恋とはどんなものかしら

東雲さき

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凛子の婚活

3 凛子、現実を知る⑴

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翌日。

今日は日曜日。
昔は休日はいつまでもベッドでゴロゴロしていたけれど、ここ近年ではそんな勿体ない時間の使い方はしなくなった。なので私は平日並みに早々に起床した。
昨日できなかった分部屋の掃除をしたいし、気分転換も兼ねて買い物にも出掛けたい。
軽く朝食を食べながら一日の予定を立てていく。
気になるところの掃除を完了させ出掛ける準備が整った頃には時間はすでに11時になろうかというところだった。
さて行くか、とスマホをバッグに入れる流れでチェックしてみると、なんと小森さんからメッセージがきていた。
メッセージが来たのは一時間前…時間経っているけど大丈夫かな?と気になり開いてみると、

『おはようございます!ダラダラしてたんですけどようやく起きました!りんこさんは今日は何をするんですか?』

読み終えて思った。
お互いを知るためにはメッセージのやりとりは欠かせないけれど、これはちょっと違うんじゃない?と。

私が婚活を始めてから今までメッセージのやりとりをした人と全く違う。

結婚相談所でもメッセージのやりとりをする上での注意事項として説明があった。
例えは、『理想のメッセージ頻度は1日1往復~3往復』『20時~24時がベストタイミング』。
『しかし人によっては1日1往復が理想。それ以上は負担に感じるという方もいるため相手に会わせることが大切』という注意書きまであった。

実際に私も夜に2~3往復が多かった。

そのため、こんなに朝早く(といっても10時)から『今日何する?』なんて送ってくるとは思っていなかったのだ。

それでも一応返信はする。

『おはようございます。今日は買い物に行ってきます。』

あまり詮索されたくないので当たり障りのない内容。
さて、あの人はこれにどう来るか。
どこに行くんですか?なんて尋ねてみろ。
好感度はだだ下がりだ。

相変わらず返信は早かった。

『俺も買い出しに行ってきます!』

・・・そうですか。
もはや返信するのも面倒くさい。
自分から申し込んだとはいえ、いちいち丁寧に対応するのに疲れる。
文末の「!」にムカついてきた。

返事は打たずにそのまま出かけた。


 ◆ ◆ ◆


ショッピングモールで目の保養をしながら歩き回る。
少し遅い時間に手ごろなイタリアンのお店に入って料理を待っている間にスマホをチェックしてみた。
返信していないにも関わらず、小森さんからメッセージが届いているではないか。
いったい何?と不振に思い開いてみた。

『ウェ○シアめっちゃ混んでます!』

・・・・・・・・・・どうでもいい!!!
わざわざ教える必要ある!?
こんなの送ってくるな!!!

この人私たちの関係を履き違えているのでは?
昨日初めて会ったばかりの、しかもお見合い相手に送ってくる文面ではない!
こんな勘違い男の彼女になんてなりたくない。
お友達からお願いしますどころかお友達になるのも勘弁してほしい。
でもまだ一日目…
決めつけるのは早いのか…?
この人は私のことを知ろうとしてくれている。
私も知る努力をするべき?

悶々と思考に耽っていると、良い香りと共に料理が到着した。

「お待たせしました。ポルチーニのクリームパスタです」

待ってました!
今は小森さんなんかより美味しいものを食べて幸せな気持ちで満たされたい!
とりあえず日中は返信しなくていいでしょ。

スマホを伏せた手をおしぼりで拭き、フォークを取ってパスタをくるくると巻く。
口に入れた瞬間美味しすぎて感動した。
小森さんのことは秒で頭の中から消え去った。


 ◆ ◆ ◆


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