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第2章 荒れ狂う極寒の都市『スノーガーデン』編

第48話 調査結果の話

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俺達は一度、宿に戻ると皆が集まっていた。

「おかえり、ヨウイチ・・・」

「何か、見つかりましたか?」

そう言って、アクレアとアイリスが出迎えてくれた。
ファフニーはソファーで丸くなるように寝ていた。

「あぁ、色々見つかったぞ」

俺は収納から、日記と書類、そして血が動いているシーツだった。
皆は血が動いてるシーツを見て驚く。
まぁ、こんな名状しがたいシーツを見たら、ショックしかないだろうな。

「これは何ですか・・・?」

恐る恐る指を差して聞いてくるフェレシア

「バルドの家にあった、シーツだ」

「ぼ、僕の家ですか!?」

「なんだ?知らなかったのか?」

「うん、父さんが死んでから、僕は仕事で殆ど家にいないし、返ってきても椅子に座って寝てるから・・・」

成る程な、気づかないのも無理はないな。
だけど、2ヶ月もシーツ変えないのは何だか違和感あるな
まぁ、下手に聞いて刺激させるのも良くないからなぁ・・・、これについてはまた後で聞くことにしよう。

「そして、この日記だ」

俺は日記を指すと同時に日記の方へ見つめる。
すると、バルドは明日は仕事があるとの事で先に就寝する。
まぁ、その方が都合が良い。
バルドは親を失って、精神的と肉体と共に不安定でそれを追い打ちを掛けるのは良くない

俺達は日記を見る
その場の空気が重くなっていくのが分かる。

「酷いね・・・」

「そんな・・・、残酷すぎるよ!」

「・・・・」

アイリスは冷めたような口調で、フェレシアはこの事実を知り無く、アクレアは無表情で日記を読んでいた。
ただ、表情は険しかった。

アクレアはそっと日記を閉じる。

「成る程、ありがとうございました」

そう言って、日記を渡す。
俺はシーツを丸めて暖炉へと投げる、シーツの染みついていた血が小さな悲鳴を上げていた。
まるで、狂ったような笑い声が耳に残るように

「酷いな音だな」

「・・・・」

資料を見つめるが、何も情報はなかった。
ただの仕事の資料だった。

「そういや、アクレアさんは何か見つかりました?」

「あぁ、実は雹狼山の事を調べていたのだ」

【雹狼山】
雹狼山は吹雪の時に風が吹く度に狼の声のような音がすると言われ、雹狼山と名付けられた。
その為、吹雪が吹いている雹狼山は非常に視界が悪くなる為、狼の声が聴き分けるのが非常に困難であり、狼に襲われ命を落とす人が多くいた。
また、雹狼山に住む狼は特殊で吹雪の中に潜むのが得意。
その為、非常に危険な存在で獰猛である。

【氷愛石】
雹狼山には言い伝えがあり、雹狼山の何処かに氷愛石(ひょうあいせき)と言う物が存在する。
それを手に入れ者は想い人に渡すと永遠の愛を手に入れる事があると言い伝えられていた。

【雹神の領域】
雹狼山の頂には神が住んいると言われている。
その場所を雹神の領域と言われている。

一般人が侵入すれば、雹神の怒りを買うことになり、災いを起こすと言われている。
ただし王族には力を与えると言われ、現在に王族の者以外は出入りが禁止されている。


【雹神】
雹神は特殊な氷で守らている
遠くで一度見た事はあるが、凄く大きく大きな甲羅みたいな物で守られていた。
それ意外の事は、何も分からない。


「まぁ、こんな感じですね。」

「なるほど、多分、雹神ってのは多分、玄武王の事だろうか?」

「えぇ、恐らくね」

さて、ここまでの情報を纏めると

バルドの父は何故、雹狼山に向かったのか
理由はきっとこの氷愛石が目的だろう
だが、普通に行かせようとすればきっと断られる
なら、既成事実を作る事で逃げ場を無くしつつ、精神的に追い詰めていたのだろう。
幸いにもその氷愛石がすぐに見つかることが出来た。

しかし、病気の事に関してはまた別の問題であった
病気の事も調べたらしいが、それに関連した病気は一切なかった
遠吠えが聞こえる事だから、雹狼山に関係すると思ってたらしいが宛が外れたの事。

「病気ねぇ・・・」

「どうしたんだい、カマさん?」

「いやねぇ、これって本当に病気かしらぁんって思って」

どうやら、カマさんはどうもこの病気に違和感を感じているらしい

「どういう意味だ?」

「いやねぇ、そのままの意味よん、私は今日も皆の所に言って治療してみたんだけど、どうやら感染症じゃないのよねぇ」

それを聞いて、俺達は驚いた
感染症じゃない、じゃあ一体何なんだ?
カマさんは再び口を開いて語る。

「これでも医師みたいな事もしてきたのよぉ!本来、病気ってのはウイルス見たいなものがって、そのウイルスは体内に入って感染するものじゃない?」

「あぁ、そうだな」

「でも、さっきので血を見て思った事あるのよ、本来は血ってすぐ固まるものじゃないのぉ~、でもあの血は固まってなかったわぁん」

「だから、何が言いたいのさ」

「あれって、病気じゃなくて"スキル"のせいじゃないかしら?」

俺達はカマさんに言われて、初めて気づいたのだ。
確かに今まで不自然な事が沢山あった、治らない傷、笑い声、うごめく傷
でも病気と言われ続けて信じてきた。
それが本当の話なら別問題になってくる。
自分達が玄武王の災いと見せかけたスキルでの殺害、ならバルドの父は死は病気と見せかけた殺人になる。

「感染症って、本来なら周りの達に広まるものじゃない?なら私もかかってもおかしくないじゃない?」

「ほら、カマさんって頑丈そう・・・」

「何よ!私だってか弱い乙女なのよ!!」

ドスが効いた声をしながら、体をプリプリさせる
その動きやめろ!思わず引き金を引きたくなるだろ

「それに患者の所へあちこちに行ってるけどぉん、バルドさんの家から結構離れたりとか不規則なのよねぇ、バルドさんが最初の感染者ならそこから広まる筈なのにそうじゃないの!」

「ふむ」

「それに傷口から見てから、違和感あるのよぉ、切り口が"自然"に空いたものじゃないんですもの、まるで人の手で斬られたみたいな切り口なのよねぇ、もしやとスキルなんじゃないかと思ったのよぉ~!!」

カマさんの今までやってきたことは無駄ではなかった。
今まで無力な自分を嘆いていた、それでもやめなかった、人を救う為に

「カマさん、ありがとう」

「良いのよぉ!役に立てて良かったわぁん」

ここまでは来れば、犯人は大体は目星は付いている。
バルドの日記にも出ていた、この国の王女

スカラ=ヴォルディ

しかし、動機が分からなかった。
何故このような事をしたのか、もし本当に氷愛石を取らせに行かせたのなら、今度の結婚する相手に使う物だろうか?
皆の顔を見ると、同じように悩んでいる顔をしていた、きっと同じような考えをしているのだろう

「まぁ、皆が考えている事は同じだろう」

「えぇ、まぁ、そうですね。」

王女に会うには王宮の中に入らなければならない、しかし俺達は王宮に入る資格がない為、入れないのだ。

「このままじゃ、会えないな」

「あら、そうでもないわよ?」

そう言うとポケットから一枚の封筒を取り出してくる

「それは何だ?」

「ふふ、これは結婚式の招待状よぉ~、ご丁寧に友達も誘ってもいいらしいわぁ~!」

「何故、カマさんが・・・?」

「あら、言ったじゃないのぉ!これでも有名な凄腕の治癒師なのよぉ~!色んな人の怪我を直して、功績を貰っているんだからぁ!」

以外にもカマさんのおかげで王宮に中に入る問題は解決されたのだ。
かくして、4日後の王女の結婚式に向けて作戦を立てる事になったのだ。
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