、コンパネに積もった埃が舞い上がった。
 それを見ていたサクラが、笑顔で言った。
「あー、イングウェイさん、また一人で考え込んでますね? みんなで協力すれば、なんとかなりますって!」

 うん、そうだな。
 しかし、この世界で科学技術に少しでも理解があるのは、俺くらいだろう。
 楽観はしない、この世界に存在する古い遺跡。それらに関する可能性については、頭の中に入れておかねば。


「話は終わりですの? さっさとお宝を探すんですのよ!」
「そだねー」
「ああ」


 先にはそこそこ広い空間があり、魔術的な道具も多数置かれていた。調べてみたが、アサルセニアで古くから使われている術式と同じものだったり、その派生だったりだ。先ほどの機械類を使用していたものたちと、同一とは思えない。
 おそらく、偶然この遺跡を見つけた魔術師が魔術による改造を行い、アジトとして使用していたのだろう。

 サクラとキャスリーは財宝と魔術用品を。俺は、機械部分から金属をいくつかいただくことにする。
 マリアに渡せば、素材として活用してくれるかもしれないからな。
 最後に、封印措置を施し、このダンジョンの処理はすべて終わりだ。



 ギルドに戻った俺は、アリサ嬢に当たり障りのない話をしたあと、ギルド長と面会できるか聞いてみた。
 例の遺跡の機械部分の報告、そして魔族に関する話を聞くためだ。
 残念ながら留守らしいので、出直すことにする。

 まったく、俺は楽して暮らしたいだけなのに、どんどん厄介ごとが増えていくものだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...