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第2章 荒れ狂う極寒の都市『スノーガーデン』編

第43話 奇妙な病気の話

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「カマさん!!大変だ!また患者!」

「何ですって!」

どうやら、何かが起きたようだ。
カマさんは俺達に言う

「フェレちゃんと坊や達ごめんなさいね!アタシ行かないと!」

すると、患者に所に行こうとするカマさんを引き留め、フェレシアが言う。

「カマさん待ってください!私も行きます!」

「でも、フェレちゃん貴方は・・・」

何やら複雑そうな顔していた。
どうやら、この町の人達はフェレシアの事を見てどう思われるのかを気になっているようだ。
しかし、フェレシアは言う。

「もう、昔の弱い自分じゃないんです!クロスギさんもアクレアさんもお願いします!」

「ふむ、しかしだな・・・」

アクレアは難しそうに顔をして考えていた。
何故なら、今回の目的はあくまでも玄武王の媒体になる物を取りに行かなければならないのだ。
だから、ここで時間を使ってしまうのはやぶさかではないと考えていたのだろう。
なんせ今でも、月ノ城さんの浸食は進んでいるのだから。

しかし、フェレシアの命の恩人である人が困っているのだ。
それを見過ごす事はフェレシアには出来なかった。

だが、何となくだけど、
ここで見逃してしまえば、何か取り返しのつかないことになってしまうような気がした。
俺は自分の勘を信じてみることにした。

それに宿に泊まらしてくれるんだ、そのお礼を兼ねて俺は手伝おうと思う。

「アクレアさん、行きませんか?せめて状態位は知っておいたほうが良いかもしれないです。」

「しかし・・・」

「それに、先ほどあの男の人は"また"と言いましたよね?これが数ヶ月前から続いているとなれば、玄武王に何か関係あるかもしれませんよ?」

正直、このまま情報がないまま、玄武王の所に向うのも危ないかもしれない、なんたって相手は四大魔獣の一匹が"王"が付いているのだから。
玄武王の強さは未知数、なら少しでも情報を集めたほうが得策だと考えた。
アクレアは俺の考えを聞いて言った。

「確かに、何も知らないままで玄武王の行くのも自殺行為かもしれないな、4大魔獣の情報はあまりにもないからね」

一度、フウェズルングで四大魔獣について調べた事があったが、驚異としか分からなく、能力の詳細も何も書かれていたないのだ。
大規模の被害が起きているのに何も分からないのはおかしかった、考えられるのは一つ
"王"達に会ったものは全員殺されたんだろう。
じゃなければ、情報が何一つ入って来ないのはおかしいのだ。

「というわけだ、フェレシアさん、アクレアさんの許可も貰いましたので行きましょうか」

「・・・・!ありがとうございます!」

フェレシアの顔は明るくなり、お辞儀をする。
しかし、明るくのはまだ早い、問題はまだ解決していないのだから。

「じゃあ、話は終わったかしらん?」

俺達はカマさんの掛け声で頷き、患者の所に向った。

宿から出て10分の所に行くと、そこにはとんでもない衝撃な光景が写って。
ベットの上にパンツ一枚で横たわっている男性がいるのだが、全身から血が流れていた。
それを見た、カマさんは男性に近づいて、手から光を放っていた。
カマから出ている光はヒールだった、カマは男性にヒールを掛けて治療していたのだ。
あのヒールの質をみると、かなりのやり手のヒーラーだと分かる。
男性がカマを頼るのも頷けた。
やはり、人は見かけによらないな。

「主人、これは酷いです、かわいそう・・・」

「ヨウイチ、一体何が起きてるかしら・・・、全身から血が流れているわ」

クレナとファフニーでさえ、困惑しているのだから
かなりやばい病なのがわかる。
本来は二人はこのぐらいで困惑しないなのだから、何かを感じ取ったのだろう。

「カマさん・・・、これはいったい、スノーガーデンに何が起きているのですか?」

フェレシアはカマに問いかける。
カマはヒールで男性を治療しながら話し始めた。

「そうね、何処から話ほうが良いかしら、最初の患者は2ヶ月前かしらん」

2ヶ月前か、大体、月ノ城さんとの戦闘した時と被っているな。
俺は2ヶ月前の事を思い出しながら、カマさんの話を聞いていた。

「そう、あの日は猛吹雪だったわん、アタシはいつも通りに宿の仕事をしてた時にドアからノックが聞こえたの」


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私はいつも通りに仕事してた時の話なのだけど

「ふーふふんー、今日はどんなイケメンが来てくれるかしらー!」

ドンドンッ!

突然、ドアを殴るように勢いで叩かれたのよん

「ギャッ!!?」

物凄い勢いでドアを叩くのだからびっくりしちゃったわ、あまりの出来事でちょっと不機嫌になったの。
私はプリプリしながらドアの方に向い開けたわ

「もー、なによー!びっくりするじゃない!!」

そこには顔面蒼白の男性が経っていたのよぉ、
男性のまつ毛は白く、綺麗な顔してたわねぇ、ドアの開けたときに店内に光に当たると輝くぐらいに綺麗な顔だったのよぉ!
すると、男の人がね!

「助けてください!父を!助けてください!」

そう言ったのよ

私はひとまず、彼を落ち着かせて、話を聞いてみたの

「何故、私なのん?」

「貴方はこのスノーガーデンで治癒師と聞いたのだ、どうか、父を救ってくれ・・・!」

そう言って、私はコートを来て、美男の家に行ったのだわぁ
家に着くとそこには血だらけの男が横たわっていたのよん!
私はその姿を見て、ゾッとしたのよぉー!
近づいて見てみることにしたの、そうしたら分かったことがあったわ。


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「分かったこととは・・・?」

「それは実際に見たほうが良いわ」

カマさんは俺達に向って手招きをする。
俺達はそれに誘われるように男性たちに近づく。

「ここを見て頂戴」

指を差された所を見る、カマさんその部分を拭き取る。
傷口が見え、傷口の周りが黒く滲んでいた、それだけならまだ"良かった"

傷口が動いていた。

傷口がまるで自分たちの口を動かすようにパクパクと動いていたのだ。
動くたびにニチャニチャと不快な音がした。
そして、傷口からまるで涎を垂らすかのように血が流れていた。

「うっ・・・!」

「あ、刺激が強すぎたかしら」

それをフェレシアは見たフェレシアは口を押え、そのまましゃがみ込むように倒れる。
単純に見てて気持ち悪かった、それが無数にある傷口が全部動いていたのだから。
アイリスはフェレシアの背中をさする。

すると、横たわっていた男が暴れ出す。

「うあああああああ!!!?まただ!!まただああああ!!!」

「ど、どうしたんだ!?」

「落ち着いてちょうだい、これも病気の原因の一つよん」

そう言って、カマさんは白い手袋をして、そのまま抑えつけた。

「ああああああああ!もう聞きたくない!!聞きたくない!!!遠吠えはもう聞きたくない!!!」

「遠吠え?」

俺達は疑問を口に声をだして言う。
遠吠え?何事だ?
俺達は目を合わせると皆聞こえないようだ。
どうやら、男にしか聞こえないようだ。

しばらく、男はピタリと止まりそのまま気絶した。

「ふぅ・・・、もう100件目よ・・・」

「「「100件!?」」」」

「えぇ、私以外の人達も手伝ってくれてるけど、今この病気になっている人は約1000人ぐらいよ。」

どうやら、カマさんはこの病気と闘い続けてるようだ。
俺は勘は正しかった、このままだと、この町は徐々に病気に浸食されていく。
それどころか、外に進出する可能性も出てきた。

「アクレアさん」

「これは早急に対処しなければなりませんね・・・」

どうやら、皆の考えはまとまったようだ。
すると、クレナがふと思いついたように話す。

「100件目ってことは、他の人達はどうなったの?何人か救えたの?」

すると、カマさんの表情が暗くなる、そして口を開いた。

「全員死んだわ」

俺達はその事実を聞いて、黙ってしまった。
そう、この病気に掛かってしまった者はだれ一人生きていなかったのだ。
つまり、今横たわって男は・・・。

「この男もいずれは死ぬわ」

「で、でも・・まだ希望があるんじゃないんですか?ほらカマさんのヒールは凄いんですよ!!

フェレシアがまだ救えると言っていた、彼女は"現状"受け入れられなかったのだ。
そうあまりにも狂気的な病気に出くわしたことで、受け入れられなかったのだ。
しかし、カマは現実を突きつけるように、優しい目で見つめて、首を横に振ったのだった。

フェレシアはその場から涙を流し、部屋から走るように出て言った。

「フェレシアさん!」

「いいのよ、クロスギの坊や」

俺はフェレシアを追いかけようとしたが、カマに止められる。

「フェレちゃんは強い子よ、ちゃんと戻ってくるわ」

カマさんはそう言ったのだった。
フェレシアさんとカマさんは互いに強い絆で結ばれているからこそ、分かっていたのだ。
カマは再び男の方を見て話す。

「さて、話の続きなんだけれどねん」

「あ、あぁ」

「この男は遠吠えが聞こえると言ったわよね?」

「あぁ、言っていたな」

「あれが末期の状態なの、あの状態になってしまったらもう救えないわ、何故ならそこから尋常じゃないスピードで傷が広がっていくのん」

俺達はただ、カマの話を静かに聞いていた。
カマは話し続ける。

「そして、傷が広がりに広がって、血管、肉が見え、彼は肉塊になって変死体になって死ぬ」

カマは壁を殴った。
その拳には悔しさが、籠っていた、自分のヒールでは治せないという現実に何もできない自分に嫌になっていたのだった。

「だから、アタシができるのは彼をできるだけ苦しまないように死なすだけなのよぉ!!!」

カマは背中は震えていた、顔を見えないが悔し涙を流していた、地面にポタポタと涙が落ちていくの見えた。
なんとか、できないかを考えてみたが思いつか・・・

「ヨウイチ・・・」

「ん?なんだアイリス?」

すると、アイリスは何か気づいたようだ。

「ヨウイチ・・・、あの傷から魔力が血と一緒に出てる」

「何だと?」

「魔眼でそう見える・・・、もしかした魔力を回復させれば延命できるかも・・・だけど傷口は回復できない・・・原理は分からない・・・」

アイリスはそう言ったのだった。
俺はアイリスの言葉を信じてみることにした。

「カマさん、ちょっと試したいことがあるんだ、いいか?」

「何かしら?」

そういうと、ハンカチを持って、涙を拭いていた。
俺はその間、特製のMP回復役を取り出した。

「諦めるにはまだ早いかもしれないな」

俺は男にMP回復薬を飲ませた。
すると、男の表情が和らいだような気がした、そして傷口の動きが鈍くなったように見えた。
その証拠に傷口の出血が少し引いたのだった。

「ぼ、坊や!あんたはいったい!?」

カマは驚くように言うが。

「お礼を言うなら、アイリスをに言ってくれ、魔眼で調べてくれたんだ。」

「魔眼ですって!」

カマは驚いたよにアイリスの方を見て、近づく。
アイリスは少し怯えているようだ、なぜなら魔眼は嫌われの象徴だと知っているからだ、だけど俺はカマはそんな奴じゃないと信じている

「お嬢ちゃん」

「ひゃ、ひゃい・・・」

カマは手を伸ばしそのまま・・・
アイリスの頭を撫でた。

「ありがとー!!貴方のおかげで人の命が救えそうなのよぉー!」

「私、ま、魔眼で・・・」

「んもぉー!そんなの昔のじじい、ばばぁが勝手に決めた事を引きずっているだけよぉ!貴方は悪くないわぁ!」

カマはニコリと笑う、アイリスはその顔を見て安心したようだ。

「しかし、MP回復なんてそんな手思いつかなかったわぁ・・・、傷口だから物理的ダメージと思ってわぁ・・・」

本来はヒールは体力を回復させる物であって、魔力を回復をさせるスキルではないからな。

「だけど、回復薬を買うお金とかないわぁ・・・」

「それなら、大丈夫だぞ」

それは収納から回復薬を大量に取り出しそのまま置いた。

「ぼ、坊や!?この量は!?」

「あくまで、延命用だけど、良かったら使ってくれ」

「もうぅー!坊やったら!!気に入ったわぁ!!」

カマは体をくねくねさせる。
何だから背中がゾッとした、なんだかしばらく後ろを警戒したほうが良いような気がしてきた。

しかし、この病気は詳しく調査する必要があるな・・・。

「なぁ、カマさん、最初の患者の家とか分かるか?」

「あぁん、クロスギちゃんの為なら教えてあげるわぁん!」

なんかいつの間にか、ちゃん付けで呼ばれるようになった。
本格的に自分の身の危険を感じてきた。

「なら、フェレシアと合流して、後日向かおう。」

俺達は宿に戻って、明日の調査に向けて宿に休むことにしたのだった。
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