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十話 大切なモノ
一
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クックが進化した次の日、ココロは風邪を引いて熱を出してしまい学校を休んだ。知らない道を動き回ったり、沢山泣いたり、雨で濡れてしまって疲労が蓄積し体が弱ったのだろう。
クックは亜希子と並んでキッチンに立っている。上半身には羽毛が無く皮膚が露出しているクック。その姿が寒そうだとか見た目が気になるなどの意見が家族内で挙がり、憲造の服を着ることになった。右向きのニワトリ頭巾にシャツ、下腿は羽毛に覆われがっしりとした太い鳥脚が生えている。なんとも異質である。
そんなクックだが見事な包丁捌きで万能ねぎを切っている。
その横で亜希子は鍋で米を柔らかくなるまで煮込んでいる。
「貴方、ピヨなのにどうしてそんなことが出来るの」
「説明難シイデスネ。頭が理解し、体が覚エテイルからデス」
「覚えてるって……あたかも経験してきたみたいな言い方ね」
「主とテレビや本を読ンデ学ビマシタ」
「それだけで出来るようになったら誰も苦労しないわよ」
苦笑いを浮かべながら鍋に鶏ガラスープの素と溶き卵、白ごまを入れてかき混ぜる。
「じゃあ切ったねぎを入れてちょうだい」
「ハイ」
ねぎを入れてひと煮立ちし、最後にごま油を少々かければ中華粥の完成である。
出来上がった品を覗き込んでいるクック。
何か気になることがあるのか、食べてみたいと思っているのだろうかと亜希子は考えたが、溶き卵を見てはっとする。
「……一応言っておくけど、これはニワトリの卵よ」
「知ッテマス。無精卵デスネ。例エコノ卵がピヨのモノダッタトシテも、ソレは致シ方ナイコトデス。弱肉強食の世界デスカラ」
「残酷なことを言うのね。人間はそんな強い生き物じゃないのよ」
「完璧に強イ生キ物はイナイノデス。シカシ、種族を越えて共生スル生キ物はソウ多クアリマセン。弱イカラ他と仲良ク出来マス。弱サを知ッテイルコトは強サダト思イマス。受ケ入レルコトも強サデス。違イマスカ?」
片言で一生懸命話している内容とのギャップに驚きを隠せない。
「色々考えてるのね。貴方が本当にクックなのかやっぱり疑わしいわ」
「エ、ド、ドウシテデスカ? ワタシ、クックデース」
「だってクックはまだ生まれてニヶ月くらいなのに、知識も技術もあるだなんておかしいじゃない」
「ソレは……エエト……、ドウシテカワカリマセン」
表情は分からないものの、声のトーンや体の動きで困っていることは分かる。
それを見た亜希子はクスッと微笑む。
「ピヨって本当に未知の生き物ね。不思議だわ。きっと人間とは知識の吸収量が違うのかもしれないわね。ちょっとズルいと思ったからイジワルを言ってみただけよ」
「……怒ッテナイデスカ……?」
「怒ってないわ。ほら、お粥持って行くわよ。そこのお盆取ってちょうだい」
「ア、ハイ」
立てかけてあるお盆をシンクの作業台に置く。
その上に鍋と椀、スプーン、スポーツドリンクとコップを乗せた。亜希子はお盆を持ち、ココロが寝ている二階へ上がり、部屋の扉をクックが開ける。
部屋に人が入ってきてもココロは気付かず眠っている。丸い頬を紅潮させ、汗ばみ苦悶の表情を浮かべている様は労しい。
「寝てるわね。起きたら食べさせて。私は仕事に行くからあとは頼んだわよ」
「以前も主が眠ッテイル時、主を頼厶と言ッテマシタネ。支エニナッテアゲテト。私は主を支エマス。主に尽クシマス」
「そんなことまで言うなんて主想いなのね。じゃあお願いね」
そう言った亜希子はやや口端を上げて嬉しそうな顔をして部屋から出ていった。
クックは亜希子と並んでキッチンに立っている。上半身には羽毛が無く皮膚が露出しているクック。その姿が寒そうだとか見た目が気になるなどの意見が家族内で挙がり、憲造の服を着ることになった。右向きのニワトリ頭巾にシャツ、下腿は羽毛に覆われがっしりとした太い鳥脚が生えている。なんとも異質である。
そんなクックだが見事な包丁捌きで万能ねぎを切っている。
その横で亜希子は鍋で米を柔らかくなるまで煮込んでいる。
「貴方、ピヨなのにどうしてそんなことが出来るの」
「説明難シイデスネ。頭が理解し、体が覚エテイルからデス」
「覚えてるって……あたかも経験してきたみたいな言い方ね」
「主とテレビや本を読ンデ学ビマシタ」
「それだけで出来るようになったら誰も苦労しないわよ」
苦笑いを浮かべながら鍋に鶏ガラスープの素と溶き卵、白ごまを入れてかき混ぜる。
「じゃあ切ったねぎを入れてちょうだい」
「ハイ」
ねぎを入れてひと煮立ちし、最後にごま油を少々かければ中華粥の完成である。
出来上がった品を覗き込んでいるクック。
何か気になることがあるのか、食べてみたいと思っているのだろうかと亜希子は考えたが、溶き卵を見てはっとする。
「……一応言っておくけど、これはニワトリの卵よ」
「知ッテマス。無精卵デスネ。例エコノ卵がピヨのモノダッタトシテも、ソレは致シ方ナイコトデス。弱肉強食の世界デスカラ」
「残酷なことを言うのね。人間はそんな強い生き物じゃないのよ」
「完璧に強イ生キ物はイナイノデス。シカシ、種族を越えて共生スル生キ物はソウ多クアリマセン。弱イカラ他と仲良ク出来マス。弱サを知ッテイルコトは強サダト思イマス。受ケ入レルコトも強サデス。違イマスカ?」
片言で一生懸命話している内容とのギャップに驚きを隠せない。
「色々考えてるのね。貴方が本当にクックなのかやっぱり疑わしいわ」
「エ、ド、ドウシテデスカ? ワタシ、クックデース」
「だってクックはまだ生まれてニヶ月くらいなのに、知識も技術もあるだなんておかしいじゃない」
「ソレは……エエト……、ドウシテカワカリマセン」
表情は分からないものの、声のトーンや体の動きで困っていることは分かる。
それを見た亜希子はクスッと微笑む。
「ピヨって本当に未知の生き物ね。不思議だわ。きっと人間とは知識の吸収量が違うのかもしれないわね。ちょっとズルいと思ったからイジワルを言ってみただけよ」
「……怒ッテナイデスカ……?」
「怒ってないわ。ほら、お粥持って行くわよ。そこのお盆取ってちょうだい」
「ア、ハイ」
立てかけてあるお盆をシンクの作業台に置く。
その上に鍋と椀、スプーン、スポーツドリンクとコップを乗せた。亜希子はお盆を持ち、ココロが寝ている二階へ上がり、部屋の扉をクックが開ける。
部屋に人が入ってきてもココロは気付かず眠っている。丸い頬を紅潮させ、汗ばみ苦悶の表情を浮かべている様は労しい。
「寝てるわね。起きたら食べさせて。私は仕事に行くからあとは頼んだわよ」
「以前も主が眠ッテイル時、主を頼厶と言ッテマシタネ。支エニナッテアゲテト。私は主を支エマス。主に尽クシマス」
「そんなことまで言うなんて主想いなのね。じゃあお願いね」
そう言った亜希子はやや口端を上げて嬉しそうな顔をして部屋から出ていった。
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