初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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改稿シリーズ・第一章

第10話 VS黒大蛇(上)と少女と謎の男の話

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「SYAAAAAAAAAA!!」

オロチは黒杉を見つけると、長い舌を巻き、シュルルと音を鳴らし威嚇する。
ある一本の頭は口を開き、涎を垂らしながら、頭で突進してくる。

「クソッ!!大きすぎるだろ!」

黒杉は【跳躍】をして、大きく飛ぶ。
オロチはそれを追いかけるように、もう二本の頭が素早く追撃する。

「そんぐらい!来るの分かってんだよぉ!!」

両手に持ってる剣と短刀に初級呪術【呪縛】を付与させて、武器が黒い煙を纏う。
そのまま初級風魔法の【風圧(ディ・ヴィン・プレサ)】を使って、身体を風の力で軌道を右のずらし、右頭の方に攻撃しに行く。
そして、呪いを纏った二つの武器をそのまま脳天に目掛けて、ぶっ刺した。

ザシュッ!!

上手く突き刺す事ができた。
しかし、オロチの大きさ過ぎるのか、攻撃は通ることは無かった。

「やはり、呪いで動きを止めるのは無理そうだな・・・ならこれならどうだよッ!!【土堅】!」

そう言って、オロチの頭の上で土魔法の【土堅(ディ・ソ・ドゥル)】を魔術執印で発動させ、片足に泥を纏わせ固定する。
そのまま、【アタック・アップ】【 密迹】【加速】を発動させる。
身体中に力と赤いオーラがに湧き出る、そして加速の効果で頭に突き刺さっている剣を思いっきり踏みつける。
踏みつけられた、剣は更に深く突き刺さり、勢い良く血が噴き出し、服に付着する。

「SYAAAAAAAAA!?]
「おいおい!デカいのは図体だけか・・・うお!?」

突き刺された頭は、悲鳴らしき鳴き声を発し暴れまわる。
固定されてない足が遠心力に耐えきれずに宙ぶらりんになる。
そのまま、魔法を解除して吹き飛ばされる。

「っぐ・・・!」
「ヨウイチ・・・!」

勢い良く、吹き飛ばされる。
そのまま、何かに抱えられるかのようにぶつかる。
ぶつかった方向を見ると、そこにはお姫様抱っこしている、アイリスの姿があった。

「あの、アイリスさん・・・?」
「ヨウイチ・・・大丈夫?」

本来は逆のシチュエーションの筈なんだけどなと思いながら、黒杉の顔を見るなりして微笑む。
その微笑み方は物語に出てくるような王子みたいな優しい笑みでイケメンな姿を連想させる。
しかし、何時まで経ってもこの状態をが続くのが恥ずかしい為、降ろしてもらう事を言う。

「あのー、アイリスさん・・・?ちょっとこの状態だと恥ずかしいですけど降ろしてもらっても良いですかね」
「わかった・・・無茶しないでね?」

少し不服な顔するが、物分かりが良くて良かった。
しかし、降ろされる前にオロチの攻撃がやってくる。
危ないと判断したアイリスは、黒杉を抱えたまま(勿論、お姫様抱っこ)、素早く空中へと逃げる。
もうどうにでもなれと思い、アイリスに負担にならないように首に手をまわす。
すると、彼女の顔が嬉しそうにしていた。

「へへへ・・・」
「ヘヘヘじゃないぞ、ほら、ちゃんと前を見な」
「うん・・・分かった・・・気合入った」

依然として、オロチは八本の頭がアイリスたちを追いかける。
それに負けず、アイリスは巧みな飛行技術で攻撃を次々と避ける。
そして、アイリスは飛行中に呪文を唱える。

「大いなる風の精霊シルフィードよ、審判の時。大気は一つの風になり、風は一閃の刃となれ、そして罪を裁け!・・・【風の処断刑(プロ・ヴェクトル・ヴィン・ドゥ・ポエン・クストディア)】!」

アイリスが唱え終わると、オロチの頭上に風が集まる。
次第にその形は三日月の刃に変わり、そのままオロチの首に目掛けて落ちていく。
そのまま、風の刃は首を突き抜ける。
その一本の首がずるりとズレ落ちる。

「(ハハ・・・敵じゃなくて良かった・・・)」

そのアイリスの魔法を間近で見て、驚いたが本当に敵じゃなくて良かったと思う黒杉であった。
きっと、敵だったら会って数秒で首を吹き飛ばされただろう。

「先ずは一本だな」
「ヨウイチ・・・アレ!」

すると、首があの時の"ケロベロス"と同じように、徐々に頭は黒く粘りついた物が増えていき、やがて頭が再生していく。

「クソッ!コイツも再生持ちかよ!」
「どうする・・・ヨウイチ?」

どうにかしようと、何とかしよう考えるとオロチの身体が静かに光り出し周りの魔素がオロチの身体に集まっていく。
何か嫌な予感がする。すくなくとも何かをしでかすのは間違いはないようだ。

「アイリス!気を付けろ、何か来るぞ!」
「了解・・・!」
「SYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

オロチは咆哮を放つと、空中の四方八方に白い魔法陣が浮かび上がる。
その白い魔法陣は黒杉たちを狙うかのように角度を変える。

「SYAA!」

オロチはもう一声を鳴くと同時に、白い光の弾幕が雨のように降り注ぐ。
アイリスが何とか避けようとする。
しかし、圧倒的な密度と量が襲い掛かってくるため、避けきれずに、肩に被弾する。
当たった光はアイリスの身体を抉り、片腕がダラーンと垂れ下がる。
その状態帯で片手でなんとか、黒杉を抱える。

「アイリス!腕が!」
「大丈夫・・・すぐ直る」

そう言うと、骨まで見えていた、肩の部位が筋肉、皮膚、骨までみるみると再生していく。
アイリスの【超再生EX】【自然回復EX】の効果だ。
おいおい、アイリスさんは万能過ぎないか?

「魔力がある限りは再生する・・・だから大丈夫」
「頼もしすぎるなあ・・・っと、アイリス!左から来てる、上に飛べ!」

アイリスは静かに頷いて、左からオロチの頭に避けつつ、急上昇する。
激しい弾幕を避けている時、アイリスの目が赤く光り出す。
その際、今回は被弾せずに避ける事ができる。

「今のよく避けれたな」
「余裕・・・二度は失敗しない」

オロチの頭上にたどり着いた所で、アイリスに止まるように合図する。
そのまま、黒杉はアイリスから離れ、そのままオロチに飛び込む。

「アイリス、大丈夫だ!後は援護を頼む!」
「了解・・・気を付けて、相手は厄介・・・」

黒杉はアイリスの言葉に頷き、【収納】から二本の大剣を取り出す。
そして、今度は大剣に魔術執印を書き、【過炎】を発動させて、事前に油を塗っておいた大剣に魔力を帯だ炎を纏わせる。

「オラアア!食らいやがれ!」
「KISYAAAA!」

【石投げ】【スローイングダガー】を発動させて、【風圧】を使って身体を捻らせ回転させる。
そして、その回転力を利用して流れるように投げつける。
勢いよく投げつけられた、大剣は曲線状を描きながらオロチの方に向かって行く。
再び、身体が回転した状態で【収納】から剣を取り出し、炎を付ける。

そのまま、【加速】発動させ、【風圧】で身体ごと吹き飛ばし、白い魔法陣の追撃が追い付けないの速さで急降下する。

───加速・・・加速加速加速!!加速ッ!!!


放たれた大剣は、首の真ん中辺りに目掛けて焼き付けるようにオロチの首を抉った。
しかし、血は噴き出さず大剣の灼熱の温度によって傷口が溶けて再生はせず、そのまま、抉られた傷口に目掛けて、高速回転で【スラッシュ】で攻撃する。

「【スラッシュ】!!!スラッシュッスラッシュッスラアアアアアアッシュ!!!」
「KISYAAAA!!?」


ズバダァン!!!

オロチの首はッジュと一瞬だけ音が鳴り、そのまま勢いよく切断される。
しかし、完全に溶けきれずに少しずつ再生していく。
このままだと、また再生してしまう。
黒杉はすかさず、見上げてアイリスに炎魔法で傷口を塞いでもらおうと伝える。

「アイリス!!炎魔法で切断した首の断面を溶かすんだ!!」

アイリスはコクリと頷く。
そのまま、左腕を真っすぐ伸ばし、手を広げ赤く光る、右手の人差し指は紫に光り、左手の上に呪文をなぞり魔術執印を発動する。

「炎は雷針と成りて・・・焦がせ!燃やし尽くせ!!【緋雷(シーン・メディアーテ・ティジス・クチーノ・ヴィ・トニィトゥラ】」

魔術執印で発動後、手から緋色の雷がオロチの首の断面に向って雷鳴と共に放つ。
断面は黒く焦げ、腐った臭い、硫黄の臭いが充満し鼻につく。
だが、再生は何とか止める事ができ、オロチが悲鳴をあげる。

「よし、まず一本だ・・・っぐ!」

今の攻撃で、かなり魔力が消耗した。
結局、転職してもステータスは村人には変わらなかった。
枯渇寸前で、【収納】から薬草を噛みちぎる。
しかし、あくまでも体力が回復するだけで、魔力はあまり回復しなかった。

「やっぱり、村人は不便だな・・・!」

身体が少し軽くなったところで、再び立ち上がる。
改めて、見上げるとデカい。
魔力が少ない中で、こんな強大な敵に勝てるだろうかと不安になる。
先が見えない、そもそも相手は神話の生物、足が竦む・・・。

一瞬、思考が止まる。
アイリスの叫び声が聞こえる、その声に我に返った時だった。

「ヨウイチ!危ない!!!」
「・・・・ッ!!【金剛】ッ!!」


横から、何かが飛び込んでくる。
それはとてつもなく大きく、避ける事が出来ずに食らってしまう。
防御スキル【金剛】を発動させ身体を硬化させるが、しかし、ぶつかったときには簡単に硬化した身体を割られる感覚がした。
そのまま、脇腹に何かが深く突き刺さり、左半身にメキメキと音が響き聞こえる。

ぶつかった衝撃で壁に勢いよく叩きつけられ、今度は体全身がバキバキと音がなり、そのまま地面に真っ逆さまに落ちる。
壁には綺麗な人型の跡が残る。

「ヨウイチ!しっかりして・・・!!ヨウイチ!【ヒール】ッ!」
「ア・・・アイリスか・・・」

アイリスが近づき、黒杉を上半身を起き上がらせて、
息がし辛い、呼吸するだけで全身に痛みが響く。
口からは大量の血を吐き、鱗で刺さった脇腹は穴が開いてた。

結局、ここで野垂れ死ぬ運命だったのか。
なら、アイリスだけでもと黒杉は言う。

「アイ・・・リス・・・逃げろ!」
「・・・ダメッ!ヨウイチと・・・一緒に旅するって約束した!」

アイリスは現実を受け入れずに、ヒールを掛け続ける。
明らかに致命傷、助からない傷、だけど治療をやめなかった。

「いいから・・・ッ!逃げろ!」
「嫌だ・・・ッ!嫌だ嫌だッ!私が守る・・・って!私が守るって言ったんだ!!」

静かだった声が、徐々に荒げる。
アイリスの目元に雫が溜まっていき、やがてその雫は零れ、黒杉の頬に落ちていく。

「もう一人じゃないって・・・思ってた・・・その矢先に失うなんて・・・"もう"嫌だ!」
「アイリス・・・お前・・・」

長く閉じ込められていたアイリスは恐れていた。
自分を縛っていた鎖を断ち切り、美味しいご飯を一緒に食べて、世界を一緒に周ろうと約束した。
何もかもが初めての彼女は、その経験自体が宝物になっていた。
その思いはわずか数週間だが、思いが膨れ上がる。

「だから・・・ヨウイチが言ってたみたいに・・・私も諦めない・・・絶対にあきらめないッ!!」
「ハハッ・・・バカだなあ・・・」
「バカで良い・・・」

危機的状況だというのに、お互いに笑いあう。
その時、だったオロチの頬が膨れ上がる。
膨大の魔力が感じる。

「アイリス・・・ッ!」
「大丈夫・・・休んで・・・」

そう言って、立ち上がって、目に溜まっていた涙を拭き、両腕を伸ばして呪文を唱える。

「古より伝われ光神の加護、全てを遮断し、全てを守れ、我が願いは・・・誰かを守る為に!!【多重・天光の古壁(アンティ・クロアム・ムルタ・ルクス・シェリー・ヴィ・ヴィトス・ムルム)】!」

呪文を唱えると、ドーム状の光の壁が6重に展開させ、壁の周りには白い魔法陣が浮かび上がり周回している。
誰もが見て分かる、とんでもない規模の魔法だという事が。
アイリスの顔に冷や汗を掻く。

展開したところで、オロチの七つの頭が口を大きく上げて、同時に炎を吹く。

「ぐう・・・!!」
「アイリス・・・!」

次に八本の尾で障壁に向って、叩きつける。
ここで障壁にヒビが入り・・・割れる。
一枚、また一枚と徐々に壊れていく。

「っく・・・うあああ!!」
「もう、良い・・・もう大丈夫だ!!」

それでもアイリスは自分から出せる魔力を全力で出し続け、魔法障壁を張り続ける。
しかし、それを追い打ちを掛けるようにオロチが仕掛けた、白い魔法陣が無数の光の弾幕を放つ。
そして、また一枚が壊れる。

「アイリス・・・!!」
「ヨウイチ・・・ッ!」

アイリスは黒杉の名前を呼ぶ。
抑えたまま、顔だけ黒杉の方へと向ける。

「ヨウイチ・・・安心して・・・守るから・・・」
「・・・もう・・・良いんだッ・・・逃げてくれ」

その顔は笑顔だった、それは安心させるために向けているのであろうか。
彼女は短い期間で芽生えた感情と思いを伝える。

「・・・大好きだよッ」
「・・・・ッ!」

それは唐突な告白だった。
アイリスは顔を少し赤くして、再び真剣な表情に変わりオロチを見つめて前を向く。
繰り出される攻撃を耐える続けるが、また一枚破れる。
残り2枚、これを突破されれば二人は消し炭になる。

「う・・・うああああああああああああああ!!!」

アイリスの腕に負荷がかかり始める。
身を焦がそうとも耐えながら叫ぶ。
それは愛すべき一人の人間の為に。
魔法障壁は更に硬化するが、虚しくも破られる。
残り1枚

「(動けよ・・・俺の身体!!このクソ!動けよ!!ここで諦めるわけには、いかねえんだよ!!)」

だけど、身体は動かそうとしても、動かせずに倒れたままに、自分の無力さに嘆く。

「(ふざけんなよ・・・!そうだ、俺はアイリスと旅をするって大口叩いたじゃねえか!アイリスが諦めていないのに、俺が諦めてどうすんだよ!!)

動かない身体を、戦慄が走る痛みを耐え、少しずつ腕を動かす。

「(自分が招いた事なのに、人に尻ぬぐいさせてんじゃねえ・・・動けよ!動いてくれよ!!俺の身体!!!)」

そして、最後の一枚にヒビが入る。
それを見た、黒杉は思う。
このままだと、アイリスが・・・死ぬ。
そんな最悪なビジョンが見えた時には叫んでいた。

「誰でも良いから!!!アイリスを救ってくれええ!!!」

そして、最後の一枚が割れ、目を瞑る。
ここで、お終いか、炎に巻き込まれて光に抉られ、尾で潰される。目を瞑った、


だが、数秒経っても、黒杉たちは"生きていた"


熱さも感じない、抉られない、潰されない。
恐る恐る、目を開けた。
目の前には驚くべき光景が広がっていた。

そこは、八本の頭と尾が無く。
地面にゴロゴロと転がっていた。
そして、オロチの前に一人の男が立っていた。

黒いコートに身に纏い、短い白い髪の毛が風になびく、こちらを見つめる碧い瞳は不思議と安心できた。
腰には刀が差してある。
男はこちらに近づき、言う。

「ふう・・・間一髪だったな、大丈夫か?」
「・・・大丈夫に見えますかね?」

男は静かに笑いながら言う。

「違いないな、話は後だ・・・シルル!今だ!」

上に向って、合図する謎の男
黒杉達も上を見た、そこには大剣を持った少女が勢いよく降りてきた。

「まかせて、うーさん!!うりゃああああ!!」

シルルと呼ばれる大剣の少女は勢いよくオロチの身体の中心に向けて大剣を振った。
ただでは済まないであろう、振った大剣は地面が割れて揺れし
凄まじい轟音を鳴らしながら地面にめり込む。
それでも完全には両断されてはいなかった、ただ分かるのはオロチの再生が追いついていなかった。

「あちゃー、うーさん!すみません!思ってた以上に硬くて斬れませんでした!」
「大丈夫、良くやってくれたよ」

そう言って、少女の頭を撫でると「ウヒャアアア」と叫びながら喜ぶ。しかし、オロチは徐々に再生していき形を戻していく。

「あ、あの・・・」
「取り合えず、終わらせるから待っててくれ・・・ったく、これだから再生持ちはめんどくさい」

そう言って男は、刀を抜きオロチを向ける。
少女も男の動きを合わせるように大剣を構える。

「だから、殺しがいがあるんだけどな」

そう言って、男は優しそうな表情が一変して凶悪に笑う。
しかし、その笑い顔は安心と安全を約束した合図だと分かった。



















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