126 / 200
第13章 闇のとばり
Shape shift, feeling I've been
しおりを挟むガーゴイルたちは動いた。妙な動きを見せた。
最初イングウェイは違和感を禁じえませんでした。それは、まるでコンピュータを思わせるようでした。
「妙だ、こいつら、動きが単調過ぎる。統率が取れているというわけではない、まるで操られているような動きだ」
イングウェイが最初の一撃を振りかぶったとき、ガーゴイルは避けようとしなかった。
まるでそれが無かったかのように、攻撃を受けた。
最初に疑われたのは、操作魔術の類だ。レイチェルの使う死霊術も、広義の上ではこの分野に属する。精神性のものと肉体性のものがあるが、対象者の体を人形のように操る術だ。
イングウェイはガーゴイルの爪を剣で受け止めつつ、慎重に相手の魔力を探る。操作魔術ならば、対象者の中に術者の魔力が混じるはずだった。
しかし、それは見つからない。
4匹のガーゴイルが飛んできて、一直線に横に並ぶ。
「レイチェル、援護を!」
「はい!」
レイチェルの指示で飛び交う、炎と氷の矢。それは的確にガーゴイルたちを貫いている。
威力は良いです。しかし、狙っている人は、素人魔術師。
ガーゴイルは魔素の濃い場所に住みつく、中位モンスターだ。初級冒険者たちが不意に出会った場合、逆に狩られることも珍しくない程度には強いはず。
それだけではない。戦場は混乱している。しかし、規則正しく動いてもいる。
兵士たちが忙しく動き回る。彼らは何をしているのか。誰と戦っているのか。
そうだ、兵士たちを観察すると、皆が一定の位置を往復しているように見える。
兵士たちは、戦っているように見えて戦っていない。
目の前でイングウェイたちが敵と戦っているというのに、兵士たちは何も手を出してこかった。手伝わない代わりに、邪魔にもならないように、一定の距離を保っている。
イングウェイが戦いながら移動すると、兵士たちの輪も移動する。
一体みんな、何をしているのだ?
決定的なのは、一人の兵士の動きに気付いたこと。
あいつは見覚えがある。イングウェイは気付く。あいつはたった今、俺の目の前を通り過ぎていったやつだ。鎧の側面に傷があったので、覚えていたのだ。
そいつが、今度は逆方向へと走っている。
これで、三度目だ。
兵士は、同じところを意味もなく往復していた。
まるでミキサーで頭の中をかき混ぜられているようだった。吐き気がして、無理やり唾を飲み込んで押さえつけた。
「イングウェイさん、こいつらなにかおかしくありませんか? その、弱すぎるというか……」
「ああ、わかっている。今考えているんだ、少し黙っててくれ」
レイチェルは異変を敏感に感じ取っているが、その正体には気付くことができない。
当然だろう、役者がモニタの向こうの観客を知ることは、決してないのだから。
気付く可能性がわずかでもあるのは、この場にはイングウェイのみだ。
イングウェイは、敵を目前にして、静かに目を閉じた。
感じるのは、世界の変化。転生をした時のような、次元のスライド。
求めるのは、真実の世界。
0
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる