賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第13章 闇のとばり

No matter what you say

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 兵士たちがガーゴイルと戦っていた。
 俺は襲われた兵士の横から、ガーゴイルに切りかかる。兵士をかばい、剣でガーゴイルの突進を受け止める。

「逃げろ。奴らの鉤爪は鋭い、剣が折れるので逃げるべき」

 兵士の忠告。この世界に住むガーゴイルは、栄養をたくさん持っているように見える。
 盛り上がった筋肉はいびつな形。そして指摘の通り、太く鋭い鉤爪。
 奴らの皮膚は群青の鱗。まるで大蛇のようだ。しかし不釣り合いな顔の小ささは、我々を困惑の波に飲まれる。

 その場にいた数匹のガーゴイルをにらみ、俺は戦った。

「ふむ、大丈夫だ。これくらいなら十分さばくことができる」
「任せてもいいのか? 限界だ、我々の体力は」
「ええ、下がって休んでいてください。引き受けます」

 返事はレイチェルがした。彼女は、すぐに後ろの三人娘に指示を出した。
 並んで、手を前に突き出し、呪文を唱える。呪文は簡単なものが良い。
 失敗は問題にはならない。今、彼女たちの体には魔力がたくさん満ちている。しかし形が必要だ。

 きっかけがあれば良い。それで、彼女たちの術は発生する。

「イメージです。荒れ狂う炎が、敵に向かう。火球がぶつかる。または、砕ける氷塊。それらを言葉にしてください」

「「「はいっ!」」」

 三人は思ったより素直な様子だった。
 循環する魔力が、自信を与えたのだろうか。

 最初に、タイナマは唱えた。
「≪溶岩の槌ラーヴァハンマー≫っっ!!」
 赤熱した岩石が、ガーゴイルの頭上にあった。突然現れたそれは、一気に落ちた。
 ガーゴイルは避けることはできない。ひどい姿勢で地面に押し付けられ、そのまま頭から燃えていく。

「す、すごい……」

 驚くキペッゼに、レイチェルは言った。励ましているように。
「あなたもできます。自信をもって。さ、手を前に出し、集中するのです」

 ガーゴイルはギイギイと鳴き、こちらを見た。身を低くして、走り出す。
「恐れるな、俺が守ってやる。さあ、術を使え」

「は、はい。 むむむ、≪氷雪の槍アイシクル・スピア≫!!」

 キペッゼの前に氷柱が並ぶ。しかし、ガーゴイルはこれを見ている。当然な、避けようとする。

「イングウェイさん!」
 レイチェルも俺に声をかける。俺は何をすべきかわかっている。
「任せておけ。ふん、逃がすか」

 俺はフェイントをかけて、ガーゴイルの脚部を切りつける。ぎゃっとうめき声が聞こえ、奴の動きを止めることに成功する。
 次の瞬間、抱きかかえるような姿勢を保ったガーゴイルが、俺の横を通った。
 氷塊が、ガーゴイルの胸に刺さっていた。すごい勢いで二本だ。すでに息絶えているだろう。

 タペルツ、三人目は驚嘆した。
「すごい、これ、本当にあなたたちがやったんですの?」
「ええ、そうです。タペルツさん、あなたも同じことができますが、決心がまだできていません」
「で、でもですの」

 タペルツは戸惑う。何をするとよいかが、わからないようだ。
 俺はその様子に、あのころのキャスリーを見た。

「いいさ、ゆっくりいこう。肉体的に戦えるようになったからって、気持ちがすぐについてくるわけじゃない。戦いは怖いものさ。俺もはじめはそうだった」

 タペルツの頭を叩いた。優しくポンポンとした。


「あ、ありがとう、ですの……」


 タペルツの顔は紅潮しているように見えた。

「まったく、イングウェイさんは甘すぎますよ」
 レイチェルはそういったが、怒っているわけではなかった。

 敵はまだ残っている。気を抜くのはいけない。
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