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第13章 闇のとばり
The Gods that Failed
しおりを挟む「お前は誰だ?」
イングウェイはつぶやいた。
「なぜ俺の名前を知っている?」
今度の声は、少し大きい。
目を閉じたまま、つぶやいている彼は、迫っている敵は、いないものとして扱う。
魔力による干渉が、私に向かってくる。
いつからかはわからず、無意識かもしれない。確かなことは、イングウェイはいつの間にか”私”を認識していたということ。
それでも、私からイングウェイを認識することは許されない。規則を破壊するのは、適切ではない。
「答えろ。そこで喋っているお前に聞いているのだ。今、『規則を破壊するのは適切でない』と言ったな。規則とはなんだ? どこにいて、どうやって俺のことを認識している?」
イングウェイが私の逃げ場をふさいでいく。私はとうとう観念して、問いに答える決心を固める。
「持って回った話し方は止めろ。ここはどこだ?」
ここは、お前の世界の外側に位置している。
「世界の、外側だと?」
そうだ、いつから私の存在に気付いていた?
「わからない。ヒントはあったのかもしれない。少しずつおかしな感覚が積もっていき、気付くことができた」
何が目的だ。
「それこそ、わからない。俺たちを操る意志のようなものに気付き、俺はお前に声をかけた。どうこうしようというわけではなかったさ」
この部分の存在に気付くのは危険だと、思わなかったのか?
「さあな、正直そこまで考えてなどいなかった。危険とはどういうことだ? モンスターでも襲ってくるのか?」
普通ならここでため息の一つでも吐き、独白に入るところなのだろうが、彼が見ている前でそれを行う不適切さを十分に理解しているため、しなかった。
物語というものを彼がどう捉えているのかを聞いてみたいが、無駄だろう。彼は気付きはしたが、その存在の檻が破られたわけではない。
人形は人形であり、自分でページをめくることなどできはしない。語り部と共に歩むのが、せいぜいだ。
「なるほど、それがお前の精いっぱいのメッセージか」
その言葉に地の文を付け加えることは、果たして彼の味方をする行為と同等なのかはわからない。
転生前にデカルトの言葉を聞いたことがあるのなら、何かのヒントにはなったはずだ。
一つだけ言えることがある。
この場所を覗くことができたのなら、きっともう一つの扉も開けることができるだろう。
「待て、お前にはまだ聞きたいことがある」
私にはない。
時間切れだ。ここは空間ではあるが、概念でしかない。
行動が行える場所ではない。行動は、あくまでもページの中にある。
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