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付き合ってからの短編

もう家族でしょ

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 ※付き合ってから二年目のクリスマス



 理一の家で寛ぐクリスマス。もうほとんど自分の家みたい。だって座敷わらし……の話はいいか。 

「理一~」
「ふふっ、どうした?」 

 ソファに座って本を読んでる理一。
 後ろから抱き締める。 

「俺を放っといて本に夢中? 妬いちゃうよ」
「すまない。つい内容が気になってな」
「どんなの?」 

 見せてくれたのは洋書で、文章がひたすら敷き詰められている。 

「理一は頭良いね」
「ジョアルだって読めるだろ?」
「読めるけど読まない」 

 理一の興味がその本に注がれるのが面白くない。 

「俺の相手してよ」
「え、……んっ」 

 顔を向かせて唇を奪って。悪戯っぽく笑ってみる。 

「……ホント、理一の表情ってそそられる」
「……っあ、あんまり……みないで……」
「可愛い」 

 真っ赤にして逸らすけど、満更でもないって顔してる。 
 理一の正面まできて、ソファに乗って寝転がり、理一の膝に頭を乗せた。 

「この角度なら理一をずっと見てられるから、本読んでてもいいよ」
「そ、それはっ……も……いい」 

 慌てたり照れたり、やっぱり理一は可愛い。 
 腕を伸ばして、理一の顔に触れた。理一は黙って抵抗しないで、俺の顔を見つめてる。 

「理一の顔……好き」
「あ、ありがとう……」
「顔だけじゃないけどね。他はどこが好きか、後でじっくり教えてあげる。今はこうしてのんびりしてるのがイイ」 

 理一の膝に顔を押しつけて、温もりをいっぱいに感じる。 

「……クリスマスはさ、俺の所じゃ家族と過ごすのが一般だから新鮮」
「そうなのか? 日本じゃ恋人と……というのは普通だな」
「その方がいい。家族より」 

 あえてそこで話しを切るのは、やはりいい思い出が無いからで。そう言ったら、理一は頭を優しく撫でてくれた。 

「家族も大事だぞ?」
「うん……」 

 それは分かってるけれど、一番大事なのは理一だということに変わりはない。 

「理一ももう、家族同然だよね」
「っ……!」 

 驚いて、照れて、でも凄く嬉しそうで。それはとても綺麗で、最高の笑顔だった。


 END
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