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バカみたい!

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切りたての髪がまとまらない

台風一過で風が強いから余計にバサバサになる

凄く短くしたから、アナタに笑われちゃうかな?

そもそも気にもしてないかな?


レイ君へのLINEも既読にならないままだったから、結局、誰にも相談できず、心は落ち着かないまま



約束の30分以上前に着いてしまう

近くのcafeでアイスコーヒーに落ち着きを求めたの

でも、時計ばかり気にしてしまう

Mサイズは直ぐに無くなっちゃったから待ち合わせ場所に向かったけど1分もかからない

やっぱり15分前には着いて待ってるの

遠くにユウ君を探しても、時間を過ぎなきゃ来ないことも分かってるの


15:00
LINEが入る

「連絡遅くなってすみません!
ちょっと間に合いそうになくて・・・
新宿16:40からの映画観ませんか?」


・・・

・・・

・・・


がっかりだよ

正直、うんざりもした


凄く

考えて送る



「仕事だったの?

無理しなくても良いよ」


地獄に突き落とされるのはまだこれから

全てがウソだったと分かった日




「ちょっと長引いてしまいまして
でも映画は観たいので新宿で合流しませんか?」


映画

観たいだけなら


私とじゃなくて良いじゃない


今日

予定空けておくって言ったじゃない



落胆と悲しみに

少し怒りを覚えてしまった


なのに

なのに


足は駅へ向かっている



何も考えられずに特急に乗り込む


「新宿で映画観てまたこっちに戻ってくるの?ユウ君、今どこにいるの?」


「あまりゆっくりは出来ないですが、18:30に映画は終わるので、今、池袋で乗り換えるところです・・・」


「ふ~ん
忙しいね」

と、
嫌味なことを送ってしまう



「怒ってる?」



怒りのスタンプを押す

そして、直ぐに泣きのスタンプを押す


泣きのスタンプが返ってくる

「ごめんなさい!じゃあ、このままそちらに向かいます」


少し、脅かしてしまったことを反省しつつ


「なんてね
特急で向かってます」


「怖かったよぉお
良かった

僕は25分に新宿着きます」


「それは、そっちの方が早いよね
私は何時に着くか良く分からないよ」


気が動転してて電車の時刻を検索できない


「電池切れそう(笑)
東口出たところで待ってます」




地獄はまだこの先





何度も時刻検索してみるけど
新宿直通の特急は何時に着くのか良く分からない


25分を過ぎた頃は
中野あたりだったかな

特急は早いね


32分

新宿に着き急いで東口に向かう


中央東口を出てもユウ君は見えない

東口に移動


居た


何て声をかけるか少し迷って



「コラ!(笑)」


「ごめんなさい!」


「私は甘いね
普通なら来ないよ?」



さぁ、

ここからはもうアナタしだいだよ?


でも、

本当の地獄は、まだまだこれから



「ごめんね!」って

抱きしめてくれたなら全てを許せたのに・・・



そんなことはあり得ない


2人映画館に向う


「新宿バルト9ってしってます?」


電池切れのアナタに代わって検索

少し歩くね


「私、何時に着くかも分からなかったし、電池切れって、東口で会えなかったらどうしたの?」


「ずっと待ってましたよ^ ^
まぁ、充電池ありますけどね」


「取り敢えず映画館でチケット買いましょう」

と向かう


東口から歩いて5~6分だったかな


大人2枚を購入


時間はまだ16時前


「洋服、欲しいの決まってるの?」


「決まってはないです」


「伊勢丹?マルイ?20分くらいで買えるなら行こうか?」


デパートをうろつくもあまり気に入ったものは見当たらない


「どんなのが良いの?」
とか
「服より今のバッグ壊れそうだからバッグが良いかなぁ?(笑)」


結局、選べず

「でも、今年はいいです
また来年で」


「誕生日、遅くなっちゃってごめんね」

「うんん!ありがとうございます
そういえば誕生日いつなんですか?」




・・・



呆れた



決定打




誕生日


聞いてきたのはアナタだよ?


アナタは誰?


「ははっ・・・
二度と教えないよ」


また少し

ウィンドウショッピングをして上映時間が迫る


悲しみを抱えつつ13階へ登る


いつもの様に持ち込みを買う


私は観ながらは食べない


いつだって



そうだったのに


「あれ?食べない人でしたっけ?
ポップコーンのセットで」


「私は・・・ウーロン茶・・・」



上映前にアナタがポップコーンの甘い塊を取り


「甘いの、食べる?」


私は黙って首を横に振る


これが

追い討ちってやつか・・・



私、甘いもの食べないよ



本当に


私のこと



忘れてしまったのね





こんなに距離が遠いなんて


私って

バカだなぁ・・・


上映中


何度も逃げ出したかった



映画の後

ご飯行こうって言ってたけど



私、


今日

これから飲みながら

アナタと食事したら


きっと


怒っちゃうよ



2時間

ずっと

色々考えてた



でも


アナタだって


そんなにバカじゃないよね?


そうやって

私を


遠ざけようとしたの?



それとも


私じゃない誰かと間違えてるの?



どちらにしても



どう考えても



もう




ムリだよ・・・





私にはあっという間の上映2時間


そもそも

最初に映画行こうって言って


2人で初めてみたのは「先生」



私が泣きたいからって



2回目は「Black Panther」


アナタもmarvel好きだったしね



3回目は「コナン」

やっつけでね


そうだよね


その時に


既に終わってたのにね



映画館を出て駅に向かう


「あっ!そうそう、お茶」


「えっ?お茶?」


それすら⁉︎


台湾のお土産を渡して


「・・・ごめんなさい

今日は、もう行けない

ここで

さよなら

しましょ?」



「えっ?
僕、何か・・・

怒ってる?」


「怒ってはないよ」


「でも、
電車
一緒に帰りますよね?」


「いや、
ここで・・・」


「どこか、行くんですか?」


「知り合いが近くにいるから
少し顔だして行こうかな?ははっ・・・」


「そうですか、

また

映画とか

行きましょうね?」



「う~ん

そうだね・・・」


「絶対ね!」


「私、
忙しいから
なかなか・・・

今日は

ごめんなさい」


アナタは


小さく


手を振った



私は



背を向けると


直ぐに


涙が溢れだして止まらなかった


振り向かなかった


足速に街中に姿を隠したの



バカみたい


バカみたい


バカみたい


バカみたい


バカみたい




私って


バカみたいじゃない!!!
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