初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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第2章 荒れ狂う極寒の都市『スノーガーデン』編

第42話 二人の実力とフェレスの恩人の話

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―――――――――――――???


猛吹雪の中、一人で歩いている女性がいた。
彼女はただ一歩、一歩と前に進む。

「アオォオオオオオオオン」

遠吠えが聞こえる中、彼女は吹雪の中を進み続けた。

そして、彼女は頂上に着いた。

そこにいたのは"山"だった。
"山"は氷の結晶で身を守るように覆われていた。
その"山"は少女を見つめ、話しかける。

「ここは我の領域、"神"の領域だ」

その声は雪山に大気を震わせた。
しかし女性はそれを気にすることもせず、神を名乗る者に話しかけた。

「神よ、聞いてください。
私はこの残酷の運命を変えたい、抗い続けるこの運命を変えたいだ。」

女性は強い吹雪でフードが脱げた。
"山"は女性の顔を見える、そこにはいたのは、"山"でも見惚れてしまう程の絶世の美女だった。

"山"はその美女に女性に惚れてしまいました。

「おぉ、麗しき美女よ、願いはなんだ」

"山"はその美女の為に願いを答えようとした。
女性を我の物にしようと願いを叶えようとしたのだった。

しかし、女性は眼は氷のように冷たく、"山"に興味はなかったのだ。
そして、女性は願いを言った。


「私は―――――――」


"山"は麗しき美女の願いを叶える代わりに条件を言う。

女性はその条件を受け入れたのだった。



――――――――――フヴェズルング・基地


「今回はよろしくお願いします。」

「お、お願いします!!」」

今回の任務同行者はアクレアさんとフェレシアさんだった。
二人はスノーガーデンの出身なので町を案内してくれるそうだ。
スノーガーデンの事を知っている人がいると頼もしい限りだ。

(フェレシアさんと言えば・・・)

確か珍しい職業の持ち主だった筈、たしか『殴り屋』だっけ・・・。
本人にどんな職業なのか聞いてみるが、困った顔して教えてくれなかった。
まぁ、言いたくないことは一つや二つはあると思うしいずれ分かるだろう。

フェレシアさんの武器はメイスで見た目と裏腹に結構、凶悪そうなメイスだった。
俺は実に殴り屋らしい武器とそれを恥ずかしそうに取り出す姿を見て、察したのだった。

アクレアさんは本来は自分の修業に付き合ってもらう予定だったのだが、月ノ城さんの件でアクレアさんとは修業が出来なかった。
今回は私の修業の相手とスノーガーデンの案内をしてもらう事になったのだ。

俺達は早速、車に乗り込んで、アクレアさんはフェレシアさんとバイクで二人乗りをして向うことになったのだ。
案の定、アイリスはグロテスク状態になる為、途中途中で車を停車させて休ませた。

そうして、5時間後、俺達はとある場所に着いた。

北の嘆きの洞窟だった。

そう、俺が"アイツ"に落とされ、月ノ城さんとシルクさんに拾われた場所だった。
相変わらず、暗く寒い場所だった。
現在、北のスノーガーデンに向う交通手段はこの北の洞窟を通らなければならなかった。
空に飛べるわけでもないので俺達が昔の思い出を思い出しながら素直に洞窟を進むことにした。
すると、アイリスが言う。

「ここ、ヨウイチと初めて会った場所」

「あぁ、そうだな」

まぁ、ある意味"アイツ"には感謝するべきかもしれない、じゃなければアイリスはずっとあのままだっただろう。
ずっと暗い、洞窟の中で一人で過ごしていたかもしれない。
俺とアイリスは互いに見つめあう中、アクレアは声を掛ける。

「魔物がでましたよ、イチャついてないで倒しましょう。」

別にイチャついてなんかないぞ!!アイリスを見つめていただけだ!
俺達は魔物を倒しつつ奥へすすんだ。
ケロベロスがいなくなったおかげかあまり魔物は沸いて出てこなかった。
何も起きず、最深部までついたのだが

「通れなくなってますね。」

「そうだな」

そこにはでかい岩や瓦礫で最深部の部屋を塞いでいたのだ。
これでは進めない、どうしたらいいものか・・・。

「フェレシア、頼む」

「は、はい!!」

すると、アクレアさんが何やらフェレシアさんに指示をするように何かさせようしていたのだ。
すると、フェレシアさんはメイスを引きずるように両手に持って、岩に近づいた。
そして構えて・・・。

「せーのっ!!」

フェレシアはそのまま、凶悪なメイスを振りかぶった。

ドゴォォォォォォォ!!!!

凄まじい粉砕音を鳴り響く。
フェレシアの10倍ほどあった岩はいとも簡単に粉々になって岩は砕け散った。
そんなフェレシアは恥ずかしそうにしてた。

「さ、フェレシア、君の馬鹿力は何時もの事だ、恥ずかしがってないで行くぞ。」

「ちょっと、それは酷くないですか!?」

そう自然に暴露するアクレアさんにツッコミを入れる、フェレシアさんだった。
あぁ、なるほど、見た目と違って馬鹿力だから恥ずかしかったのか。
だから殴り屋の効果を教えてくなかったのだな。

ちなみにアクレアさんに聞いたら、フヴェズルングで一番の力持ちはフェレシアさんだとか。
雷嘉さんはその二番目らしい。
そんなフェレシアさんは隣で恥ずかしそうに話を聞いて、その姿を見て、アイリスが頭を撫でてた。

そうして、俺達は洞窟を抜け出した。
抜け出すと、そこには白い景色が広がっていた。

「ヨウイチ・・・、白いね・・・」

「そうだな」

そう、真っすぐ道があるだけで他には何もなかったのだった。
俺達がその道を辿るように歩くのだった。
しばらく、歩いていると。

「アウォオオオオン!!」

遠吠えが聞こえた、その瞬間、俺達は白い狼に囲まれた。

「囲まれましたね」

そう言って、両腰の二本の剣をアクレアは抜いた。
狼は隙を与えないとアクレアに襲い掛かる。

「遅いな」

一瞬だった、俺はギリギリだったがアクレアさんの攻撃があまりにも早すぎた。
普通の人なら、一振りにしか見えなかっただろう。
だがその一振りは一体ずつに狼を"数十回"斬りつけた。
狼はバラバラになり、白い景色は赤く染まり目立っていた。
アクレアは剣をしまう。

「さぁ、行きましょう、スノーガーデンはもう少しです」

「スノーガーデンは綺麗な所なので!色々回ってみるといいですよ!!」

そう言って、フェレシアは少しテンションを上げて歩いていく。
歩いていると、途中で雪が降ってくる。
これはスノーガーデンに近づいている事でいいのだろうか?

そして、俺達はスノーガーデンに着いたのだった。

「やっと、到着しましたぁ、あそこに宿にがありますので案内しますね」

「フェレシアさんありがとう、案内お願いしますね。」

スノーガーデンは白い建物が沢山建っていた。
教会やら色々あった。
しかし、ひときわ目立つ建物があった、どうやら王宮だようだ。

「あれはですね、このスノーガーデンを治めるヴォルディ家の王宮なんですよー。」

「なるほど」

2000年前から続いている王家で、かつて世界を救った大英雄の一人が作った国、それがヴォルディ家。
今はこのスノーガーデンを2000年間守り続けたという。
この話はフェレシアが話してくれたのだった。

そう話していると、宿に着いた。

「あらいらっしゃーい、うふ」

そこには筋肉ムキムキの青髭のシスター姿のオカマがいたのだ。
俺は何故か防衛本能が働いてしまった。
フェレシアがそのオカマに話しかける。

「カマさん!お久しぶりです!」

「あらぁー!フェレちゃん!ひさしぶりじゃないのぉ~!!大きくなったわねぇ!」

そして、互いにハグして、挨拶をする。

「フェ、フェレシアさん、知り合いなんですか?」

「あ、はい!この人、この宿のオーナーのカマさんです!」

「可愛い坊や。よろしくねん、うふん」

そう言って、俺にウィンクをしてくる。
やばい、このままだと、何か大切な物が失いそうな気がしてならない。

「カマさん!この宿に止まりたいけど良いですか?」

「もちろよぉ~!可愛いフェレちゃんの頼みなら、聞いてあげるわぁ!」

そう言って、カウンターから出てきて、身体をくねくねさせながら部屋を案内させてくれた。
この人、撃っていいかな?いいよね?
すると、フェレシアさんは言う。

「カマさんはとても良い人なんです、私を"唯一"庇ってくれた人なんです」

フェレスが言うには、馬鹿みたいにある力のせいで、親にも捨てられ、周りの人には恐れられた存在だった。
しかし、それを気にもせず、13年間面倒を見てくれたのがこのカマさんだった。
当然の如く、批判はあったけれどもその度にカマさんは"お仕置き"で追っ払って守ってくれたとか。
そんなある日、この店に盗賊たちがフェレシアの力を求めて盗賊団が襲ってきたのだが、そこに任務で来ていた、月ノ城さんによって盗賊団は壊滅されたとか。
カマさんは盗賊団の襲撃で怪我をしたけれども、命は別状はなかったらしい。
結果、元凶はフェレスの事を気に食わなかった、貴族がいたからその滅亡まで追いやったのこと。
このまま町にいれば、カマさんに迷惑を掛けてしまうから、月ノ城さんについて行って今に至ると。
今はフヴェズルングで働きながら、このオ・カマ宿に仕送りを送っているととの事。

「そんなことがあったんですね。」

「はい、カマさんには数えきれないぐらいにお世話になりました、なのでいつか恩返ししたいのです」

「あら~、フェレちゃんったら、大袈裟ねぇ!でも気持ちは貰っておくわぁ」

すると、俺達が宿に入ろうとした時だった。
一人の男性が走ってくる。

「カマさん!大変だ!また患者がでたぞ!」

「何ですって!」

そして、黒杉達はこの奇妙な事件に少しずつ踏み入れる事になるのだった。
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