賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第14章 サクラ、がんばる!

I'm bleeding

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「それじゃあ、目を閉じてなさい」
 お姉さんは言った。楽しそうな声だった。不安は大きくなるものの、私は黙って目を閉じる。

 暗闇の中、こつり、こつりと、石の床に響く足音が大きくなる。がちゃがちゃと、なにか金属がぶつかるような音がする。
 足音が止まり、ほんの少しだけの沈黙。

 直後、私の首筋に激しい痛みが走った。

「きゃあああっ、いたっ、いたいっ! 何を……」
 慌てて振り向こうとするが、体が上手く動かない。肩をすごい力でがっしりと掴まれている。
 手足を振り回して必死でもがくけれど、魔女はさらに強い力で私を押さえつけてくる。
 私は、魔女が私の首筋を、太い針で突いたのだと思った。

「少しだけ我慢してくれる? すぐ終わるから」
 魔女はそう言うと、無慈悲にも私に突き立てた針をぐりぐりと動かす。
「ぎゃああ、やめてやめて、痛い痛い痛い」
 口の中に酸っぱい鉄の味が広がった。もうその時には、叫びながら暴れるだけだった。突き飛ばすとか振りほどくなんてことすら意識からは遠く、ただひたすら、痛みから逃げようとしていた。
 私は死を強く意識していた。それから逃げようと、必死だった。


 キーン
 硬く高い金属音が耳を貫く。
 さっきまでの痛みは嘘のように引いていた。それどころか、体は軽く、魔力があふれてくる。
 思考だけは少しもやがかかったようにはっきりしないものの、大きな問題はない。

「終わったわよ。さ、行ってらっしゃい」
 女性は、私に言った。

 ――終わった? いったい何が終わったのだろう。 行く? どこへ?

 わからない。
 砂が波にさらわれるように、どんどんと思考が奪われていくようだった。
 そもそも私はここで何をしていたのだろうか。
 よくわからない。

 女性が指さす先には、紫色のもやがあった。
 時折白く発光していて、魔力によるものであることは明らかだ。
 これは、罠? この女性は、敵なの?

 わからないまま、私の足は、吸い込まれるようにもやに向かっていた。
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