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12月の暖かい風
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私は今、診察券を出してファション紙を眺めてる
今年の冬はロングコートとパンツ系のスタイルが流行るらしい
最近はパンツスーツのセットアップにロングコートだから流行りも何もビジネススタイルじゃない?って思っては欲しい服も見当たらない
「アサミさーん
浅見マリアさーん
お待たせしました、お入り下さい」
「はーい
失礼しまーす
よろしくお願いします」
半年に1回は来る歯科医院で検査兼ホワイトニングを処置してもらう
ここ、女性スタッフだけの歯科医院へ通いはじめて21年目
先代のママ院長から代替わりしたのは4年前のこと
まだ若干28歳のヒロコちゃんが今の院長さん
「ヒロちゃん、よろしくね
痛くしちゃイヤよ(笑)」
「マリアさん!大丈夫です!私だってもう6年目ですよ?」
「あら、この間までこんなに小さかったのに(笑)」
コートを籠へ入れるついでに1m程で手振りしてみる
「どうせチビですよ( *`ω´)
加藤さん、麻酔多めに持ってきて」
「あはは(笑)ごめんごめん
立派になったよね、ママさんも安心だね」
幼い頃から知っているだけに、毎回こんなやり取りを楽しんでいる
150cm程の可愛い院長さん
「はい、お口あけて下さい
でもね、最近はママも結婚しろって、うるさくてさぁ
毎日任されて出会いなんかないっちゅーの!」
「ンガッ( ̄0 ̄)」
「あっ、すみません・・・」
口をゆすぐ
「大丈夫よ^ ^ヒロちゃん可愛いから入れ食いでしょ(笑)」
「もう!言い方!
でも、なんか、すみません
ちょっと無神経でした・・・」
私が今年失恋したことを言った覚えはないけど、この年で独り者ってのに気を使ってくれたんだろうね
「甘いわね、私だって入れ食い状態なの知らないでしょ?
まぁ、この魅力的な、アガガ、ア」
アゴを抑えられた
「加藤さーん、やっぱり麻酔多めに持ってきて!」
ギャー(ToT)
検査とホワイトニングだけで麻酔を打たれることもなく無事お会計をしているとヒロちゃんがカウンターに来てくれる
「次はまた半年後ですね
マリアさん、大丈夫ですか?ママも心配してましたよ?」
「大丈夫だけど、何を?」
「いや、大丈夫なら良いんです
そうだ、たまには飲み連れてって下さいよ^ ^」
「じゃあ、久しぶりにママも一緒にね^ ^
またLINEするよ」
「うん!お大事に!
マリアさん、無理しないでね」
「ありがとう^ ^またねー」
12月は中旬
自動ドアを外に出たら暖かい風が吹いてきたからコートを脱いでAirPodsを耳に帰路に着くことにした
流れる曲は「スーベニアの眠る丘」
このところ涙もろくて、ヒロちゃんからのあんな言葉でさえ暖かくて泣きそうになる
ちょっとした切っ掛けで泣きたくなるのは、まだ心のキズが癒えない証拠
classicは心を鎮めて抑えてくれる良いクスリだけど、泣きたくなったときは決まってディアブロの赤ワインをカチ割りにしながら、随分前に買ったDVD「ただ、君を愛してる」をヘビロテしてる
今日もそのためのお摘み用食材を買って帰ることにした
つもりだった
土曜日の昼間
バゲットと溶けるチーズを籠へ入れ、ディアブロ2本を補充する
そう言えば、野菜がいっぱいあったから使わなきゃだ
知っての通り、私はお料理が好き
よし!チキンも買ってホムパでもやるか!
方向転換も必要なことだよね?
先代のママ院長へLINEを打つ
「さっきヒロちゃんのとこ行ってきたよ
たまには飲もうって^ ^
明日休みでしょ?ウチ来ない?」
30秒で返信が来た
「行くー!ヒロコには連絡しておくねー
何か買ってく?」
この人は・・・仕事してるのかしら?
先代とは言っても北口に開業して移っただけ
「何もいらないよー
野菜使っちゃいたいから、バーニャでも作るわね^ ^」
「分かったー仕事終わったら行くねー」
何かママ院長の方がギャルっぽくて若々しいんだよね(^_^;)
5品目のチキンのハーブグリルが焼き上がるころチャイムが鳴る18時
モニターを見るとママ院長とヒロちゃん
早くない?
「どうぞー」
エントランスを抜けてもらい、ウチの玄関チャイムが鳴る
「いらっしゃい!ちょっと、早くない?
お店もう閉めてきたの?」
「おじゃましまーす!あのねぇ、歯医者はお店じゃないの!今日は早めに閉めちゃったけどねー
はい、おみや!」
ママ院長が言うとヒロちゃんから紙袋を渡された
「もう、何もいらないって~」
「食べ物は要らないって言うからさ(笑)まあ、使ってよ」
茶色の紙袋から箱を取り出し包装を破くと中身は・・・
フェアリーミニ・・・
肩を落とし
「こんなことだろうとは思ったわよ・・・まったく・・・こういうのどこで買ってくるわけ?」
「通販だよー(笑)ラブト、」
「あー!はいはい!もう良いです!ありがと!座って!もう出来てるから!ワインで良いんでしょ?」
「運ぶよー」
この親にしてこの子もひょうひょうと・・・
以前、引越し祝いって貰ったのがローターだったから、こんなことだろうとは思ってたけどさ!
「じゃあ、とりあえず乾杯しよっか、ヒロちゃんは白だったよね?」
「うん!スペ○マの白ー^ ^」
「よし!死ね!はい、かんぱーい!」
私には
まだ
こんなにも心を支えてくれる人たちがいる
でもね
本当に私を支えてくれた
あの彼とはまだ出会えてないんだ
今年の冬はロングコートとパンツ系のスタイルが流行るらしい
最近はパンツスーツのセットアップにロングコートだから流行りも何もビジネススタイルじゃない?って思っては欲しい服も見当たらない
「アサミさーん
浅見マリアさーん
お待たせしました、お入り下さい」
「はーい
失礼しまーす
よろしくお願いします」
半年に1回は来る歯科医院で検査兼ホワイトニングを処置してもらう
ここ、女性スタッフだけの歯科医院へ通いはじめて21年目
先代のママ院長から代替わりしたのは4年前のこと
まだ若干28歳のヒロコちゃんが今の院長さん
「ヒロちゃん、よろしくね
痛くしちゃイヤよ(笑)」
「マリアさん!大丈夫です!私だってもう6年目ですよ?」
「あら、この間までこんなに小さかったのに(笑)」
コートを籠へ入れるついでに1m程で手振りしてみる
「どうせチビですよ( *`ω´)
加藤さん、麻酔多めに持ってきて」
「あはは(笑)ごめんごめん
立派になったよね、ママさんも安心だね」
幼い頃から知っているだけに、毎回こんなやり取りを楽しんでいる
150cm程の可愛い院長さん
「はい、お口あけて下さい
でもね、最近はママも結婚しろって、うるさくてさぁ
毎日任されて出会いなんかないっちゅーの!」
「ンガッ( ̄0 ̄)」
「あっ、すみません・・・」
口をゆすぐ
「大丈夫よ^ ^ヒロちゃん可愛いから入れ食いでしょ(笑)」
「もう!言い方!
でも、なんか、すみません
ちょっと無神経でした・・・」
私が今年失恋したことを言った覚えはないけど、この年で独り者ってのに気を使ってくれたんだろうね
「甘いわね、私だって入れ食い状態なの知らないでしょ?
まぁ、この魅力的な、アガガ、ア」
アゴを抑えられた
「加藤さーん、やっぱり麻酔多めに持ってきて!」
ギャー(ToT)
検査とホワイトニングだけで麻酔を打たれることもなく無事お会計をしているとヒロちゃんがカウンターに来てくれる
「次はまた半年後ですね
マリアさん、大丈夫ですか?ママも心配してましたよ?」
「大丈夫だけど、何を?」
「いや、大丈夫なら良いんです
そうだ、たまには飲み連れてって下さいよ^ ^」
「じゃあ、久しぶりにママも一緒にね^ ^
またLINEするよ」
「うん!お大事に!
マリアさん、無理しないでね」
「ありがとう^ ^またねー」
12月は中旬
自動ドアを外に出たら暖かい風が吹いてきたからコートを脱いでAirPodsを耳に帰路に着くことにした
流れる曲は「スーベニアの眠る丘」
このところ涙もろくて、ヒロちゃんからのあんな言葉でさえ暖かくて泣きそうになる
ちょっとした切っ掛けで泣きたくなるのは、まだ心のキズが癒えない証拠
classicは心を鎮めて抑えてくれる良いクスリだけど、泣きたくなったときは決まってディアブロの赤ワインをカチ割りにしながら、随分前に買ったDVD「ただ、君を愛してる」をヘビロテしてる
今日もそのためのお摘み用食材を買って帰ることにした
つもりだった
土曜日の昼間
バゲットと溶けるチーズを籠へ入れ、ディアブロ2本を補充する
そう言えば、野菜がいっぱいあったから使わなきゃだ
知っての通り、私はお料理が好き
よし!チキンも買ってホムパでもやるか!
方向転換も必要なことだよね?
先代のママ院長へLINEを打つ
「さっきヒロちゃんのとこ行ってきたよ
たまには飲もうって^ ^
明日休みでしょ?ウチ来ない?」
30秒で返信が来た
「行くー!ヒロコには連絡しておくねー
何か買ってく?」
この人は・・・仕事してるのかしら?
先代とは言っても北口に開業して移っただけ
「何もいらないよー
野菜使っちゃいたいから、バーニャでも作るわね^ ^」
「分かったー仕事終わったら行くねー」
何かママ院長の方がギャルっぽくて若々しいんだよね(^_^;)
5品目のチキンのハーブグリルが焼き上がるころチャイムが鳴る18時
モニターを見るとママ院長とヒロちゃん
早くない?
「どうぞー」
エントランスを抜けてもらい、ウチの玄関チャイムが鳴る
「いらっしゃい!ちょっと、早くない?
お店もう閉めてきたの?」
「おじゃましまーす!あのねぇ、歯医者はお店じゃないの!今日は早めに閉めちゃったけどねー
はい、おみや!」
ママ院長が言うとヒロちゃんから紙袋を渡された
「もう、何もいらないって~」
「食べ物は要らないって言うからさ(笑)まあ、使ってよ」
茶色の紙袋から箱を取り出し包装を破くと中身は・・・
フェアリーミニ・・・
肩を落とし
「こんなことだろうとは思ったわよ・・・まったく・・・こういうのどこで買ってくるわけ?」
「通販だよー(笑)ラブト、」
「あー!はいはい!もう良いです!ありがと!座って!もう出来てるから!ワインで良いんでしょ?」
「運ぶよー」
この親にしてこの子もひょうひょうと・・・
以前、引越し祝いって貰ったのがローターだったから、こんなことだろうとは思ってたけどさ!
「じゃあ、とりあえず乾杯しよっか、ヒロちゃんは白だったよね?」
「うん!スペ○マの白ー^ ^」
「よし!死ね!はい、かんぱーい!」
私には
まだ
こんなにも心を支えてくれる人たちがいる
でもね
本当に私を支えてくれた
あの彼とはまだ出会えてないんだ
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