真夏とアイスのシルバードリーム

マッシュルームきのこ

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真夏のシルバードリーム

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私の家には開かない扉がある…昔この屋敷にいた吸血鬼をこの部屋に閉じ込めたと言われてる…どうせかけた鍵をどこかへ失くしたとかなんだろうけど…「遥奈様どうかされた?」「…別に」「今日はお天気がよろしいのですからお散歩でも…」「苦しくなるから外は嫌い!」子供の頃お医者さんに18までしか生きられないと言われた…だから誰も私のわがままに怒らない…きっともう諦めてるのね…私も諦めてる色んなこと…だからもう死ぬのも怖くない…カチャ…え…キッ…扉が勝手に…どうして?開かないはずの扉が開くの!?ギィ…何かしらこの部屋…なんだか血の匂いがする?「大きな肖像画…昔この屋敷にいた人かしら?」「今もいるよここに」「誰っ!?」「こんにちは遥奈」「…どうして私の名前を知ってるの…」「だって僕の方が昔からここなう」「あなた誰よ!?」瞳が銀色…まさか「閉じ込められた吸血鬼…?」「半分当たり!閉じ込められたんじゃなくて僕が誰も入れなかったんだ」「!!…別にいいわよどうせ消えかけの命だものあげるわ!」病気だけじゃなくてもこんな形でも死が私にまとわりつく…だったらいっそ終わってしまえばいい「!」あ…!「…」…クスッ「!?」ドンッ!「何するのよ!」「命も惜しくないけどキスは惜しい?死んだら恋もキスも出来ないよ?僕は夏雪またおいで」『またおいで』不思議な声だったなんだか引き込まれるような「遥奈様、最近お部屋にいらっしゃらないことが多いようですがどちらへ?」「…お散歩よ!やっぱり気持ちいいから」「まあ…そうですか」キィ…「入ってくれば?昼間でも平気なのね」「日の光に当たらなければね…」口元が赤い「それ…何?」血みたいに「…ただのワインなんだけどそんなにこわたん?」「わ…悪い!?」「悪くないよ…ちゃんと生きてぇって思ってる証拠じゃないか!死んでるものとか死にたがってるような命に興味はないから」「…どうして?」「そういうのは僕に似てるから…」「似てるのに嫌いなの?」「うん…ちゃんと生きてる命が好きだよ」なんだか泣きそうな顔だった「リアルによく来るね…もう怖くないの?」「怖くないし気になるから」「何が?」「夏雪は生きてないけどここにいるでしょ?それってどんな感じなの?」「普通に死ぬのが夢も見ずに眠るのと同じならずっと夢を見てるような感じかな」終わらない夢…覚めない夢…「…血みたい」夏雪のことが気になって仕方ない…これって魅入られることになるの?違う…冷たくて怖そうな時もあるけど泣きそうに草生やしたり、銀の瞳がキラキラ表情をかえる…もっと色んな顔が見たくて…それで気になるの「遥奈起きて」「夏雪!?」「散歩しに行かない?」「夜に外なんか…」「昼間だって出てたじゃないか…おいでよ!夜が綺麗なの知らないだろう」サァー「私森のこんな奥まで来たの初めて…こわたん…どこまで行くの?」暗い森はそのまま黄泉へ繋がっていそうで「着いたよ」「綺麗…どうしてこんなの見せるの?」「え?」「こんなの見たらもっと他にどんな景色があるのかって思うわ!でもどうせ来れないもの!」怖いとか綺麗とか何も感じたくないの「何度も見に来ればいい」「無理よ!」「無理じゃないよ…僕が連れてくる…何度でも」どうして「…どうしてそんなに優しいの!?殺せばいいじゃない!その為に部屋に入れたんでしょ!?」「昔はよく草生やしてたの知ってる…初めて見た時に思ったよ…日の光の下にもう一つ太陽があるみたいだって…またあんな風に草生やして欲しい」優しい言葉が心の柔らかい部分にくい込む…知らなかったこんな気持ち…知りたくなかった…思い通りにならない体がもどかしい…心も体も全然思い通りにならない…夏雪のせいで変わってしまった…体だけじゃない…諦められたことが諦められない…怖くなかったことがこわたん!私生きてぇ…「…いなくなってよ」こんな風に生きてぇと願ってることあなたがいなければ認めなくてすんだのに…「どっかに消えてよ!!」「…分かった」(え!?)ジュ…!(日の光に…)「やめて!」ドンッ!「死ぬつもり!?」「…別に構わない…手に入らないならどうでもいい…遥奈が好きなんだ」…好きって言ってくれた…夏雪の言葉が私の中で優しく響く…誰かにこんな風に想われるなんて初めて…私まだあなたに言っていない…私の気持ち伝えてぇ「…すこ!」「…初めてだね夜ここに来たの…やっと僕のものになった?」「夏雪がすこ!」「嬉しいな…じゃあ僕に殺されてくれる?」「何…言ってるの?」え…どういう…こと?「当たり前だろう?僕の正体なんて遥奈も最初から知ってたじゃないか…どうやって食べようか…最初からそれしか考えてなかったよ」そんな…「…いやっ…やだ!離して!!」ドサッ!「!!」ザクッ!「あっ…」首筋が熱い…熱くて痛い…「…可哀想に生きてぇ気持ちと僕のことを好きな気持ちでいっぱいだ!そういう命じゃないと狩る意味なんてない…愛してるよ遥奈」血の味のキスが夢を狂わせて行く真夏の夜の悪夢は終わらない
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