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突然の事件

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事件が起きたのはケイ君と一ヶ月振りに飲んだ日のこと

かなり長いこと飲んでてね

いつもの様に私の恋を相談してたり

でも、この日はいつもと違って、私、
隣の方からちょっと口説かれちゃってたの

知らない人だし、酔っ払いね、って思ってたから適当に合わせてはいたんだけど・・・

知らず知らずケイ君の導火線に火をつけてしまったらしいのよね

「もう!何なだよ!いつもいつも!
俺の方が付き合い長いのに!
悲しいよ!」


えっ(・・;)


今まで弟妹分だったのに
いきなりそんなこと言われても・・・


私にはどうすることも出来なかった


色々とショックで翌日は何も考えたくなかったけど、夕方、ケイ君からLINEが入る


「昨日のこと、あの人と楽しそうに飲んでたから悲しかった、俺が一緒に飲みたかったのに
一ヶ月忙しくて一緒に飲めなかったから、ゆっくり飲みたかったのに」

「ごめんね、今度ゆっくり飲みましょう」

「ねぇ、
もう、俺以外と飲まないでほしい」

「はい~_~;」


今度、デートするって知ってるのに
そんなことを言われる

更に

「あっちこっちアザだよ」

「どうしたの?コケた?」

「昨日のヤツ、力強かったみたい」

確かに帰り際にちょっと揉めたのを思い出した

「大丈夫?何か、ごめんねm(_ _)m」

「大丈夫だよ
お姉ちゃんがやった訳じゃないんだから」

「でも、私にも責任あるよ
だから、ごめんねm(_ _)m」

「責任ないよ、あの人と知り合いじゃないでしょ」

何となく兄弟姉妹には戻ったみたいだけど

何か心が辛い



もっと慎重に


誰も傷付けずに


気を配るべきだった



それでもユウ君への恋心を抑えることが出来ないから、罪悪感に駆られる


私が誰も好きにならなければ
皆な丸く収まるのかしら?



そして、また翌日の夜

いつもの様にケイ君からのLINE


いつも、ふざけてスタ連で送ってくる

クマとウサギが殴り合ってるやつでね


私は大体ひざ蹴りで返す


「どこにいるの?」

「明日BBQだからもう家だよ」


明日は同僚たちと毎年恒例のBBQ

インスタ映えするって所でね

まぁ、私はインスタやってないんだけど


「明日、雨降れば良い」



なぜ、意地悪なことを言ってくるかなぁ

「明日は一日中晴れるもんねー」

と、また殴り合いのスタンプ


「大雨になれば良い」



「屋根あるから大丈夫」

とは、返したものの


いじらしくて


心が、胸がチクっとしたけど


私はユウ君のことが好きなこと知ってるでしょ?



でも、

何だろう?


私の恋は叶うことないのに


でも、

ユウ君以外を望めない



何だろう?



私の想いが

全てのバランスを崩している気がする




声を出して泣き腫らした夜だから

頭が痛い


何も考えたくないのに

想いが巡って頭がおかしくなりそう


思い出したよ

ケイ君だって最初は良いかもって思ってたけど、いつの間にか仲間みたいな兄弟姉妹みたいな関係になっちゃったんだよね


それはユウ君と出逢ったときからなのか
その前から諦めちゃってたんだかは、
心を持たない時期だったから、きっと本当に好きだった訳でも無いんだと思うけど、

自分からそうしたんだって思い出したの


ユウ君との初めてのデートはノリだったけど

ケイ君への想いを止めるためでもあったのかもしれない


だけど、ユウ君のことは好きなっちゃって

どんどんはまっちゃって


でも、

こんなに大好きだけど


もう、

自分から終わりにしようと思ってるの


「ねぇねぇ、

お願いがあるんだけど聞いてくれる?

私、ずっと消化不良なんだよ

今からね、

本気でユウ君に告白するから

ちゃんとね、

しっかりね、

振って欲しいんだ」


きっとユウ君は「えー!」って

困っちゃうよね(;ω;)



だから

誰かに相談したいのに


同僚のセイコは今、家が大変だからそんなこと言える訳ないし

ケイ君とは今そんなこと相談できない

ニシ先輩は新店舗オープンでそれどころじゃないよね

レイ君は上手く行ってるみたいだから悪いし



一気に1人になってしまった気がする


だから、もう訳わかんなくて、ずっと泣いてた


でもね、

もう、この際、一層のこと


ユウ君への好きをやめようと思っちゃう


周りを巻き込んでしまったこと

また、ユウ君を、誰かを悲しませてしまうかもしれないこと

それでもまだユウ君が好きなこと


色々な感情が入り混じって
現実逃避したくなる

消えてしまいたくなる



予報通りの晴天で暑すぎない心地良い気候の中
午後からのBBQはスタート

会場は夏休み中の土曜日ってことも伴って賑わいをみせていた


睡眠不足も祟って飲めないし食べられないから
焼きに徹してた


同僚たちは様々で家族で子連れで、または1人でって感じの多数

客層も疎らで、居る筈もないユウ君の影を探してしまう悪い癖

更には飲み始めるとユウ君を想って悲しみに襲われる、もっと悪い癖

目に溢れるものを煙と玉ねぎのせいにする


お開きにして帰ってきたのは22時過ぎ

直ぐにお風呂に入っても、まだ23時前だった


酔えなかったから、誰かに話しを聞いて欲しかったから、ケイ君に連絡を

しようと思ったけどやめた


1人、飲み直す夜


やっぱり眠れずに考え混んでしまう


世の中、素敵な人はたくさん居るのにね

何でこんなにもユウ君のことしか考えられないのだろう?

今日のBBQでは、芸能人の誰が好きだとか
俳優やらアイドルやら

私は今までそういうの無かったし誰かのファンとか考えたこともなかったけど、

そんな人たちを見ていると楽しそう


芸能人だとしても、誰かを追いかければ

ユウ君への気持ちを薄らせることが出来るのかなぁ?



夏の合間に
秋の日和となったこの日

冷たい風は心まで吹きさらす
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