超進化ペット!ピヨ 改訂版

朝陽ヨル(月嶺)

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一話 家庭の別れ過程

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 かぞくってなんだろう……?

 ココロは考えてみた。家族はパパとママ。そして今胸の中にいる小さな命。伯父と伯母は親戚の人。祖父は大好きだけど親戚の人。別の家の人と、ちゃんと家族になれるのか。これから一緒に住むことで家族になれるのか。一緒に住むことが家族なのか。離れて暮らすパパとママは、もう家族じゃないのか。家族がなんなのかわからなくて、不安しかなくて、祖父のこの困っている顔の理由もまだわからなくて、早く早く大人になりたいと思った。
 祖父に連れられて空港を出ていき、伯父の車に乗って新しい家に辿り着く。閑静な住宅地に佇む薄茶色の大きな一軒家。

 ここが、わたしの新しいお家なんだ……

「ああーっ、疲れたー! 俺ちょっと寝るわ」
「ご飯は?」
「起きたら食うから適当に作っといてくれればいいよ」
「あっそう」

 伯父夫婦が先に家に入り、それから祖父、続いてココロたちも入っていく。玄関も廊下も部屋も天井も、見慣れない空間に囲まれて足がすくむ。

「慣れない家に慣れない人。緊張するかもしれないが、すぐに慣れるからな。部屋に案内しよう」

 着替えなどの荷物が入ったリュックを持って階段を昇り二階へ行く。扉が三つあり、奥の扉を開いた。暗い部屋に祖父が先に入りカーテンを開ける。

「あ……」

 うっすらとまだ明るい茜の空が、窓枠一面に広がっている。まるでそれは絵画のように美しい眺め。

「いい眺めだろう?」
「うんっ」
「私の部屋だったんだが、これからはここがココロの部屋だ」
「……おじいちゃんのへやは?」
「おじいちゃんは下の和室を使うから大丈夫」
「そうなんだ……」
「気に入ってくれたかな?」
「うん」

 内側の白いレースカーテンだけが付いた窓、それから布団が隅に置いてある。他の家具は無い簡素な部屋。
 ココロにとって初めての自分の部屋で、嬉しいような恥ずかしいような、誇らしさもあって、そわそわと浮き足立ってしまう。

「洋服を入れるケースはまだ用意出来てなくてな。他にも必要な物は明日買いに行ってくるよ」
「うん」
「ココロも一緒に行こう。自分の好きなケースを選びなさい」

 祖父の言葉は魔法のようで、すうっと自分の体に吸い込まれて溶けていくような感覚がする。甘いお菓子をもらっているみたいな、ご褒美の感覚に近い。
 口元が緩みそうになりきゅっと唇を閉じているが、期待を隠すことが出来ず、頬を両手で抑えながら大きな目を輝かせて深く頷いた。
 祖父もココロに合わせて笑って頷いてくれる。

「すみませんお義父さん」
「はいー?」

 一階から伯母の落ち着いた声が聞こえた。祖父は一階に向かって返事をすると、「ちょっとごめんな」と言って部屋を出ていこうとする。
 ココロは祖父に言いたいことがあった。恥ずかしさが邪魔をするが、言いたいという気持ちの方が強かった。

「あのっ、まって……!」
「ん、どうした?」
「あ……あの、えっと……」
「ん?」
「おじいちゃん……あのね、いっぱい、ありがと……」

 照れてしまい声は小さかったが、祖父にはちゃんと伝わったようだ。

「どういたしまして。これからよろしく」

 軽く頭を撫でてから祖父は一階へ降りていった。
 祖父の大きな背中を見送った後、畳んだままの布団にそっと寝転がってみた。ひんやりしているがふかふかの感触が気持ちいい。ずっと抱えていたケージを顔の横に置き、中を覗きこんでみた。

「よろしくって……言ってくれたよ」
「ピッ」

 ケージの中にいる黄色い小鳥は、ココロの言葉に反応して短く返事をした。
 それだけでココロは満足して、緊張が解けてきたのか瞼が重くなり、畳みっぱなしの布団の上で眠りについたのだった。
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