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アナタが欲しい

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いつだってユウ君からの返信は待たされる

上映スケジュールが出たので空かさずLINEを送る


「こんばんは|ω・)
上映スケジュール出たよー
15:30~17:39
その前後は厳しいかな
欲しい洋服は決まってるのかな?
それによって待ち合わせ時間と場所を決めましょう!」

前はお昼からだし、後は20時過ぎ終わり

私はお昼からでもその前でもユウ君と長く居られるならその方が良いんだけどさ

後ろはダメよね
一緒にお買い物もご飯も厳しくなっちゃう


当然、明日まで既読にもならないだろうことは分かっているの


でも、
また、
私を忘れられていたらって思うと胸が苦しくなる


不安と寂しさに包まれながら午前4時を迎える


あぁ、デジャヴだ


前回もこんな感じで諦めたんだった




アナタのことで、どれだけ悲しくさせるの?

泣いてばかりじゃどうしようもないことなんて分かってるし、
どうこうしちゃいけないことだって、
アナタは私を好きじゃないってことだって、
気持ちを抑えなきゃいけないって、
忘れなきゃ、って、


全部


全部

分かっているのに


分かっているはずなのに


どうして、こんなに心が騒めくの?


心臓が、胸が、心が、爆発しそう


痛くて、辛くて、悲しくて



こんなに好きなのに伝えることも出来ない


もう、
誰でも良いよ
誰か、この心の騒めきを止めてよ


って、本音は揺らめいて、誰かじゃなく、ユウ君へ泣き付きたいけど

解決しなきゃいけないのは自分自身でってことも分かっているのよ


あぁ、
愛が重い

よね?


今夜も眠れないまま

悪い返事が来る予感がしてる

「予定が入ってしまいました」

なんてね

でも、
そうしたら、今度こそ諦められるかな?

「私のこと覚えてたら
またデートしてほしいな」

だったもんね


そうやって、
他力本願になってしまいたくなる情け無い私



自分の心の葛藤を

落とし所を?ケリの付け方を?

後、4日間で探し出さなきゃ




翌日は9時過ぎに普通に何気なく返信がくる


「調べてくれてありがとうございます
待ち合わせ15時頃が良いです
映画の後お買い物行きましょう!」


「おはよう^ ^
では、15時に映画館入口にしましょう!
チケットは来てくれたら買いましょうね(笑)」


どうせまた遅れて来るのでしょう

チケットは事前に買わない、ご飯も予約しないは、教訓です


何となくホッとしたし、仕事中だからそれ以上考えるのをやめたわ



ダブル台風の予報は金曜にも関東に影響が出るそうです
最近の予報は良く当るから不安が増す


前日だか当日になって、
「台風すごいから、またにしませんか?」

なんてLINEが来そう

私から事前に「大丈夫?」ってLINEするんだろうけどね


一方で、いやらしい妄想もしてしまう

悪い癖


食事からお店を出ると凄い雨風でね

「すごい天気になっちゃったね(゚o゚;;
これじゃあ帰れないよ・・・」

「そうだね(・・;)
どうしよう?タクシー捕まえに行こっか?」

「帰りたいないなぁ~(¬_¬)
今日はゆっくりしませんか?」

なんて、



言われるはずもないよね


そうよ、

ただの夢ですよ・・・



週末の空模様を案じるだけで

こんなにも揺れ動く私の心



私がやらなきゃいけないのは

心の整理なのにね


ユウ君をこんな風に想ってしまったことにも

結局、罪悪感を抱くだけなのにね・・・



ユウ君に逢えるまで1日を切った深夜

今夜も胸の高鳴りで眠れない


ニュースでは台風が関東を外れて行くことが報じられている

だから事前に連絡を入れることも無いのだろう


何か余程のことがない限り
明日は必ず逢えるのに

なぜか

謎の涙が止まらない


止めなきゃいけないのに

色々な妄想が膨らんでしまう


好きで

好きで

大好きで


身体が、熱い

私、こんなにもアナタが欲しい

恥ずかしい

自分で慰めた後、シャワーを浴びても胸の痛みが引かないし

明日、逢ったら本当に告白しちゃうかもしれないし、
逆に終わりにするかもしれない



誰かに聞いて欲しくて
悪いよねって思いながらも
レイ君にLINEを送ってみる

「お元気?
その後はどう?仲良くやってるのかしら?」


既読にならない

たまに夜遅くまで締め切りに迫られた仕事をしてるし、もしかしたら恋人と一緒なのかもしれない


もう0時を回っている

こんな時間じゃ誰にも話しなんか出来ない


眠ろうとするとアナタが出てくる

絶対にあり得ないのに、何度も抑えるのに
色っぽい展開を妄想してしまう

もう、いっそのこと、やり捨てられたって構わないよ
思いっきり私を抱いてって・・・

誠実なアナタをこんな風に想ってしまうなんて

私、最低だね


あぁ、早く寝なきゃいけないのに、、、


またシャワーを浴びて鏡に映る自分を確かめる

お肌はツルツルを保ってる
少し痩せたけど胸は減ってないし、ムダ毛も無い

大丈夫!
スタイルはベストコンディション!
のはず!

温まった身体にルームウェアを纏い、外の空気を吸いに広めになったバルコニーへ出る


北上を続ける大型台風は、頭上の雲をものすごい勢いで風鳴りと共に運んで行く

少し心地良く感じた風に明日は暑くなるんだろうなと、また心を重ね、アナタへの想いを増幅させつつも、何とか落ち着かせる
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