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【番外編】真面目な弟子などお断りです(晴香SIDE)

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「お姉ちゃん…いよいよ頭のネジが数本ぶっ飛んだんじゃないの?!」

電話口だと言うのについ怒鳴ってしまう。

「…だって、冴子が、晴香ならできるかもって言うから」
「だからって普通実の妹にそんなもん指南してくれとかいう姉がいる訳ないでしょ」
「お願い、他に頼める相手が居ないのよ」
「そもそもなんでお姉ちゃんが唯々諾々とその人の言いなりになってるの?…ってか私がそれできる前提で言わないでよ」
「できないの?」
「…できない訳じゃないけど」
「じゃ、教えてよ、また小田さんにも頼んで練習させてもらいたいし」
「……」

頭にきて切断ボタンをタップしベッドにスマホを投げつける。

「晴香たん何怒ってるの…?」

気だるく身体を横たえているはずなのに、投げたスマホをノーバウンドでキャッチしながら梢ちゃんが呑気に尋ねてきた。

その身体にはアブノーマルな常時の痕跡が色濃く残っていて、首にはまだ、飾りだけれど赤い首輪をはめられたままの状態だと言うのに、全く気にする素振りもない。

「何でもない」
「…そんな風には見えなかったけど、まいっか」

あっけらかんとした様子でそんな事を言ったかと思うと、急に淫靡な表情で「じゃ、もっとしよう?」などと誘ってくる。
電話は確かに小休止の間にかかってきたとは言え、無論今晩はこれでおしまいにする気などない。

それまでにもそこそこ攻めたはずだが、まだそんな事を言ってくるあたりは余裕ありといった所か。
私としても彼女の良がり声をまだまだ聞き足りないから、前戯もなしに仰向けの彼女の膣内を偽竿で穿ちまくる。

二つの双丘をぷるぷると揺らしながら「あぁん」と媚びるように鳴く声は、いいような、いらいらするような、両方の意味で私を刺激し、穿つ偽竿の動きは知らないうちに強引かつ乱暴なものとなっていった。
それなのに、彼女はますます甘い声で鳴いてくるから、私は激しい動きを止められなくなってしまう。

「あぁ、あんっ、…いいよぉ、晴香たんもっとぉ」

実の所梢ちゃんが底無しの変態だから、使う偽竿のサイズもだいぶ大きくなっており、故に扱う側としても非常に集中力を要するのだけど、やっぱりモノが大きいと梢ちゃんの追い詰められたような良がり声が聞けるしいい表情も見られるから、ついついエスカレートしてしまっている。

以前よりも髪を伸ばした梢ちゃんは、この所ますます女っぽさが増していて、元々のオープンな性格や態度は大きく変わらないのに、ふと黙っている時なんかに憂いを帯びた表情をするので、淫靡さはアップしているように思われる。
…それとも、付き合ううちに私の見え方にバイアスでもかかってしまったのだろうか。

「ほら、貴女は犬なんでしょ?それらしくして」

その言葉だけで彼女は四つん這いになりお尻をこちらに向けて突き出してくる。
日々のワークアウトと、更に私との激しい交わりで磨かれた身体は健康的でありながらも、しっかりと乗るべき所に脂が乗っていて理想的に美しいし卑猥だと思う。

「私の方がえらい年上だし、晴香たん可愛くて綺麗だしがっかりされたくないから」と、ボディメイクに対する梢ちゃんの意識の高さはもう、むしろストイックとさえ思えるぐらいで不思議だ。
そうして作り上げた肉体を、私に犯される為だけに差し出し平気で痛みや傷まで受け入れる。

首輪を付けた梢ちゃんがそんな、犬でもしないような卑猥な四つん這いスタイルで私を振り返りお尻を軽く振るようにしながら言う。

「…入れて、ください、ご主人様ぁ」
「犬は言葉喋らないでしょ」
「あ、はぁんっ」

咎める代わりに太い偽竿を、膣穴めがけて叩きこんだ。
彼女のお尻をがっちりと両手で掴みながら。

もう知り尽くしたその場所には、例え大きな偽竿であろうとも一発で子宮口付近までそれを撃ちこむ事ができる。
下半身が持ち上がるんじゃないかと思うほどに突き上げてから一気にそれをギリギリまで引き抜き、私は彼女に声をかけた。

「……いいわよ人間の声で喘ぐの、許してあげる」
「あ、ありがとう…ござい、ひゃ、ん…っ、おっきぃぁ…ん…あぁぁ」

御礼を言わせながら、やはりわざとそのタイミングを狙って何度も膣奥を穿った。
期せずして梢ちゃんは時折「きゃん」とも聞こえるような声で鳴きながら、快感に身体を震わせ髪を振り乱して悦ぶ。

なんていやらしいんだろう、と窪みさえできそうなぐらい反った背中に浮かぶ汗を眺めながら、私は彼女の太腿の外側辺りを軽く平手で撃ちパチンという音を立てた。

…この叩き方は音こそ大きいけれど実際そこまでの痛みは感じない。
それでも梢ちゃんの身体はその瞬間大きく痙攣し、一際高く大きく「あぁっ」と喘いだ。
そんな梢ちゃんの姿にこちらも興奮して、ますます腰を激しく前後に動かしてしまう。

「あぁっ、激し…いの、好きっ、それ好きっ、ご主人様ぁ、好きですっ」
「好きって…叩いてもらえるから言ってるの?」
「違…あぁぁ…ん…あひぃ…っ!」

奥へ突き入れたままコツコツと子宮口をノックするように動かしていた偽竿を、私のできる全力で深く速く出し入れする動きに変える。
正直、あんまりたくさんはできない手筋だけど、可愛い梢ちゃんの為に私はそれを繰り出していった。

…以前に比べたら、私はかなり梢ちゃんの身体にかかる負担を考えながら行為に及ぶようになっている。
勿論今しているように、かなり大きいサイズの偽竿で梢ちゃんの秘部をめちゃくちゃに突いたりもしてはいるんだけど、特に身体を傷めそうな行為に関しては以前のように無邪気にやりたいだけやるという事はしなくなった。

そういう私の意識が伝わっているのか、梢ちゃんもただ痛みを要求するばかりでなく、軽い言葉攻めに対しては一旦否定するような態度を取るなど、変わってきた部分もある。

「ほら梢ちゃん、イクまでいっぱい突いてあげるから…」

言いながらもきつくなっている身体に、それこそ自分で鞭打つようにしながら言い聞かせて腰の動きを緩めないよう意識する。
口では「締め付けて離さない」などと言いながらも、実際の所大きな偽竿は引き過ぎればあっさり抜けるから、抜けないようにしながら激しく動かすのは案外難しいのだ。

「…あ」

不意打ちのように、偽竿のこちら側に当たる部分に装備されたブラシが私のクリトリスを撫でていく。
…知らない間に萌芽が外に顔を出すほど膨らんでしまっていたか。
梢ちゃんは切れ切れに喘ぎながらもその合間に「ご主人様も、気持ちいいの…?」と尋ねてきた。

「すごくいい、梢ちゃんがいやらしいから」
「…あんっ、あぁ…あぁん…あんぁぁ」

私の言葉に、よくもまあただの喘ぎ声なのにそれだけ嬉しさを表現できるよねと思わせるぐらいに、梢ちゃんの喘ぎ声に歓喜が漲りより一層大きく響く。
ベッドのマットレスがギシギシときしむ音と、ぐしょぐしょの秘部に出し入れされる偽竿のグチュグチュという音、それをかき消す勢いで梢ちゃんがアンアンと喘いでいて、それらが全く異質の音であるにもかかわらず、重なる響きの気持ち良さに私は陶然とした。

「あん、いくっ、いっちゃうの…ご主人様ぁいっちゃう」

いいから早くイきなさいよと心の中で毒づきながらも、いくいく言いながら抵抗するように身体を反らせて震わせる梢ちゃんのその時の様子は、すごく好きだ。

「あぁイっちゃうの…わかんなくなっちゃう…わたし…あひぁぁっ…!」

軽い潮吹きは日常茶飯事、場合によってはきつすぎる刺激に耐えかねて失禁もするのが梢ちゃんの身体だ。
勿論失禁すれば徹底的になじって追い詰める。だらしない身体であると。
でもそれは梢ちゃんを喜ばせる褒め言葉になっているから、私はあらゆるきっかけを梢ちゃんの快楽の為に使う自分に気付いていた。

梢ちゃん側もそれをわかっているからこそ、あそこまでして身体や見た目を磨いて、私の目を楽しませようとしてくれているのだろう。

「……」

出たのは潮のみだが勢いが凄い。
試しにもう何度か突いてみると更に波が来たのかもう一度、軽く噴き出したようだった。
それが偽竿をつたい、そして膣穴への出し入れによって跳ねたものが私の太腿を濡らしていく。

…この後は梢ちゃんが自分から、濡れた私の脚や偽竿を嬉しそうに嘗め回したり咥えたりして奉仕するのだろう。それがいつもの流れだ。

「あぁっ」と絶頂の余韻からしばらく帰って来ない梢ちゃんの艶めかしい姿を見下ろしながら、私は身体も拭かずに彼女の膣内の痙攣の余韻を楽しむように、ゆるく偽竿を動かした。

*-*-*-*-*-

お姉ちゃんが相談してきたのは、もはやクレイジーとも受け取れる下らない内容。
思いが通じて職場の上司と結ばれたのはいいとして、その人の部長昇進だか何だか知らないけれども、そのお祝いにお望みのプレイとやらがどうも「緊縛」という事らしく、何故そこでそのプレイに疑問を持たないのか意味不明だけど、お姉ちゃんは従順にそれを叶えようとして奔走しているようである。

カタブツなお姉ちゃんが好きだったかと言われればそういう訳でもないが、今のお姉ちゃんはもう、恋なのか性なのか、ともかく何かによって本来の自分を見失っているようにしか思えない。
でなければいくら何でも実の妹に、緊縛のやり方を教えてくれとは言わないはずだ。
更には梢ちゃんまで駆り出して練習しようとしている有様である。

まあそう言う私も、完全に梢ちゃんとのエッチにはまり過ぎておかしくなっているとは思うけど。

問題なのは、過去に一度そういう形で梢ちゃんを貸してしまった事と、やられた側の梢ちゃんもそんなに嫌ではないようなので、むしろお姉ちゃんが本気で頼んできた場合それがそのまま通ってしまう土壌がある所なのだ。

「よくもまあ一度ならず二度までものこのこやって来るものね」

この程度の悪態は織り込み済みらしく、お姉ちゃんは動じる事なく私の部屋の玄関に立っていた。
会社帰りなのか、きりっとしたスーツ姿に大きなバッグを抱えている。

顔こそ私に似ているけれど、お姉ちゃんはもっとナチュラルに綺麗だし、言ってしまえば正統派の美人だ。
私のように陰気で線の細い感じとは違うと思うけど、それでも顔とその中のパーツの形に関して言えば、誰が見ても「似ている」と思う事だろう。
私ほど極端に色素が薄い訳ではなく、髪も自然な栗色だし肌だって人並みよりちょっと白いぐらいで健康的だ。

お姉ちゃんの思い人である所の「課長さん」いやもう部長さんになるのだろうか--の写真は一度見せてもらった事があるけど、顔も身体も小さくて、こんな人に、課長だの部長だのという肩書が付くものなのかと驚いたほどだった。
ともすると幼くさえ見える作りの持ち主なだけに、「仕事がすごくできて優しい人」などとお姉ちゃんから聞かされていなければ、首を傾げてしまいそうなぐらいである。

しかもついでに「ちょっと変態っぽい所が好き」などというお姉ちゃんの発言には腰を抜かしそうになった。
…付き合う相手にそういう基準を当てはめているのが自分と似ていて微妙な気分になってしまう。

私が暮らす、一人暮らしにしては広過ぎるマンションにはもう、梢ちゃんが半分住み着いているような状態になっている。
当初はけじめが云々と言い年上らしくあろうとしていた梢ちゃんだけど、交わる度に私たちのプレイ時間も回数も増える一方で、家に帰る暇がなくなったというのが経緯としては正しい。

お姉ちゃんが来るとわかっていながら、あえて私はその直前に梢ちゃんを抱いた。
ベッドルームにはまだ、常時の痕跡を生々しく物語る空気が充満しているし、シャワーを浴びたとは言え梢ちゃん自身が若干呆けている。

私はベッドルームをわざとそういう状態にしてお姉ちゃんを迎え入れた。
お姉ちゃんにしてみれば、ただ好きな人に喜んで欲しい一心という純粋な気持ちなのだろうが、やろうとしている事は決してそういう類の事ではない。
そもそもお姉ちゃんとそのお相手、そんなアブノなプレイがしたくなるほど普通の事はやり飽きているとでも言うのだろうか。

お姉ちゃん曰く、その課長さんが瞳を潤ませながら「佐藤さんに、縛って欲しいの」と言ってきた日には、倒れるかと思うほど興奮してしまったとか何とか。
知った事かと思うけど、どうも私やお姉ちゃんのような顔立ちの女は女性から攻めを要求されやすいのだろうか、とも思ったりする。

私は自発的にその願望を持ったけど、お姉ちゃんはそんな願望はなさそうだし、後付けで好きな人の為にやる事として、いいのかどうだかは良くわからない。
でも、恰好をつけてSをやりたがる人よりはよほど安全に気を配るだろうから、お姉ちゃんがそういうプレイを仕切る事自体には、その課長さんが思うように信じて任せたいと思う気持ちもわかる。

…ただ問題なのは、梢ちゃんを貸してくれという話であって。
ド変態の梢ちゃんは、かつてお姉ちゃんにぎこちなく口淫をされた時に「晴香たんと同じ顔の人なのにタイプが真逆で二度おいしい気分だった」などと語っていた。
それを聞いて少し腹が立ったのもあり、お姉ちゃんが帰った後には上書きと称して梢ちゃんの身体を隅々まで攻めてしまったのだけれど。

顔が同じと言うが、似てはいるものの別人なのは明らかで、そこもまた、梢ちゃんの思考のイカレ度合に呆れてしまう。
また練習台になってと頼めば、嫌がるどころか待ってましたと歓迎するに決まっているし、電話を立ち聞き…いや実際は寝転がって聞いていた訳だけど、されている事情もあってどうも回避できる気がしなかった。

これもまた梢ちゃんが悦ぶならいいのかもしれないなどと、半ば認めてしまっている自分もかなりおかしいと思いつつ、真剣に頼んでくるお姉ちゃんに「SMクラブにでも行ってプロにかけられて覚えろ」とも言えず、なんとなく今日に至ってしまったのだ。

自分らしくもなく流されるような状況に苛立ってしまい、それでお姉ちゃんの来訪直前にわざと激しく梢ちゃんを犯してしまった。

詳しく聞けば緊縛は緊縛でも、お望みなのは「着衣緊縛」との事で私は若干ほっとした。
それなら多少下手でも大丈夫だろうし、私だって裸の梢ちゃんを縛るのが特別上手い訳でもないから自信がなかったのだ。

裸の梢ちゃんを縛る時には、緊張している事がばれないよう余裕ぶりながら、それでも多少失敗しても痛くなり過ぎないように伸縮性のあるロープを使うけど、梢ちゃんは「もっとガチな縄でもいいのに」などと言ったりするので困る。

半分はお世辞だろうけど、「晴香たんは縛るの上手だよ」なんて言われる度、誰と比べてるんだとむかついてしまって、縛った梢ちゃんの頬を張ってしまったりもするけど、「他の人にはされてない」と涙目で答える梢ちゃんを信用できないと罵って、その時は異常に厳しく梢ちゃんを攻めまくった後から、むしろこのプレイに自分の方が興奮しているのではないかと気付いて怖くなったりもした。

お姉ちゃんには、縛る行為そのものよりも、結果大好きな人が縛られている姿を見てこちら側が引いてしまったらいけない、という事だけは理解してもらった。
お姉ちゃんは「大丈夫だと思う」と答える。

普段は上司部下の関係であってプレイの時は逆転するから、きっと自分は上司のあられもない姿に興奮するに違いないとの事だった。

「難しいのは教えられないからね、それに大事な彼女を貸すんだから高くつくと思っておいてよね」

営業女子としていくらお稼ぎなのかは知らないが、この所明らかに羽振りが良くなっているお姉ちゃんに念押しする。

「大丈夫大丈夫、高級旅館二泊三日でも、クイーンサイズのベッドフレーム一式でも、それぐらいなら買ってあげる」

大きなベッドは確かに魅力だなと思いながら、営業で磨いたのか、人の欲しがる物を見抜く能力が長けたのかもしれないお姉ちゃんにもちょっと苛立ちつつ、私はタブレットの画面を見せて緊縛の手順を解説する映像コンテンツを見せた。

お姉ちゃんは「これは見た」と答えてその手順を先回りして説明して見せる。
有料の動画なのにそれを購入したのかという驚きと、更にその手順自体を丸暗記しているのがわかり、驚きを通り越して呆れてきた。

「それ、もう単に梢ちゃんで実践させろって言ってるだけじゃないの」
「まあ…それに近いかな、でも自分の身体で練習できる所はしてきたの」
「……」

優等生と言うのはおかしな方向に傾くとこうなるのかと思いながら、「じゃ物も持ってる訳ね」と確かめる。
「一応」という返事があって、お姉ちゃんはカバンから布製のポーチを取り出しその中から三種類ぐらいのロープを出してきた。

徐にそれを構える姿に私の方がぎくりとしたけど、その事は押し隠して「わかったから」と答えた。

「…自分としてはこの、細くて硬い感じのやつがいい感じだったと思うんだけど」
「んじゃそれでしてみたら」
「本当にいいの?…」
「いいも何も、やる気しか感じないし」
「…うん」

今日はこの前のように梢ちゃんとお姉ちゃんを二人だけにするという訳にもいかない気がする。
お姉ちゃんに縛られて、しかも間違いなくそこそこ悦ぶであろう梢ちゃんを見なければならないのかと思うとどうもテンションが下がった。

*-*-*-*-*-

「…っあ、んっ」

声なのか呼吸なのかわからない声で梢ちゃんが何かに耐えるように両膝を擦り合わせている。
立たせた梢ちゃんに、件の課長さんがよくする服装である所の襟付きブラウスと長めのフレアスカートを履かせて、その上から胸周りを一周、しかも両腕ごとまとめてぐるぐるにロープを巻き付けた所だ。

縛ったのはお姉ちゃんだけど、そうする前にわざとブラジャーは外させておいて、裸の上半身にブラウスを着せた上から縛った細いロープは、ちょうど梢ちゃんの乳首を圧迫するかのように胸に食い込んでいる。
腕を動かせばそれが擦れて乳首が刺激されるのだろう。
動けないもどかしさと、乳首をピンポイントで圧迫され擦られている事に梢ちゃんは軽く感じてしまっているようだった。

…お姉ちゃんの技術がどうと言うより、これを眺めているこちらが変に興奮してしまいそうで困る。

「小田さん、すごくいやらしくて綺麗」
「……」

お姉ちゃんは余裕たっぷりに、そんな優しい言葉で梢ちゃんを褒め称えた。
梢ちゃんの表情が嬉しそうなものに変わるがその顔色は羞恥に赤く染まっている。

私は、それに見とれそうになるのをぐっと堪えてお姉ちゃんに「次は下を」と示唆した。

下半身については一応ショーツを履かせている。淫蜜でスカートを酷く汚さない為に。

いわゆるプロの緊縛師がするような小難しい事は、にわか仕込みの素人には難しい。
それよりも、「縛られている」と相手がきちんと実感できる状態と刺激があればいいとして、単純で誰にでもできて、相手にもそこそこ縛られている感を得やすいようなやり方を実践しているのだ。

お姉ちゃんが梢ちゃんの足元にしゃがみ込んで、梢ちゃんの両脚の間に別のロープをくぐらせる。
スカートの布ごとそれを持ち上げて思い切り引き上げると、梢ちゃんは「うっ」と小さくうめいた。

「…痛い?」
「ううん、びっくりしただけ」
「じゃこれは?」

改めて力加減を確かめるようにお姉ちゃんが股間のロープをもう一度強く引き上げた。

「きゃ」
「……痛い?」
「ち、違うから…」

梢ちゃんの表情だけでわかる。けっこう感じているんだろう。
お姉ちゃんは力加減を色々変えながら、とりあえず梢ちゃんがちょうど良く感じるぐらいの加減を記憶するように繰り返し、それからようやくロープを梢ちゃんの肩の上に掛け一周させ、残りをまた梢ちゃんの履くスカートごと股間に食い込ませ反対側の肩にも同じ力加減で掛けて端を結んだ。

出来上がった状態としては、胸周りを横一直線に縛ったロープの上にちょうどV字型にクロスするような感じで、両肩から股間へロープが走っている感じ。
しかもスカートの布が股間にくしゃくしゃに固まっていて、そこが妙に膨れ上がって見える。

いよいよ梢ちゃん自身は背筋を伸ばそうとしても屈もうとしても、股間に食い込んだロープがやんわりとそこを刺激してくるから、身動きが取れないだろう。
私は黙って梢ちゃんの顔を凝視した。視線で犯すように。

お姉ちゃんはまた「わー…もっといやらしくなっちゃった、小田さん」と無邪気に喜んで笑顔を見せている。
梢ちゃんはいたたまれないのか、黙ったまま瞳を潤ませていた。

私は事前にお姉ちゃんに伝えておいた手順の先を促す。
今度は口元にタオルをあてがいその上から縛って口元も拘束させ、そのままうつ伏せに寝転がせて後ろ手に両手首も縛るのだ。

口は塞いでいる方が心おきなく喘ぐ事ができるから、これはサービス。
それに少し苦しいぐらいの方がこういう場合は盛り上がる。

梢ちゃんは「んっんん」とくぐもった声を上げつつ首を捩じって横を向いた。
お姉ちゃんがそんな梢ちゃんの太腿をまたぐようにして座り、縛った両手首のロープをちょいと引き上げる。

「…っ!」

梢ちゃんの身体が軽く仰け反り、同時に足がじたばたと動いた。
だがそこにはお姉ちゃんが乗っかっているから下敷きになってしまい思うように動かせない。
身体が反った事で、胸に一周させたロープは勿論、ちょうど乳首の上でクロスしている縦のロープも乳首を刺激したろうし、縦のロープは股間にも食い込んだはずだ。

んーんー言いながら梢ちゃんは、身じろぎとそれによって引き起こされる締め付けと摩擦の刺激に悶える無限ループに突入していった。

心の隅で、梢ちゃんに対して気の毒にと思いながらも良かったねとも思ってしまう。
お姉ちゃんは梢ちゃんの身体の前に両手を差し込み、ロープ越しに梢ちゃんの乳首を愛撫しているようだった。

「んく、んんっ」
「あー…直接聞いたらさぞかしエッチな声なんだろうな」
「んっんっ」
「…いいの?乳首?それとも痛くして欲しい?」

ちょっと前なら秘部を直接見るのもこわごわといった様子のお姉ちゃんが、梢ちゃんに言葉攻めをして愉しんでいるではないか。
その変わりように私は呆然とした。
…課長さんとどんだけエッチしまくってるんだか、人の事は言えないけれど。

ふと梢ちゃんと視線がぶつかる。
何か助けを求めるような瞳だけど、私は何も言わず手も出さず、ただその瞳を見つめ返した。
そうすると梢ちゃんの瞳からうっすらと涙が溢れてくるけれど、それは悲しみや屈辱の涙ではない事を私は知っている。
それは高揚とそれに戸惑う羞恥の涙なのだから。

「じゃあ、こっちかな?」
「んっ…!」

お姉ちゃんはそんな梢ちゃんと私の視線によるやり取りなど露知らず、というかお構いなしに、乳首にかかった縦のロープをつんつんと引っ張って間接的に梢ちゃんの股間に摩擦を与えているようである。

「…可愛い、ぴくぴくってして…」

穏やかに、でも好奇心と興奮を隠せない様子でお姉ちゃんは何度も縦のロープをぴんぴんと引っ張って、自分の下で悶える梢ちゃんを鑑賞していた。

梢ちゃんの「んんっ」という声に濁った響きが混じり、きっと強く叫ぶように喘いでいるのだとわかる。

「うーん…直接見ちゃおうかな」
「……」

お姉ちゃんは身体の向きを180度入れ替えて梢ちゃんの肩甲骨辺りにまたがったかと思うと、スカートの布に包まれたお尻を割り開くように掴んで股間を覗き込むように顔を近づけていった。

「…しみができてる、小田さん」
「んんっ」

お姉ちゃんは、梢ちゃんが暴れ過ぎないようわざと体重をかけて身体を押さえつけているのだろう。
しばらくロープをなぞるように指先で股間を撫でて、それからどうやらロープと布の間に指をねじ込んでそこを弄っているようであった。

梢ちゃんの喘ぎ声が甘ったるいものに変わり、こちらにもわかるぐらい明確に「んふぅ」という吐息を漏らし始める。

梢ちゃんはこんなだけど、件の課長さんは実際どの程度攻められるのが好きなんだろうか。
と言うか、こんなにもスムーズにやれるなら練習など不必要ではなかろうか。

私は、単にお姉ちゃんと梢ちゃんの着衣緊縛プレイを見せられているだけのような気がしてきて、急激に気持ちが落ちるのを感じた。

「…もう、一回ぐらいイっちゃってるのかな?びしょびしょになってるんだけど」

お姉ちゃんが私に向き直りそんな事を尋ねてくる。
本人に聞いてもはっきり答えられる状況にはないからだろう。

まあ多分軽く一度くらいは達しているだろうと思う私は、不本意だが軽く頷いて答えた。

「…そう、おまんこイっちゃったのね、直接触ってもいないのに、敏感っ」
「んんっ」

苦しげに悶える梢ちゃんの首の辺りには、タイトスカートを履いているとは言えお姉ちゃんのお尻が乗っかっていて、それこそお尻の割れ目が梢ちゃんの後頭部に接触しそうである。
お姉ちゃんも興奮しているのか、折りたたんだ脚の指先はもじもじと動いていて、何かを堪えているようだ。

「もう、いいでしょ」
「……うん?」

緊縛のやり方だけならもうここまでで十分のはずだ。
ここから先はそれとは違う領域に入る気がしたのと、これ以上黙って見ているのは辛い気がして私は唐突にお姉ちゃんを制止する。

「でも、おまんこもっとして欲しそうに溢れてきてるけど…」
「じゃお姉ちゃんはそっち弄ってなさいよ、私は勝手にやるからね」
「うん…」

そもそも梢ちゃんは私のものだ。
お姉ちゃんに貸したのだってあくまでも好意でしかない。
だから、その気がもう失せたのだから好きにさせてもらう事にするし、それに対してお姉ちゃんが反論できるわけがない。

だが私はお姉ちゃんをプレイそのものから追い出す事はしていないから、お姉ちゃんの愛撫に私も加わる形となる。

まず私は梢ちゃんの口元のロープを外して顔をフリーの状態に戻した。
瞬間「あぁっ、あんっ」という金切り声にも似た梢ちゃんの喘ぎが耳に刺さるぐらいにうるさく響く。
そのまま、私は梢ちゃんの唇にキスをして声を塞いだ。

下半身がどうされているかは知らないけれど、梢ちゃんの舌が一生懸命に私の口内を舐め回してきていやらしい。

ところがその舌の動きが時折ぎこちなく止まったり、口元がだらしなく緩んだりして、それは私とのキスによる刺激とは別の所から与えられた刺激の影響だとわかる。

「小田さん…いやらしい匂いがする」

お姉ちゃんは梢ちゃんの股間の匂いを思いっきり嗅いでいるようだった。
それから背中を走っている縦ロープをぐいっと引っ張り、秘部の食い込みに圧力をかけていく。
ロープで引っ張られた梢ちゃんの肩が浮くほど、その力は強かった。

「んぐ、んふっ…んん」

苦しいのか気持ちいいのかわからないような声が私の口内に流し込まれる。
下半身の激しい攻めと対比するように、私は普段しないぐらいに丁寧に、柔らかく唇を動かし梢ちゃんの唇と重ね合わせた。

「んあ、あ…あふぅ…」

倒錯した刺激に翻弄され、確実に快楽のみに染まる梢ちゃんの思考を更に奪うように、私は何度も梢ちゃんの唇をチロチロと舐め回した。
そうしながら自分の股間に自分で手を差し込んで自慰も始めてしまう。

「あ、晴香たん好き、あんっ…あぁぁ…く、食い込んで…」

縦ロープが容赦なく梢ちゃんの秘部を苛んでいるのだろう。梢ちゃんの肩は不規則にぴくぴくと持ち上がっては落ちてを繰り返している。
もしかすると布越しにでもロープは花弁の間に割り込んで敏感な場所を擦り立てているのかもしれない。

「食い込んで気持ちいいんでしょ、梢ちゃん」
「そんな事…あぁっ、あんっ…!」

奇妙な摩擦音がしたかと思うと、梢ちゃんが身体をよじって悶えまくる。
多分お姉ちゃんがロープを局所的に引っ張るのではなく、ある方向にゆっくり引っ張る事で、繋がったロープ全体が身体を擦ったのではなかろうか。

見届ける暇も与えられず梢ちゃんは一瞬で果てたようだった。
はぁはぁと荒く息をしながら何かに耐えている。

「ほらお姉ちゃん、梢ちゃんイっちゃったから、おしまい」
「…えぇ、これからって感じなのにぃ」

どこまで図々しいのかと思うけど、お姉ちゃんの顔も赤らんでいるし少し身体をもじもじとさせている。

「…約束通り、新しいベッド買ってもらうからね、しかも超高級なやつを」
「暴れてすぐダメにしそうなのに?」
「うるさいな、ほんとにこのまま追い出すわよ」
「わかった、わかった」

どうすれば良いのか悩んだけれど、結局の所お姉ちゃんを一回すっきりさせれば良いのだろうと雑に考え、私は梢ちゃんにお姉ちゃんへの奉仕を命じた。
私はその梢ちゃんを後ろから偽竿で犯す事にする。

「…はぁ、小田さん…上手…っん」

ショーツだけを脱ぎ捨て両脚をM字に開いたお姉ちゃんの股間に、全裸の梢ちゃんが顔を埋めている。
そんな梢ちゃんのお尻を掴んで、手薄な秘部に偽竿を撃ちこむのはナイスアイデアかと思ったけど、やってみて後悔した。
そう近くはないけれど、お姉ちゃんの顔を正面から見るはめになるからだ。

私は加減しながら梢ちゃんの秘部に偽竿を突っ込んでいたけれど、そんな様子がよほど新鮮に見えたのか、お姉ちゃんは変に興奮したみたいで「やだ、もうっ」と恥ずかしがりつつあっという間に絶頂してしまったようである。

梢ちゃんは条件反射なのかバカになったのか、私にいつもするように、達したばかりのぐしょぐしょの秘部を丁寧に舐めすすっているが、それさえもお姉ちゃんには強い刺激だったようで「あ、また…あんっ」と控えめに申告しながら再び果てたようだった。

攻めキャラなのにイキやすいって、それちょっとずるくないかと思いながらそれを眺めていると、また溢れた秘部に梢ちゃんがむしゃぶりついた。
私はもう手加減無用なのかもしれないと思い直して梢ちゃんの秘部をめちゃくちゃに穿つ。

「あひぃ、あ、あ…凄いっ」

梢ちゃんの顔がずるずると沈んでお姉ちゃんの股間から離れていく。
お姉ちゃんは呆然としたままで私の偽竿による攻めを見つめているようだった。
目を合わせたくないので、私は視線を下に固定し、揺れる梢ちゃんのお尻ばかりを見て抽送を繰り返す。

「あん、おまんこ…ヒリヒリして…感じちゃう」

…そうか、ロープが食い込んでいたからそこが刺激されるのかもしれない。
でも見た目にはそれがどこなのかわからないし、それに構う気もしなかった。

「あんっ、あは……っ、イくっ…!」

何分間ぐらいそうしていたろうか。
私が梢ちゃんの秘部に偽竿を突っ込んでいる間に、お姉ちゃんは帰ったらしく、姿は見えなくなっていたし物音もしない。

「……」

お姉ちゃんなりに邪魔しないようにと気を使ってくれたのだろうか。
でも、だとすると玄関の鍵がかかっていないんじゃないかと気になり、私の集中力は散ってしまいそうになった。
それでも偽竿は萎えないし、だから適当に腰を振っていても梢ちゃんは面白いぐらいに激しく何度も達する。

何度目かの絶頂をさせた後、身体をくっつけて腕も指も絡め合いながらねっとりとキスを交わしていると、ふいに梢ちゃんが「…ごめんなさい」と呟いた。

「何が?」

瞳を覗き込み尋ね返す。

「だって…晴香たんの目の前で他の人にされて、感じちゃって…」
「でもあれ別に演技じゃないんでしょ」
「演技じゃない、から余計…」

淫乱なくせに時として従順であろうとする、そういう矛盾に疑問を持たない所に賢さは感じないが、それでもそこに梢ちゃんの心が存在するのかもしれない。

「鍵だけ、かけてくる」
「うん」

梢ちゃんをベッドルームに残して玄関へ向かうと、お姉ちゃんの忘れ物だろうか、何か紙袋が置かれたままになっていた。
手早く玄関扉の鍵をかけて袋の中を見ると、何やらお菓子のような箱の包みと、「無茶な事させてゴメン、ありがとう」というメモが入っていた。

菓子折り?…これまたいかにも営業女子のしそうなベタな感じで気に食わないけど、中のラスクは梢ちゃんも私も大好きなメーカーの品なので、許してあげる事にする。

「梢ちゃんのおかげで、ベッド買い替えられそうだよ」

菓子折りの事を梢ちゃんに伝えながら、半分冗談めかして話を振ってみる。

「でもそれって、私が身体を売ったみたいな事になっちゃうのかな、変な感じなんだけど」
「変じゃないよ、別に」
「ほんと?」
「うん、ホント」

真っすぐに見つめられて私はそれを真正面から受け止める。

「梢ちゃんの淫乱な身体はお金出してでも欲しいぐらいだもん」
「……」
「でも絶対誰にもあげないからね」
「うん」

強く独占欲をはらんだ言葉を聞いて喜ぶ神経もどうかと思うが、相性というのはこういうものなのかもしれない。

「晴香たんさっき自分で触ってたでしょ…?お願い、舐めさせて…」
「いいよ、じゃ私も舐めてあげる」
「うん、それから…その後に…」
「わかってる」

口づけしながら言葉を遮る。
何が欲しいのか、私には良くわかる。

シックスナインで舐め合って、その後には貝合わせをしたいのだろう。それが一番、愛情を確かめられる気がする行為だから。

でもそんないやらしい期待を膨らませる一方で、何故か今回も、したくもないはずなのに三人で交わるような展開になってしまったなと苦々しく思った。

縁があるなどという簡単な言葉で片付けられるのは非常に不本意だけど、どうも流れとしてそういう事に巻き込まれてしまいやすいのは事実だ。

「……あ」

キスしながら梢ちゃんの髪を撫でてゆっくりと押し倒す。
そうしながらも、お姉ちゃんがそのうち件の課長さんだか部長さんだかを連れてきて彼女も交えてみんなでしようなどと言って来やしないか、一抹の不安を覚えた。
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みんなの感想(5件)

ぽち
2020.08.27 ぽち

内容がとてもセクシー過ぎて
毎話ドキドキしながら読んでます!
この後の展開が楽しみです!

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あめ
2020.06.14 あめ

話が更新されるのほんと楽しみに待ってます!美咲さんの嫉妬とか最高

解除
ひづる
2020.06.12 ひづる

美咲さんも他の人としたらいいと思う。
冴子さんだけが浮気するのは
美咲さん推しとして 悲しい、、

解除
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