初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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第2章 荒れ狂う極寒の都市『スノーガーデン』編

第44話 再び夢、そして班決めの話

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俺達はカマさんの宿に戻り、時間はもう遅い為、寝ることにした。
そういや、一人で寝るのは久しぶりだな。
俺は就寝する事にした。


――――――――

ん?なんだかこの感覚は久しぶりだな。

どうやら、俺は夢を見ているようだ。

だが、今まで夢が違う事が三つある。


一つは景色が今まで、白と黒で分からなかったのが、周りを見渡しても黒かったのだ。

二つは意識がここまでハッキリしているのは初めてだった。

そして三つ目は"見知らぬ"人が立っていた、誰だ?
すると、俺に向って手を振りながら近づく。

「よぉ!やっと君と話せるようになったな!黒杉っくん!」

そう言ってソイツは俺の肩を叩くなりして話しかけてくる。
すごく楽観的な声をしているような声をしていてうさん臭かった。
全く誰だお前は?

目の前にいる人物の顔はモザイクが掛かっているかのように見えなかった。
声ですら、男になったり、女性の声になったりとなんだか、訳が分からない奴だった。
取り合えず、中性的な奴だと思うことにした。

「お前は誰だと思ってる顔だな、まぁ"会う"のは初めてだし、知らないのも無理はないよなぁー」

(何か引っかかるような言い方をしている気がしたが、それよりもお前は誰なんだ?
結局何がしたいんだ・・・)

「まぁ、それはいずれ教えるさ!」

何だか、腹立つなぁ

(お前は急に現れては何なんだ、何も教えない、何も知らない、なんだか気持ち悪いな
というか、性別をハッキリさせてくれ、不快過ぎて相手する気にもならない。)

「ごめんてぇ!!俺のちょっとした、悪戯、ジョークなんだから許してくれよぉ!」

そう言って、ソイツは徐々に姿を変わり、男に変身した。

「やぁ!これが俺の姿だよ!どうだい?」

そう言って、男はくるりと一回転して俺に姿を披露するかの様に見せてくる。

(まぁ、素直に言うとイケメンだな、背は高く、姿勢も綺麗で口を開かなければ完璧だろうな。)

赤毛で碧眼に相対的な色合いなんだが、不思議とその姿は美しかった。

「いやー、なんでこんなに嫌われているんだろうなぁー、不思議だなぁー」

その男は肩をがっくりさせる。
なら、最初の第一印象を次からもう少し良い印象に与えるようにすることだな。
しかし、自分でも何故ここまで腹が立つのか分からない。
本来なら、無視をするんだが、なぜだかそんな気分にはならないな。

「あ、スキルを切るの忘れた、ごっめーん!!」

そう言って、男は指を鳴らすと、俺の中の彼に対する"敵意"がなくなった。
しかし、今の言い方はスキルあるなしでムカつくな・・・、殴っても良いか?

俺は殴ろうとしたけど、ひらりと避けられたのだった。

「ひえー、いきなり殴りかかるなんて怖いなぁー」

(あんたの今までの行いが悪いんだろう?んで、俺はあんたの事知らないが、俺に何の用だ?)

そう言うと、男は手を思い出すかのように手をポンッと叩く。

「そうだったそうだった、お前さんにだな・・・」

その瞬間、いきなり目の前に現れ俺の手を握る。

バチィ!

夢の中なのに、手から電撃が走るような痛みを感じた。
俺は慌てて、男の手を離して、距離を取り自分の手を見る。
手のひらを見ると、黒い怪しい紋章が浮かび上がってくる。

「ちょっとした、プレゼントだ、精々使いこなしてくれよな」

男はそう言って、悪戯っぽく言うが顔は優しく微笑んで闇に消えた。

(おい!せめて!味方か敵か教えろよ!!!)

男を追いかけるが、手は届かずに空回る
そして、男の声が頭に響くように聞こえた。


――――――それはいつか分かるさ、嫌でもね。



俺はそこで俺は目が覚めた。
やはり、今までの夢の内容はハッキリ覚えていた、俺は手のひらを見る。
しかし、黒い紋章はなかった。
やはり、ただの夢だったのだろうか?
手をしっかり調べると、俺は気づく
手の甲に見かけない痣があったのだった。

俺は制服に着替えて、下に降りる途中にフェレシアに出会う。

「フェレシアさん」

声を掛けるとフェレシアは勢いよくお辞儀し、そのまま謝る

「昨日はごめんなさい!いきなりの事で・・・その・・えっと」

フェレシアは言葉を選ぶように、俺の顔を気にしながら見ていた。
俺は昨日の出来事は仕方ない事だ思っていた。
まず、あのような名状しがたい光景を見て正気でいられる人はあまりいないだろう。

「フェレシアさん、もう気にしてないので大丈夫です、それに延命出来ただけでも良いじゃないですか、ここは喜ぶべきだと思います」

「そう・・・ですけど」

フェレシアは何かを言おうとするが止め、目を瞑り首を振り言う。

「ううん、なんでもない、そうですね!今は一刻も早く原因を探さないといけないですね!」

「だな」

こうして、俺達は下へ降りて行ったのだった。
どうやら、俺が一番最後のようだ、皆は先に起きて待っていたようだ。
すると、ファフニー手を振る。

「主人!ここですぞぉー!」

「ヨウイチ、お寝坊過ぎるわよ」

「悪いな」

今日の予定を確認する為、皆と話し合うことになった。

「さて、今日はカマさんと一緒に最初の患者の家まで行き、そこで情報を色々集めようと思う。
だけど、時間も惜しいから二つの班に分かれて、違う場所で情報を集めてきてほしい。」

「分かった、因みに班は決まっているのか?」

「勿論です、アクレアさん」

俺は収納から紙を取り出して、広げる。
ペンを持って書きながら説明する。

「第一患者の班は俺とカマさんとフェレシアさん、クレナは俺と一緒に来てもらう。」

「情報収集班はアクレアさんとアイリス、ファフニーに行って貰う、アイリスは魔眼やファフニーは感知能力が高いからね、交渉とかはアクレアさんが適任だと思うので今回はこれで行こうと思います。」

「分かった、アイリスさんとファフニーさんよろしくね」

「ん、よろしく」
「よろしくなのだー!」

そう言って、お互い班は目的地に向かったのだった。


―――――― 一方その頃。

「そろそろ、スノーガーデンに着きそうだ。」

私は現在スノーガーデンに向って、旅をしていた。
何でも、スノーガーデンで大規模な結婚式があるらしく、そこの護衛をしてほしいとの事で頼まれた。
結婚かぁ・・・、私できるかなぁ。


私はあれから、皆に女性だと打ち明けた、皆にものすごく驚かれたけど。

「まぁ!御剣さんは御剣さんなので!」
「キャー!ミツルギさん! 私女だけど結婚しよ」
「「ミッツルギー!!ミッツルギー!!」」

こんな感じで、皆は何時も通りで変わりなく接してくれた。
一部、変な人がいたけど・・・、き、気にしなくてもいいよね?

御剣のしばらく、髪の毛を切っていなかったのか長くなっていたので、後ろの辺りを結んでいた。

「少しは女性らしくなっただろうか・・・?」

そう思いながら髪の毛をいじっていると。

「アオォオオオオオオオン!!」

遠吠えが聞こえた。
狼に囲まれた。

「なんだ、狼か・・・」

私は気にせずに進もうとすると、回り込んで襲ってきた。

「はぁ・・・、あまり戦いたくないんだけどなぁ・・・」

私は片手で軽く、"訓練用"の剣で狼の頭を切り落とす。
狼は次々と襲って来るが、御剣は目の前に木の枝が邪魔だから切っておくかの感じで一撃で仕留めていた。

「うーん、やっぱり聖剣よりこっちの方がしっくりくるねー、聖剣だと軽すぎるんだ。」

私は断じて、イキってないからな?本当の事だからな!!!
心の中でツッコミを入れるのだった。

ミハエルさんとの特訓でずっと愛用の訓練の剣を使ってたおかげで、聖剣に頼ることが殆どなくなっただけなんですー!!

御剣は何事もなくスノーガーデンに着いたのだった。
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