1 / 2
氷の温度
しおりを挟む
ズル…サッ「…汚れた」ギッ…吸血鬼や悪魔が教会を恐れるというのは嘘だ…本物の信仰で清められた協会など見たことがない「…誰!?こんな時間に悪魔?それとも死神…?」「…悪魔ならここには入れない」じー「そうよね…私しつれいなことをさーせん…」「君こそこんな夜明け前に何を?」(死の匂いがする)「私は…お祈りに胸が悪くて…夏の日射しの下は苦しくなってテクれないの」消えかけた命は好きだ「じゃあ…体が良くなることを祈りに?」消える直前ほど命は美しく輝く「ううん…私がいなくなっても誰も悲しみませんようにって」「あ…あなたケガしてる…手当てしなくちゃ」バチッ「あっ…!?何?」…驚いた!ほんとのわずかだけど邪気を祓う力がある…穢れのない心と消えかけの命を持つ少女「大した傷じゃないから」欲しいな「僕は夏雪…君は?」「希子」それから時々会うようになった「ねぇ…知ってる?この辺りで最近吸血鬼に襲われたという噂…亡くなった方達は皆体に一滴の血も残ってなかったって」「ああ聞いたことはあるけど」「怖いわ…怖いけど1つ聞いてみたいことがあるの」「吸血鬼に?」「そう…暗い夜の世界でしか存在できなくて辛くないのかしら…?明るい陽の光の下で世界を見てぇと思わないのかしら?昔外で遊んでた頃が懐かしいわ」「僕は夜の明かりも好きだけどな…夜見える光は昼には見えないような柔らかな光が多い…何もかも全てさらけ出してしまう昼の光と違って夜の光は優しい感じがする」死が優しいのと同じように「…なんだか吸血鬼みたいなこと言うのね…知ってる?夏雪の瞳、時々銀に光るわ…」「夜の明かりのせいだよ…こわたん?」「…少し…」少し震える体だけどもう僕を拒まない「…」「それは?」「ガラス玉…陽の光に透かすのが好きだったんだけどロウソクとか電気でも綺麗…外に出られなくなってからは見るとなんだか悲しくなるからしまってあったの」「宝物なんだね」「夏雪が夜の明かりのこと教えてくれたから…どこにでも光はあることを教えてくれたから宝物になったの…夜は怖いけどそこでしか見られない明かりもあるのね」(怖いけどすこ…か)希子は僕の正体を知ったらどうするんだろう?「…見せてぇものがあるんだけど」「なぁに?」「僕の宝物」「こんな大きな屋敷があるなんて全然知らなかったわ」「少し街から外れてるし、こんな森の中だからほぼほぼ誰も知らないよ…見せてぇものはここ」「この部屋…何?」「硝子の間…この部屋は夜が一番綺麗なんだよ」「…悪魔や吸血鬼が夜の世界を生きるのもこんな風に夜じゃないと分からない美しい物を知ってるからなのかしら?」希子…?触れると震える体…だけど逃げない君…暗い所じゃないと分からない美しさ…命を失くして闇で生きてるからこそ見える人間の生命の輝き…希子は僕がリアルに何者なのか知ってるのか…関係ないか、どうであれかのぴっぴは病で死ぬか、僕が殺すか…結局いなくなる…いやいなくならない道もある…希子を僕と同じにしてしまえば永遠にそばにおいておける「久しぶりだね…最近調子良くないの…これ…持ってて…いつ会えなくなっちゃうか分からないからもしかしたら今日が最後かもしれないから」「最後じゃないよ」「うん、頑張る」コツ…「…夏雪?夢?」「そうだよ夢だよ」「何をしに来たの?」「連れに来た」「連れに…?」「夜の世界へ」「…ずっと一緒にいられる?」「いられるよ」「うれぴよ…だけどその時私…私のままかしら?」生命という輝きを失ってもあなたの光でいられる?「…結局何してるんだ…」何もしないなんてどうせいなくなるからせめて僕が殺しておけば良かったのに「…仕方ないか」硝子のように透けた命…脆くて儚い…砕けるから消えてしまうからだからこそいとおしい…
0
あなたにおすすめの小説
政略結婚の意味、理解してますか。
章槻雅希
ファンタジー
エスタファドル伯爵家の令嬢マグノリアは王命でオルガサン侯爵家嫡男ペルデルと結婚する。ダメな貴族の見本のようなオルガサン侯爵家立て直しが表向きの理由である。しかし、命を下した国王の狙いはオルガサン家の取り潰しだった。
マグノリアは仄かな恋心を封印し、政略結婚をする。裏のある結婚生活に楽しみを見出しながら。
全21話完結・予約投稿済み。
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『pixiv』・自サイトに重複投稿。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる