賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第11章 パペット・パニック!

ふうさされたハウス!

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「なんだこいつ、アンドロイドか?」

 俺たちの目の前に現れたのは、金属製の光沢を持つ、一体の人形だった。
 いや、人形のように見えるのは形だけ。目には光が無く、顔はまるで仮面のように感情が読み取れない。
 魔力はさほど感じないが、かわりにどんな攻撃をしてくるかも一切想像できなかった。

 かくん、とマリアに似た――メタルマリアの首が後ろに倒れる。取れた首の断面から、複数の触手が伸びていく。
 ううむ、これはちょっとしたホラーだな。
「首がもげるところまで似ているとは、ゾンビになりきっているのか?」
「うええ、ボクはあんな化け物じみた動きはしないよ!」

 マリアの必死の抗議。

「マリア、あいつは何に弱いと思う?」
「え? ええと、なんだろう。金属っぽいから、直接的な打撃よりも熱とか冷気かな。あとは――」

 室内で炎か、あとで怒られそうだからパスだ。ならば――
 迫る触手に、俺は右手をかざす。まばゆい閃光とともに、太い電撃が奴に直撃する。

「あとは、≪電撃ライトニング≫あたりかな? 電気の通りは良さそうだが」
 俺の腕の中で、マリアはこくこくと頷いた。

 ぶすぶすと焦げつつも、メタルマリアはゆっくりと動く。呆れたな、たいした生命力だ。
 さて、と。
 瀕死のモンスターを前に、俺はマリアに事情を聞く。
 そこへ、フィッツがやってきた。

「フィッツー。怖かったよー。聞いてよ、へんなモンスターがさー、」
「ああ、ちょっとしたトラブルだ。大丈夫だ、もう終わった」

「……そう」

 フィッツは素っ気なくつぶやくと、じっとこちらを見ている。その眼には、光が無い。

「……フィッツ? どうした」

 てくてくと歩いてきたフィッツは、急に妙な体勢で俺に向かってとびかかってきた。
 うがあっ!

「うおっ、どうした、寝ぼけているのか?」
「インギー、そいつも化け物かも! やばい!」

 もみ合った後、フィッツを蹴りはがす。彼女の顔はドロリと溶け、まるでのっぺらぼうだ。
「インギー、さっきの奴もいなくなってる!」
「なにっ!」

 振り向くと、焦げた床があるだけだ。ばたばたと音を立て、ニセフィッツも逃げ出す。
「まずい、追うぞっ!」
 が、遅かった。ニセフィッツは身軽に窓から外へと逃げ出す。

 しまった。

「どーしよう、インギー」
「とりあえず、だ。張ってある結界をすぐに強化する。外に逃げられるとさらに面倒になる。あとは、全員をたたき起こすぞ。敵が何人か、誰に化けているか、わかったもんじゃない」
「わかった!」

 マリアに俺の側を離れないように厳しく言う。今の様子だと、次に現れたときにはもっと似せてくるかもしれないからな。



 数分後、俺は中庭にギルドメンバーを集めた。
 サクラ、キャスリー、フィッツ、レイチェル。そして、俺とマリア。集まったメンバーの前で、俺は事情を説明した。
 キャスリーが手をあげ、質問をしてくる。
「あのーインギー、一ついいですの?」
「なんだ?」

「この中に偽物が混じっている可能性もあるんじゃないんですの?」

 しまった、盲点だった。

 どうすればいいだろうか、確かに今の段階で確実に信用できるのは、一緒にいたマリアだけだ。
「インギー、それにゃん。そのモンスターが最初からマリアに化けてた場合、マリアも怪しくなっちゃうにゃん?」

 しまった、それも盲点だった。

「もっと言うと、イングウェイさん自身もモンスターって可能性もありますよね。こうして皆を集めたわけですから、マリアさんと二人ともモンスターってことはないでしょうけど。騙されてるのがマリアさんって可能性も」

 困った、何か信用してもらう方法はないものだろうか。
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