囚われた親友に

朝陽ヨル(月嶺)

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過去6

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 ――合格発表日。

 会場へ向かう。そこには既に大勢の受験生が集まっていた。その前には、受験番号が、合格者が貼り出されている。

 大丈夫。俺は、やり尽くした。

 一歩一歩、重い足を進めた。ガッツポーズをして喜ぶ者もいれば、泣いてしゃがみこんでいる者もいる。俺はどちらに転ぶのだろうか。人が多く、前の方には行けないので、後方で目を凝らして確認することにした。

『…………!』

 …………あった。俺の……番号だ。あった。俺は……合格したんだ!

『~~~っ! ……ふぅ~っ……』

 大きく息を吐いて、やっと肩の力が抜けた。

 英二にちゃんと報告出来る。笑って、良い報せだと。

『え……』

 俺は目を疑った。また別のボードの前に、奴が……英二がいた。

『英二……?』
『あ、陵……っ』
『お前、どうし……ってわ!?』
『陵っ! 俺、俺っ!』

 突然抱きついてきた。何事かと混乱するばかりで、これは自分の夢かとも思ったくらいだ。

『俺! ……受かった!』
『は? どこに』
『ここ、ここ!! 東大だよ!!』
『……ええ? お前……受けてたのか……?』
『内緒でな! へへ……』
『自分で無理とか言っていたくせに……どうして』
『分かんないのかよ? そんなの簡単な問題だぜ? その良い頭で考えてみろよ』
『……? ……と、とにかく離れろ』

 盛大に抱きついてきた英二。それはもう目立った。大きい男同士が、こんな大勢いるボードの目の前で抱き合っていれば至極当然だ。取り敢えず、目的を果たしたので帰路に着く。

『やったな! 俺達、大学も一緒だぜ!? 超ウキウキしてきた!』
『ああ、そうだな』
『やっぱ努力は報われるんだな』
『お前は遊んでたんじゃないのか?』
『そりゃ息抜きくらいはしてたけどさ。それ以外は、友達のお兄さんの所で勉強教えてもらってたんだ。現役東大生の』

 そんな伝があったのか。さすが、広い顔に尊敬する。それ以外だって学ぶべき所は沢山あるが、今はもうどうでもいい。今は、ただ喜びを分かち合いたい。

『英二。また遊びに行こう』
『……陵から遊びに誘われんの初めてじゃね?』
『ああ、そうかもしれない』
『あははっ……なんか、さ……今更、だけど……っ』
『っお、おい! 大丈夫か?』

 英二は柄にもなく泣いていた。我慢するわけでもなく、堂々と泣いて笑っていた。男らしく、清々しい涙だった。
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