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ダラムル=イカシテル+イカレテル
1)無名とは
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バクトの住処はこの汚い路地裏、ここはイデオ王国、王都の西の外れ、スラム。両親はいない。だけど寂しくはない。仲間がいるから、毎日楽しくてしょうがない。
仕事もある。この街、5番街と6番街の守役で、町の困りごとを解決させたり、他観光客の荷物持ちや観光案内でもらうチップで主に稼いでいる。
俺はギフト異空間収納と鑑定眼があるダブルギフト持ちだ。だけど鑑定眼は秘密だ。なにせ珍しいギフトの上、他人の能力がわかってしまうので、殺されかねない。
そうこうしているうちに、重そうな荷物を運んでいるでっぷりとした男が通りかかった。
「荷物、手伝いますか?」
「ふぅぅ。」と言い、両手にある荷物を地面に下す。
「予約しているグランドオクトに行きたいのだが、まだ遠いかね?」
グランドオクトは王都中心近く2番街にある高級ホテルだ。
・・・・おいしい・・・
「はいあと5KMほどありますよ。その荷物では大変でしょう。」
スキル鑑定眼。ブルバン・ハイザンベルド・ギフト利き酒・
・・・問題なさそうだな・・・
「じゃあ荷物手伝ってくれるかな?」
お安い御用でといい。下した荷物を異空間収納してみせた。
「背中にしょっている荷物もいいですよ」
「おぉぉ君すごいな!ギフトかね?収納は天職だな!」
と言い。背中にしょっている大きな木箱も収納する。
そう俺は100人に一人のダブルギフトだ。
1000人に一人のトリプルギフト。1万人に一人のフォースギフト、10万人に一人のフィフスギフトなどもいるらしいが、ダブルギフトは仲間にも秘密だ。鑑定眼は誰にも教えていない。
「いきましょうか」「うむ」
歩きながら、聞いてみた。
「どこからいらしたので?」
「チーアからだよ」
「チーア!?めちゃくちゃ遠いじゃないですか?」
どこだか知らない・
「王都の東の町、海沿いの町だな。いい街だ」
「王都には商売で?」
「あぁ明日王都で貴族様に私の作った酒の試飲会があってな」
「へぇブルバンさんのお酒なら、絶対に美味しいでしょうね」
「ん?名前を言ったかな?」
・・・やばっ・・・
「いや、さっき荷物に名前が・・・」
「ははそうかね」
そうこうしている間にホテルについた。
「ありがとう。助かったよ。」
そういって、金貨一枚をくれた!
「こちらこそありがとうございます。」
うはぁ金貨一枚!銅貨1000枚分!生活費2か月分!うれぴぃ!
そうしてアジトに向かった。アジトは落書きだらけのスラムの汚い倉庫だ。
戻るとそこにはカリナがいた。
年は同じくらいのかわいい女の子。ギフトは加速だ。
とにかく早い。速い。あと浄化、ダブルギフト持ちの小さな女の子。
「おかえり、バクト」
「ただいまカリナ」
「どうだった?」
「大儲け!なんと!・・・なんと!・・・金貨一枚!」
そういって懐から金貨をキラリと出した。
「うわぁすごい!久々に見た!見せて!貸して!触らせて!」
すごい勢いで近づいてきたので、金貨を渡した。
「キラキラ!綺麗!」
「あまり大きな声で騒ぐなよ」
というのもここはスラムだ。無法者も多い。ちなみにこの西地区には5つの勢力がある。70%が所属する宗教組織光界、東区を取り仕切っているチェリーパイが西地区でも20%、あとはどっこいどっこい、うちらは、名前がないので無名と呼ばれていた。無名のライバルが剛力というチーム。力自慢のダモンというリーダが率いている。
「うぃ~」
もうひとり帰ってきた。
名前はワイザ。ギフトは怪力。剛力チームリーダーダモンより力のある一人だ。
「ワイザ、今日はどうだった」
するとワイザは手のひらくらいの袋を投げてきた。受け取るとジャラっと重みがある。
中を見ると銀貨がたくさん入っている!
「城外で荷運び手伝っていたんだが、ぬかるみにはまった馬車を押し出してさ」
カリナが言う。
「今日は大儲けね♡」
「リーダーは?」
「なんと金貨一枚」
「おぉすげーさすがリーダーだ!」
銀貨は36枚あった。銅貨360枚分だ
これだけあれば買えるな!
「ワイザの大楯とヒャッポの弓、あとで見に行こう」
「あたしも欲しいネックレスがあるの。買って」
「ダメだ!それは役にたたん」
「もぉ~」
そしてヒャッポも帰ってきた。
ヒャッポはとにかく子供ナンバーワンと言える程、顔が怖く、転んだ時に石に当たり、左目から頬にかけて傷がある。まるで刀傷。そしてめったにしゃべらない。ギフトは射的、弓矢の名手だ。無言で歩いてきた。
100歩以内の的は絶対に外さない凄腕だ。いつしかヒャッポと呼ばれていた。
本当の名前は、忘れた。本人も覚えていない。
ふところから革袋を出し、押し付けてきた。
中身を見ると金貨3枚、銀貨4枚、銅貨15枚!
ワイザが目を丸くし見つめた。ヒャッポがワイザの方を向き、言った。
「・・・今、どんな気持ち?」
ヒャッポはたまに相手が悔しがるのを確認する。決め台詞だ。
バクトが聞いた。
「どうした?この金?」
「・・・街はずれで・・・商人・・・盗賊5人・・殺した・・その金」
カリナが言った・
「街はずれで商人が盗賊5人に襲われたのを全員殺して、お金を奪ったの?」
ヒャッポはそれだ!と言わんばかりにカリナを指さした。
「矢は回収した?」ヒャッポは頷く。
何せヒャッポの矢は全て100と銘打ってある。
盗賊とはいえ、どこかの組織に所属していたら面倒だ。最後にポロンが帰ってきた。
「ただいま!あにき~」
ポロンは10歳。唯一歳がわかる子供だ。
生まれて間もない頃、この倉庫の前に捨てられていた。
ギフトは大変珍しい“創造”で、30CMくらいのものを大体作れる。また忠実ギフトもあるダブルギフト持ちだ。
創造で作ったポーションや蝋燭など簡単な生活雑貨を創造し、売っていた。
バクトに小さな革袋を渡す。
「今日は銅貨37枚」
「よく頑張ったな!ポロン」
頭をなでてやる。とエヘェと幸せいっぱいの顔をした。
「よし全員帰ってきたし、ワーフ武器屋と食堂火山に行くか!」
そう言って倉庫を出た。
裏通りからしばらく歩き、表通りに出る。
街を歩く人々が、振り向きみな挨拶する。
「無名さん。お疲れ様です!」
バクトが手を上げて応対する。
街の守役とは、5番街、6番街の治安取り仕切りなのだ。
表通りに出て、暫く挨拶しながら歩いているとやがてワーフ武器屋についた。店の外にはたたき売りの武器が樽に沢山はいっている。
なんとなく見ていると異様な妖気を発した黒塗りの細身の一振りがあった。
鑑定で見てみると・・・呪いA(生命力引き換え)切れ味A・丈夫S・軽さS・・・特殊速度3倍
呪いさえなければ超名刀だ。値段は銅貨50枚!破格だ!
それにしても生命力引き換えとは??攻撃したら生命力削られるのか?
自分より生命力が上だったら、あの世行きなのか?思わず想像した。
「カリナ、この剣、浄化できるか?」
「なに~呪いでもかかってるの?いいよ~やってみる」
果たしてカリナの浄化で呪いは解除できるのか?
カリナが刀に両手をかざす。・・・浄化・・・両手が緑色に光った。
刀からどす黒い煙がほんの少しづつ出てくる。
3分経過、すると手から出る緑の光が少しづつ薄くなってきた。
「はぁ~何この呪い!バクッチ時間かかるわ、これ!」
「とりあえず買っといて!帰って明日朝からやるわ!頭きた!」
「おうっ頼む!」
といい刀を持ち、店に入った。するとドワーフの店員、筋骨隆々のマラサが振り向いた。
「おう!バクト!・・・なんだその刀、気に入ったのか?」
「黒塗りで切れ味もいいし、いい刀だろ」
「・・・その刀な・・・オーナー殺しの刀な・・・はじめは伯爵の愛刀だったらしいけどな、山賊に襲われて、その山賊を切ったら、伯爵が死んで。で生き残った山賊が刀を奪い、その山賊も直近の部下の裏切りに会い、その部下と相打ちになってな。拾ったまたその部下も魔物に襲われてな。相打ちになって、今度は刀を拾った冒険者も魔物と戦って力尽きて、そんなこんなで気味悪がってと冒険者の仲間が呪われてるから処分してくれって、もってきたんだけど、物はいいからさ。わははは・・たたき売り樽に突っ込んどいた。わははは・・・死ぬなよ」
「・・・わはははって、どうなの・・・それ」カリナがつぶやく
「マラサ、今日は大楯と弓でいいのがないか見に来たんだけど」
するとマラサは奥の部屋に行くように案内した。
奥にいくとずらりとならんだ高級品の部屋。奥のカウンターにオーナーのドワーフ、ブラムが眉間にしわを寄せて算盤をたたいている。
忙しそうなので、勝手に見て回る。並んだ大楯を見て鑑定する。
身体のでかいワイザよりも大きい大楯。これだけあれば仲間も全員後ろに入れる。
順当に金貨5枚の一番値段の高い大楯が一番性能が良い。スキッドロウというドラゴンとワイバーンのあいの子の皮だ。
「ワイザこれちょっと持ってみろ」
ワイザがひょいッと大楯を持ってみる。
「軽い!軽いよ。これ」
「お、いいな、じゃあ第一候補で」
次に弓のコーナーに行った。
弓は20本が下から4段並び、上段ほど、良い商品が並んでいる。
ブラムがカウンターで唸っている。背の高いワイザがヒャッポに上段の弓を渡している。
ヒャッポは一本ずつ弓を引き、吟味している。鑑定を使えば、矢速もわかる。
矢速A、丈夫B、の弓か、矢速B、丈夫Aかどちらかだろう。
案の定ヒャッポは二つで悩んでいる。いや3つだ。
しかし3つ目の弓は、矢速C、丈夫D、なぜだろう。
「ヒャッポ、そ、それは?」無駄に装飾が派手なその弓。
「・・・かっこいいよね・・・」「却下!」
結局矢速Aのやつを選んだ。金貨4枚だ。
大楯と弓を持ち、カウンターに行く。
プラムが唸っている。
「店長どした?」
「ん・・・おぉバクト・・・いらっしゃい」
「これ二つ!で金貨5枚でいいか?」
「おいおい、それは無理だ」
「金貨7.9枚、ならまけてやる」
「金貨4.9!」
「勘弁してくれ。ただでさえ盗みの被害が大きくて困っているのに」
「盗み?」
「あぁ最近、棚卸したら、全然在庫が足りないんだよ」
バクトは考える。
「じゃぁ。今後の盗みを防止すれば金貨3枚でいいか?」
「ん~・・・何か策でもあるのか?」
「ポロン」
「はいっ」
「何か出入口で反応するような、盗み防止の小物作れないか?」
「あ、いいですね。商品に小さな魔石をつけて、出入口で魔石が通ると矢が放たれる罠みたいな」
「矢はやりすぎだけど、紐みたいなのでグルグル巻きにするとか」
「3日ください。作りますよ」
「じゃぁ3日後にまた買いに来る」
「ポロン頼むな」「はいっ」
「じゃあブラム、そういうことでポロンが作ってくれるから、よろしく」
そういって、刀だけ買い、店を後にした。
その夜は豪勢な食事をした。ギルドハウスの隣の店、火山食堂で冒険者も多い。
カリナとワイザが競い合うように食べている。カリナが言った。
「ねぇポロン。魔力ポーションどれくらいある?」
「えーと、10本くらいですかね。」
「ごめんポロン。刀浄化する為にあと50本は欲しいの。出来る?」
「帰ってからやれば、朝までには出来ますよ。」
「お願いしていい?」「はいっお任せください」
「じゃあ明日は各々休みだな」バクトが言った。
「ポロンは大変だけど、頑張れよ」
そうポロンは朝からワーフ武器屋に行かなければならない。
「疲労回復ポーションもあるし、大丈夫です。」
一向はアジトに帰ってきた。
皆、二段ベッドに行った。ポロンは倉庫の端にある机の上でランプをつけ
、早速両手を机にかざす。
両手から銀色の光がでる。光が最高潮に達するまで約5分、すると魔力ポ
ーションが現れた。「ふぅー」
「ポロン無理するなよ。おやすみ」「おやすみなさい」
とは言うものの、ポロンが気になり寝れない。
そのうち、二段ベッドから降りて、近くに見に行った。
後ろで見ていると3本魔力ポーションを作り、2本飲み、三歩すすんで二歩下がる。大変な作業だ。朝までに10時間ギリギリだ。
「アニキ。先に休んでください。」
「あぁ、、、悪いな・・・朝までに完成したら、めちゃ褒めたたえるわ!」
そういい、二段ベッドに戻った。ポロンはやる気になったのかペースが上がっている。・・・・・・・・・
朝、目が覚めるとカリナがポロンの肩を揉んでいた。
「おはよう。出来たのか?」
「合計51本。流石ポロンね。次はあたしの番ね」
次いで、ワイザとヒャッポも起きた。ポロンはそそくさと外に出て顔を洗いに行った。
「じゃあワーフに行ってきます!」
「頼んだぞ・ポロン・・・弓矢は無しな。相手を殺さないように」
「はいっ」と言い、元気よく出て行った。
ワイザとヒャッポは城外に遊びに行くと行って出て行った。
俺は町の見回りでもするかな。
「カリナ頼んだぞ。無理するなよ。急いでないし」
「はーい♡」
城外に出たワイザとヒャッポ、城の北にある山を目指して歩く。すると道の草むらから、5人ほど物騒な男たちが出てきた。
「お!名無しの連中か!?」
「どこいくんだ?ん?小僧」
剛力のメンバー達だ。年はたぶん2・3個上。
「あ?名無しじゃなくて無名だ。てめえらに関係ねぇだろうが」
「おいっ年上に対して、口の利きかたがなってねぇな~、礼儀を知りたいのか?ん?ん?」
そういってダモンが、肩を組んだまま腹にパンチしてきた。
ワイザは頭にきて、剛力リーダー"ダモン"を払い腰で投げて、そのまま抑え込んだ。そしてマウントポジションをとる。剛力のメンバー達は、「てめぇっ」と言い刀を抜く。
しかし、ワイザが冷静にヒャッポ!と言うと、ヒャッポが2本ずつ矢を放
つ。4人の足の間を一瞬で矢が通る。4人思わず止まる。
「てめぇみてえなアホに口の利きかたなんてねぇよ!」とワイザ。
ビンタを5発やり、頭をつかみ地面にたたきつけて失神させた。
「行こう!ヒャッポ」
ワイザとヒャッポが歩くと、剛力メンバーはおずおずと避けた。ヒャッポは剛力のメンバーの一人に顔を近づけ、言った。
「今、どんな、、気持ち???」
見えなくなるまで、ダモンさん!と声が聞こえ、思わずにやけた。
カリナは浄化していた。
刀を机に置き、ひたすら浄化。両手の緑の光がなくなったら、魔力ポーションを飲み、速浄化。もう9回目だ。相変わらず呪いの黒い気は少しづつだが、10回目になった時、緑の光が少し、白みがかってきた。すると黒い気は、今までより、倍くらい抜けるようになった。
いえぇ~い♡もしかしてレベルアップでもしたのかな?・・・浄化は続く。
バクトは午前の街を歩いていた。
歩く人々を鑑定しまくり、眺めて楽しんでいた。
ギフト臭いってなんだよ。かわいそう・・・
むむ・・・ギフト豆?豆?豆ってなんだ?育てるの?食べるの?そんな不毛なギフトも少ないが、たまにいる。レアではあるが、
そうだ。教会の孤児院に行こう。掘り出しギフトがあればてなずけるのも悪くない。
ワイザとヒャッポはやがて山についた。危険と書いた立て札があり、洞窟がある。いわゆるダンジョンだ。
中にはどでかい蟻の魔物がいる。触覚が靴磨きなどに使え、素材として売れる。とは言っても二本で銅貨3枚程度だが、、、、それよりも強くなりたくて、ここに来たのだ。流石に儲けの少ないダンジョンなので人気0。ワイザは背中にしょっていた木の大楯を準備した。手作りの盾だ。ポロンに手伝ってもらった。ヒャッポの木の弓も同様だ。何度も壊れては、試行錯誤をくりかえし、今に至る。
それなりに改善してきた。いや始めのやつに比べれば、すごい進化である。
洞窟の入り口に冒険者が捨てた松明があった。それを拾い、火打石で点火し、武器のように右手で持つ。いよいよ洞窟にはいる。
ポロンは商品一つずつにつけるタグのようなものを次々と出していた。
カウンターにある特殊な工具でしか外せない仕組みだ。
お客さんに外すところを絶対に見られてはならない事をブラムに理解させた。何か朝まで魔力ポーション作りをやっていたせいか、両手の銀光は少し強くなった気がする。たまに魔力ポーションを生成し、それを飲んだ。今日中にタグ1000個作る予定だ。店の商品は1200点、全部で2千のタグを作る予定だ。マラサに小さな魔石を大量に仕入れるように頼んだ。
5㎜ほどの小さな魔石は小さな円形状に加工され、10個で銅貨5枚くらいだ。
どんな罠にするか考えつつ、、、
ワイザとヒャッポは順調に洞窟を進んでいた。兵隊蟻をたおしつつ。兵隊蟻は60~80CMほどの大きさで、俺たちを見るとすぐに猛進してくる。洞窟も狭いので一匹ずつ。まずはワイザが大楯で跳ね返し、離れた所をヒャッポが射貫く。が、射貫くのは弱点の目のみ、目を射貫くと矢は頭の中をかき混ぜて、死ぬ。外皮は固いので、木の矢では貫通しない。蟻を仕留めたら、矢を回収して、触覚を引きちぎり回収する。
触覚はすでに20本だ。注意すべきは、たまにある部屋だ。
部屋は兵隊蟻のたまり場の場合もあるし、幹部蟻が居座っている事もある。
しかも基本暗いため、入ってみなければ何がでるのかわからない。
幹部蟻は兵隊蟻の倍くらいあり、力も強い。普段なら幹部がいたら、そく逃げるが、今日は何か身体の調子が良いのかいつもより力が出る。
そして、暗闇の部屋がある。つばを飲み込みヒャッポを見る。ヒャッポも調子が良いのか、部屋に向かってゴーサインをだした。ワイザが大楯を前に暗い部屋に突っ込む。
すると黒い塊がある。蟻のけつだ!2Mある!幹部蟻だ!
後ろを向いていた蟻が、ゆっくりこちらに振り向いた。
でかい。大きい。蟻は威嚇するように立ち上がると3Mにも達した。
ワイザの倍だ。ワイザが構わずに突撃する。蟻はバランスを崩して後ろに
倒れる。すかさずマウントをとり、松明で顔をあぶる。しかし、この幹部蟻、両目がつぶれている。見えていないのか?
これではヒャッポの矢が通らないかもしれない。
ヒャッポも矢を放つが、つぶれた目に矢先が入るものの頭まで達しない。
蟻は真ん中の両足でワイザを突き飛ばした。ワイザは部屋の壁までふっとぶ。
蟻は奇声を発して、怒っている。蟻はヒャッポ目掛けて、猛進した。
ワイザは咄嗟に危ないと蟻の側面から突撃する。
このまま壁と挟んで、殺してしまおうと蟻以上の突進である。
ドズガーンと壁に挟むつもりが、壁が崩れて、隣の部屋まで突っ込んだ。
蟻は脳震盪でも起こしたのか、ピクピクしている。チャンスだ。
他に弱点はないのか?・・・そうだ。触覚を抜いたらどうなるのか?
倒れたまま必死に触覚の根本をつかみ。バキッと追った。また逆にバキッ
として、完全に片方の触覚をとる。すぐさま逆の触覚も掴む。同じように触覚をとると蟻はおとなしくなったので、首をへし折った。死んだ。多分。
ヒャッポが何も言わず、部屋の奥に進む。
「おいっヒャッポ。少しは労ってくれよ~」
と言いワイザが起き上がる。
部屋の奥を見ると何か木製の台座のようなものが見える。台座の上には3本の巻物がうやうやしく置いてあった。その一本を手に取ると、”大丈夫"と書かれている。
「なんだこりゃ?」
他のは、”風力”、”電力”???なんのことだかわからんが、持ち帰ろう。すると台座の前で微動だにしなかったヒャッポが突然台座を弄りだした。台座の裏側に何かを見つけたようだ。カチッ・・
カチャと言い台座の前の部分がほんの少し飛び出したように見えた。
ヒャッポが台座の前を引っ張ると、なんとそれは引き出しであり、中から金の延べ棒3本。(金貨300枚相当)と一枚の紙きれ。中には何か書いてある。「ラッキーと思っている君!無事に逃げられるかな?裏にあるカチッとしたものを押したら、すぐに逃げた方がいいよ、この机、、、爆発するよwww」
「え~!・・・逃げるぞヒャッポ!」
と言ったらすでにヒャッポは出口にいたので驚いた。
どうやらこれらを隠した人物はアリの巣がある事は想定外だったのか。蟻の通路は無事だった。が、本当に机は爆発し、部屋は崩れた。
「さぁ帰ろう」
バクトは孤児院についた。ここは常に10数人の子供たちがいる。朝から晩まで、畑の手入れや孤児院の手伝いをしている為、自由な時間があまりなく、かわいそうだ。ただ自由だけど食べるものなど自分でなんとかしなければならないスラムとどっちがいいのかは考えようだ。
孤児院につくと、怖い鬼シスターがいた。
「トマト15個、なるべく赤いの持ってきなさい。ローザ」
「ようっシスター!元気だったか?」
「バクト!あんたでしょ!この前、銅貨のはいった袋投げ込んだの」
「知らないよ!何のことだ?」
確かにこの前銅貨30枚投げ込んだ。
「全く余計な事するんじゃないよ!あんただって大変でしょ!仲間4人もかかえて」
「いやぁ最近景気良くてさって俺は知らん!」
「まあ、いいわ。で、何しに来たの?」
「将来有望な子がいたらスカウトしたくて来たんだ。」
そう実はポロン以外のメンバーはここの出身だ。
無名を立ち上げる時、ついていくといってくれた奴らだった。
「という事で邪魔にならないように見ていくけどいいかい?」
「わかったわ。いい子がいたら声かけて」
そういって、シスターはそそくさと仕事に戻った。
まずは厨房に行った。すると先ほどトマトを取ってきた子供が籠に15個入れて持ってきたところだ。
「あんた!これとこれ!まだ緑じゃない!赤いのっていったでしょ」
怒られている。
ギフトは”おっちょこちょい”だ。
あとは、大鍋をかき回している女の子。ギフトは「ナイフ」だ。・・・まぁまぁだな。
次いで寝室に気配がしたため、ノックして寝室の扉を開けた。
すると女の子がベッドメイクをしている。横に仁王立ちしたシスターが言った。
「しわがのこってるわ!やりなおし!」
この子のギフトは「縫物」だ。するとギフトの横にレベル1と表示されて
いる。いつからだ?レベル?俺の鑑定レベルが上がったのか?
試しにシスターを鑑定してみた。
シンディ・ローパー ギフトシスター レベル12
むむむ。ギフトのレベルなのか?ていうかローパーさんて名前なんだ。
シンディシスター。にやりとした。
次はロビーに行ってみた。掃除をしている男の子がいる。
またもやシスターもいる。シスターは窓枠の下の部分を指でこすり、
「ねぇあなた!窓枠も掃除なさい!」
この子のギフトは、池?池?思わず二度見した。
まぁあいいか。続いて、外に行くと、畑に二人いた。両方女の子。
するとまたまたシスターもいた。シスターは何人いるのか?
分身の隠しギフトでも持っているのか?
「あなた!この肥料、たい肥入れたの?あとサキ殻は?」
サキ殻とは、この地域に生息する昆虫の外皮である。
これを集めて、煮詰め、干して、粉々にして、肥料として、混ぜると、食
物の甘味が増すと言われている。
ギフトは、「煮込み」と「発酵」だ。
煮込みはわかるが、発酵ってなんだ?・・・知らない。
「シスターこれで全部か?」
「あとは川に水汲みと洗濯に5人行ってるわ」
孤児院から20Mくらい離れた所にある川だ。川まで歩いていると、水桶を持った子供が通りかかる。
「こんにちは!」「うぃーす!」
ギフトは釣りだ。レベル3、まぁまぁだな。
続いてまた一人水桶を重そうに運ぶ子供が来た。
「ちわっす」「うぃーす」
ギフトは縄!?レベル5!!
またすぐ後ろから、一人水桶を二つ持ち、歩いてきた。ギフトは”持久力”レベル3
なかなかだな。
川まで行くと双子だろうか、男の子と女の子が仲良く洗濯していた。
6歳くらいだろうか、挨拶すると照れくさそうに”こんにちわ”と声を揃えて言った。見た目がかわいい。二人の肩にリスみたいな動物が乗っている。男の子のギフトは、ジェルナ ギフト1) 水魔法 レベル1
ギフト2) テイム レベル1 おぉ鍛えがいある。
女の子は ルルナ ギフト1)火魔法 レベル1 ギフト2)
テイム レベル1 おお、女の子も!!!
二人に尋ねる。「そのリスはテイムしたのか?」
「テイム?わかんない。なついてるの」二人声を揃えて言った。
「ねぇ。おにいちゃんのお店を手伝ってほしいんだけど、どう?」
二人は顔を見合わせる。二人はあっさりと「いいよ!」と言った。
「洗濯はまだあるの?」「もう終わるところ」二人が同時に答える。
「終わったよ」よしじゃあ一緒に行こう。「うん」
そういうと二人は洗濯物が入った籠をしょった。
リスはいつのまにかいなくなっていた。
孤児院につくと早速二人を連れて、シスターに会った。
「シスター、二人の保護者になっていいか?」
「なんだい藪から棒に!」
「大切に育てるからいいだろ?」
「いや。いいけどさ。二人はいいの?」
「うん。にいちゃんと一緒にいく」二人が答えた。
「あんた、どんな買収したのさ。全く。」
カリナの浄化はもうほとんど白い光に変わっていた。抜ける黒い呪いも昨日より10倍程に増えていた。魔力ポーションの残りは3本。また一本飲み干し、浄化する。
すると黒い呪いは最初に少し出ただけで、もう出なくなった.
念のため、もう一度魔力ポーションを飲み、浄化してみた。すると黒い呪いは出なかった。
「出来た!出来たかも!出来たのかな?」
ワイザとヒャッポは、城内に入り、ワーフ武器屋の様子を見ようと歩いていた。するとワーフ武器屋の向かい側で、店の様子を伺う二人がいた。見ると剛力の雑魚メンバーの二人だ。ワイザとヒャッポは二人の背後から近寄ると言った。
「おいっお前ら、ダモンは元気か?」
奇妙なほど二人は飛び上がるように驚いた。
こそこそするように「行くぞ」と言い、立ち去った。
「なんだ?あいつら?変だな」
ワイザとヒャッポは、ワーフ武器屋の裏口から入った。
「ポロン調子はどうだ?」
「あ、ワイザさんとヒャッポさん」
「ちょうどいいとこに来てくれましたね。明日朝手伝ってほしいんですがいいですかね。」
「ん。いいよ」ワイザが間髪入れず答え、ヒャッポもうなずく。
ブラムはカウンターで一生懸命に出来たタグに魔石を入れている。
マラサは出来たタグを両手に持ち、商品一つ一つにつけていた。
「なぁブラム。表に剛力のメンバーが店の様子を見てたけど、なんか怪しくてさ」ワイザが言う。
「あぁやつらなら週一くらいで店を覗きにくるんだよ。いつも商品を見るだけ見て、なんも買わないんだけどな。」
「なんで?あいつらの7番街にも武器を置いてる雑貨屋はあるだろうに」
「さぁな、7番街の雑貨屋か。何かあるのか?」
「いや。挙動不審だったから、怪しいな。なんか」
「ポロン。切りのいいところで帰るぞ」
「はいっあと少しでタグが1200個できますので、少し待ってください」
ヒャッポは前に見た弓を持ち、弓の弾き具合を確かめていた。そしてにやけている。怖い顔で、、、
ワイザは自慢の木の盾をブラムに見せていた。
「これさ。売るとしたらいくらくらいかな?」
「銅銭30だな。表のたたき売りコーナーなら置いていい。」
たたき売りレベルになった事を喜ぶべきか、複雑な表情をした。
カリナは足の部分が半円になっている椅子でくつろいでいた。
そのうち、ブランコの要領でグワングワンと椅子を動かし、そのうちどこまでグワングワン出来るかギリギリの挑戦をしていた。
もうちょい・・・もうちょい・・・いける・・・
で、後ろに椅子ごとひっくり返ったところにバクトは双子二人を連れて帰ってきた。
「どした?カリナ。椅子ローリングアタックの練習か?」
「あ、バクト、お帰り」
見るとバクトの後ろをニコニコしたかわいい二人が着いてくる。
「バクト・・・あたしを差し置いて、・・・隠し子?・・・」
「んなわけあるかっ!」
バクトは二人に向き、「こっちはカリナお姉ちゃん。挨拶できるか?」
「ぼくはジェルナ。カリナお姉ちゃんよろしくお願いします。」
「あたしはルルナ。カリナお姉ちゃんよろしくお願いします。」
するとワイワイとワイザ、ヒャッポ、ポロンも帰ってきた。
ワイザ「人さらい?」ヒャッポ「・・・隠し子?」ポロン「弟と妹?」
「そうそう。生まれたばかりの俺の子供だ。って違う!」
「会議をしようか」とバクト
するとワイザが壁に立てかけていた大きな長テーブルを持ち上げて真ん中
においた。そして各々椅子をもってきた。
椅子が足りないのでジェルナとルルナは、バクトの膝の上に乗った。
全員席についたところで、バクトは言った。
「この二人は孤児院からスカウトしてきた。ジェルナとルルナだ。皆、よろしくな」
「ジェルナです。お兄さん方、よろしくお願いします」
「ルルナです。皆さんよろしくお願いします」
と二人は申し訳なさそうに言った。とにかくかわいい。
「バクト、引き取ってきたってことは、何か見込みでもあるのか?」
「あぁ見てろよ。ポロン。蝋燭とコップを出してくれ」
「はいっ」と言い、両手を翳すと昨日より格段に大きい銀色の光が出た。
するとバクトの形をした20CMくらいの蝋燭が出た、頭から芯が出ている。
それを見て、どんだけバクトが好きなんだ!と大笑い。
ポロンはすかさず、両手を翳しコップをだした。コップというよりバケツだ。
「ポロン君。君ずいぶん大きいものを出せんるんだね。」
「あれっ昨日のポーション作りから、なんか調子よくて」
「まぁいいよ。」とバクトは蝋燭をルルナの前に、バケツいやコップをジェルナの前においた。
「ルルナは蝋燭に火がつくように念じるんだ」
「ジェルナはコップに水が入るように念じるんだ」
二人は「そんな事できるわけない」と思っていたが、何かの遊びかな?と思い、ポロンの真似をして両手を翳し、念じた。
するとルルナの手は薄くオレンジに光り、ジェルナの手は青く光りだす。二人は目を丸くした。すると銅貨くらいの小さな火の玉と銅貨くらいの水玉が現れる。
ルルナは「えいっ」と火の玉を飛ばし、蝋燭に向かわせた。
蝋燭が灯る。ジェルナも同じように「えいっ」と水玉を飛ばす、と水玉は向かいに座っていた、ワイザの頭に当たった。ビショ!「あたっ」
ヒャッポが言う。「水も、、したたる、、」
皆が笑う。ジェルナだけ顔を真っ赤にして、ワイザにごめんなさい。を連呼した。バクトが言った。
「初めて攻撃系の魔法使いだ。あと二人はテイムの才能もありそうだ。」
カリナが言う。「テイムって動物とか魔物とかワイザとかテイムできるって事?」
ワイザが言う。「って、俺はジャンル違うだろ・・・」
二人は一同を見渡して、カリナに両手を翳し、テイムテイムと唱えた。
すると間髪入れず、二人の両手が薄く虹色に輝きだす。驚いてカリナはさっきの椅子で後ろに倒れる。当の二人も驚いたようで、両手をまじまじと見つめていた。
「とにかく有望な二人だ。これからは兄弟だ!」
起き上がったカリナは「あたしから報告。刀出来たわよ」
といい刀を持ってきた。
バクトは喜び、刀を抜いた。黒塗りの刀、かっちょえぇ~!
「なんか切るものないかな?」
「ちょっと待ってね。」というとカリナは倉庫の端っこのガラクタから、
錆びた剣を持ってきて、ワイザに渡した。
するとバクトはワイザの構えた剣に向かい集中する。
動くなよ。右斜め下から左上にかけて刀をシュンと振りぬくと、錆びた剣の上半分がスパッと切れて、カラン!と落ちた。
「おぉすげえ!」皆驚く。拍手する。
「カリナありがとう!」といい、頭をなでる。
皆の手前、恥ずかしいのか、顔を赤らめて「頭はやめて!」と言って手を振りほどいた。
「あとなんかあるか?あ、ポロンはどうだ?」
「はいっ今日店の商品分のタグが出来て、あとは罠を作るんですが、明日ワイザさんとヒャッポさんに手伝ってもらいます。やっぱりあと二日かかりますね」
「そか。ワイザ、ヒャッポ頼むな」
「うぃ~・・・でおいらからも報告が、」
そういうとワイザは壊れた剣をガラクタ置き場に投げて、ゆっくりと懐から、金塊3つをゴトゴトだし、次いで、3つの巻物を机にだした。
「どした!?それっ!なした!?何があった!?」
ヒャッポ以外皆目を丸くする。
ワイザは今日の出来事をすべて話した。ダモンをいわした事から、、、
「で、この巻物・・・なんだと思います?」
大丈夫・・・だいじょうぶだ~
電力・・・なにそれ?
風力・・・これは風?
大丈夫をとりあえず、ワイザに渡し、「お手柄だったな」と言った。
察したワイザは覚悟を決めて、巻物を開く。
開くと大きく大丈夫と達筆に書かれている。なんだこりゃ?
「ダイ・・ジョウ・・ブ」と口に出して言うと巻物が金色に光り輝いた。
そしてその光はワイザに吸収された。
バクトが鑑定眼でワイザを見ると驚いた。
ワイザ ギフト1 剛力 レベル9 ギフト2 大丈夫 レベル1
ギフトが増えている。って言うか怪力から剛力になっている。
しかし鑑定眼は秘密だ。言えない。
次いで、ヒャッポには風力を渡した。
「ヒャッポ開いたら風力と言うんだ」
ヒャッポはニヤリと頷き、巻物を開く。でっかく風力と書いてある。
「ふ・・・ふ・う・りょ・・く」
黄金色に輝く。ヒャッポを見ると
ヒャッポ ギフト1 射撃 レベル10 ギフト2 風力 レベル1
!!!あれっギフトは確か射撃じゃなくて射的だったよな。変化?
レベル10で?
カリナ ギフト1 加速 レベル3 ギフト2 聖域(小) レベル13
・・・カリナも浄化が聖域に変わってる。
ポロン 悪意0 ギフト1 忠実レベル9 ギフト2 創造(小中)レベル18
おぉすげぇ・・・自分も見たい~、しかし鑑定眼は自分にはできない。最後に残った巻物を持ち、電力の部分に指をあてて、これなんて読むんだ?皆初めてみる字が読めない。
「らい力?」「あめりょく?」
するとジェルナとルルナが同時に言った「でんりょく」指をさして自信満々である。バクトは聞いた。
「この文字しっとるの?」「うん!」「・・・すごいね。君たち・・・」
バクトが巻物を開く。「でんりょく」と言った。
黄金に光る!そして黄金は体に吸収された。
「多分これはギフトだ!ポロンの両手の光は強くなっていた。ギフトは使えば使うほどレベルが上がる。各々明日から時間があるときは、ギフトを特訓するんだ。しばらく金がなくなるまで、修行期間とする。」
「で、剛力のメンバー怪しいな・・・もしかして、剛力がワーフ武器を盗んでいる?で、何か盗もうと来てみたが、店が休みだから、様子見てたとか?武器屋は7番街にはないよな?」
7番街は剛力の縄張り、ほとんど行かない。だからあまり知らない。
「ざっか・・屋・・外・・矢・・・中・・・弓」ヒャッポ
「7番街にある雑貨屋の外に矢が売っていて、中に弓もあるみたい」とカリナが言った。
「むぅこの件はまた何か考えよう。俺は顔が割れているし」
晩御飯はまたギルドの隣の火山食堂に行った。
新メンバーの二人は緊張していたが、一緒に飯を食って、すっかり打ち解けたようだ。
朝起きると、すでにジェルナとルルナは起きていて、早速、昨日ポロンが出した蝋燭とバケツを使い、魔法の練習をしていた。
しかし、5,6回ほどで疲れて、出来なくなったという。
だから、ポロンは横で魔力ポーションを出していた。20本ほどストックを作った。カリナは外の井戸で顔を洗い戻ってきた。
「私、今日暇ポだから、二人と一緒に魔法の練習をするね」
「あぁカリナのギフトは速いだからな、早く動けるように練習してみ」とバクト
「え?確かに他の人より早いかもだけど、ギフトなの?」
「ギフトかもwww」
するといびきをかいていたワイザが起き、次いでヒャッポも起きた。
「ワイザさん、ヒャッポさんおはようございます。顔を洗ったら、早速ワーフに行きますよ。」とポロン。
「俺は昨日の金塊を換金して、銀行に行くわ」とバクト。
「ところでポロン、お前の創作魔法で、金塊作れないの?」とバクト
「え???やった事ありませんし、考えたこともありません。」
そういってポロンは両手を翳した。が、暫く唸り、、、一向に何も出ない。
そのうち疲れてやめてしまった。
「ダメですね。なんでだろ。」
「謎だな。その辺は」※※※
※読んでくれてありがとう!♪【♡&コメントプリーズ】
※毎週土曜に更新します!お楽しみに!※早く続きが読みたい方はNOTEにあります※ダラムルバクトで検索してね
仕事もある。この街、5番街と6番街の守役で、町の困りごとを解決させたり、他観光客の荷物持ちや観光案内でもらうチップで主に稼いでいる。
俺はギフト異空間収納と鑑定眼があるダブルギフト持ちだ。だけど鑑定眼は秘密だ。なにせ珍しいギフトの上、他人の能力がわかってしまうので、殺されかねない。
そうこうしているうちに、重そうな荷物を運んでいるでっぷりとした男が通りかかった。
「荷物、手伝いますか?」
「ふぅぅ。」と言い、両手にある荷物を地面に下す。
「予約しているグランドオクトに行きたいのだが、まだ遠いかね?」
グランドオクトは王都中心近く2番街にある高級ホテルだ。
・・・・おいしい・・・
「はいあと5KMほどありますよ。その荷物では大変でしょう。」
スキル鑑定眼。ブルバン・ハイザンベルド・ギフト利き酒・
・・・問題なさそうだな・・・
「じゃあ荷物手伝ってくれるかな?」
お安い御用でといい。下した荷物を異空間収納してみせた。
「背中にしょっている荷物もいいですよ」
「おぉぉ君すごいな!ギフトかね?収納は天職だな!」
と言い。背中にしょっている大きな木箱も収納する。
そう俺は100人に一人のダブルギフトだ。
1000人に一人のトリプルギフト。1万人に一人のフォースギフト、10万人に一人のフィフスギフトなどもいるらしいが、ダブルギフトは仲間にも秘密だ。鑑定眼は誰にも教えていない。
「いきましょうか」「うむ」
歩きながら、聞いてみた。
「どこからいらしたので?」
「チーアからだよ」
「チーア!?めちゃくちゃ遠いじゃないですか?」
どこだか知らない・
「王都の東の町、海沿いの町だな。いい街だ」
「王都には商売で?」
「あぁ明日王都で貴族様に私の作った酒の試飲会があってな」
「へぇブルバンさんのお酒なら、絶対に美味しいでしょうね」
「ん?名前を言ったかな?」
・・・やばっ・・・
「いや、さっき荷物に名前が・・・」
「ははそうかね」
そうこうしている間にホテルについた。
「ありがとう。助かったよ。」
そういって、金貨一枚をくれた!
「こちらこそありがとうございます。」
うはぁ金貨一枚!銅貨1000枚分!生活費2か月分!うれぴぃ!
そうしてアジトに向かった。アジトは落書きだらけのスラムの汚い倉庫だ。
戻るとそこにはカリナがいた。
年は同じくらいのかわいい女の子。ギフトは加速だ。
とにかく早い。速い。あと浄化、ダブルギフト持ちの小さな女の子。
「おかえり、バクト」
「ただいまカリナ」
「どうだった?」
「大儲け!なんと!・・・なんと!・・・金貨一枚!」
そういって懐から金貨をキラリと出した。
「うわぁすごい!久々に見た!見せて!貸して!触らせて!」
すごい勢いで近づいてきたので、金貨を渡した。
「キラキラ!綺麗!」
「あまり大きな声で騒ぐなよ」
というのもここはスラムだ。無法者も多い。ちなみにこの西地区には5つの勢力がある。70%が所属する宗教組織光界、東区を取り仕切っているチェリーパイが西地区でも20%、あとはどっこいどっこい、うちらは、名前がないので無名と呼ばれていた。無名のライバルが剛力というチーム。力自慢のダモンというリーダが率いている。
「うぃ~」
もうひとり帰ってきた。
名前はワイザ。ギフトは怪力。剛力チームリーダーダモンより力のある一人だ。
「ワイザ、今日はどうだった」
するとワイザは手のひらくらいの袋を投げてきた。受け取るとジャラっと重みがある。
中を見ると銀貨がたくさん入っている!
「城外で荷運び手伝っていたんだが、ぬかるみにはまった馬車を押し出してさ」
カリナが言う。
「今日は大儲けね♡」
「リーダーは?」
「なんと金貨一枚」
「おぉすげーさすがリーダーだ!」
銀貨は36枚あった。銅貨360枚分だ
これだけあれば買えるな!
「ワイザの大楯とヒャッポの弓、あとで見に行こう」
「あたしも欲しいネックレスがあるの。買って」
「ダメだ!それは役にたたん」
「もぉ~」
そしてヒャッポも帰ってきた。
ヒャッポはとにかく子供ナンバーワンと言える程、顔が怖く、転んだ時に石に当たり、左目から頬にかけて傷がある。まるで刀傷。そしてめったにしゃべらない。ギフトは射的、弓矢の名手だ。無言で歩いてきた。
100歩以内の的は絶対に外さない凄腕だ。いつしかヒャッポと呼ばれていた。
本当の名前は、忘れた。本人も覚えていない。
ふところから革袋を出し、押し付けてきた。
中身を見ると金貨3枚、銀貨4枚、銅貨15枚!
ワイザが目を丸くし見つめた。ヒャッポがワイザの方を向き、言った。
「・・・今、どんな気持ち?」
ヒャッポはたまに相手が悔しがるのを確認する。決め台詞だ。
バクトが聞いた。
「どうした?この金?」
「・・・街はずれで・・・商人・・・盗賊5人・・殺した・・その金」
カリナが言った・
「街はずれで商人が盗賊5人に襲われたのを全員殺して、お金を奪ったの?」
ヒャッポはそれだ!と言わんばかりにカリナを指さした。
「矢は回収した?」ヒャッポは頷く。
何せヒャッポの矢は全て100と銘打ってある。
盗賊とはいえ、どこかの組織に所属していたら面倒だ。最後にポロンが帰ってきた。
「ただいま!あにき~」
ポロンは10歳。唯一歳がわかる子供だ。
生まれて間もない頃、この倉庫の前に捨てられていた。
ギフトは大変珍しい“創造”で、30CMくらいのものを大体作れる。また忠実ギフトもあるダブルギフト持ちだ。
創造で作ったポーションや蝋燭など簡単な生活雑貨を創造し、売っていた。
バクトに小さな革袋を渡す。
「今日は銅貨37枚」
「よく頑張ったな!ポロン」
頭をなでてやる。とエヘェと幸せいっぱいの顔をした。
「よし全員帰ってきたし、ワーフ武器屋と食堂火山に行くか!」
そう言って倉庫を出た。
裏通りからしばらく歩き、表通りに出る。
街を歩く人々が、振り向きみな挨拶する。
「無名さん。お疲れ様です!」
バクトが手を上げて応対する。
街の守役とは、5番街、6番街の治安取り仕切りなのだ。
表通りに出て、暫く挨拶しながら歩いているとやがてワーフ武器屋についた。店の外にはたたき売りの武器が樽に沢山はいっている。
なんとなく見ていると異様な妖気を発した黒塗りの細身の一振りがあった。
鑑定で見てみると・・・呪いA(生命力引き換え)切れ味A・丈夫S・軽さS・・・特殊速度3倍
呪いさえなければ超名刀だ。値段は銅貨50枚!破格だ!
それにしても生命力引き換えとは??攻撃したら生命力削られるのか?
自分より生命力が上だったら、あの世行きなのか?思わず想像した。
「カリナ、この剣、浄化できるか?」
「なに~呪いでもかかってるの?いいよ~やってみる」
果たしてカリナの浄化で呪いは解除できるのか?
カリナが刀に両手をかざす。・・・浄化・・・両手が緑色に光った。
刀からどす黒い煙がほんの少しづつ出てくる。
3分経過、すると手から出る緑の光が少しづつ薄くなってきた。
「はぁ~何この呪い!バクッチ時間かかるわ、これ!」
「とりあえず買っといて!帰って明日朝からやるわ!頭きた!」
「おうっ頼む!」
といい刀を持ち、店に入った。するとドワーフの店員、筋骨隆々のマラサが振り向いた。
「おう!バクト!・・・なんだその刀、気に入ったのか?」
「黒塗りで切れ味もいいし、いい刀だろ」
「・・・その刀な・・・オーナー殺しの刀な・・・はじめは伯爵の愛刀だったらしいけどな、山賊に襲われて、その山賊を切ったら、伯爵が死んで。で生き残った山賊が刀を奪い、その山賊も直近の部下の裏切りに会い、その部下と相打ちになってな。拾ったまたその部下も魔物に襲われてな。相打ちになって、今度は刀を拾った冒険者も魔物と戦って力尽きて、そんなこんなで気味悪がってと冒険者の仲間が呪われてるから処分してくれって、もってきたんだけど、物はいいからさ。わははは・・たたき売り樽に突っ込んどいた。わははは・・・死ぬなよ」
「・・・わはははって、どうなの・・・それ」カリナがつぶやく
「マラサ、今日は大楯と弓でいいのがないか見に来たんだけど」
するとマラサは奥の部屋に行くように案内した。
奥にいくとずらりとならんだ高級品の部屋。奥のカウンターにオーナーのドワーフ、ブラムが眉間にしわを寄せて算盤をたたいている。
忙しそうなので、勝手に見て回る。並んだ大楯を見て鑑定する。
身体のでかいワイザよりも大きい大楯。これだけあれば仲間も全員後ろに入れる。
順当に金貨5枚の一番値段の高い大楯が一番性能が良い。スキッドロウというドラゴンとワイバーンのあいの子の皮だ。
「ワイザこれちょっと持ってみろ」
ワイザがひょいッと大楯を持ってみる。
「軽い!軽いよ。これ」
「お、いいな、じゃあ第一候補で」
次に弓のコーナーに行った。
弓は20本が下から4段並び、上段ほど、良い商品が並んでいる。
ブラムがカウンターで唸っている。背の高いワイザがヒャッポに上段の弓を渡している。
ヒャッポは一本ずつ弓を引き、吟味している。鑑定を使えば、矢速もわかる。
矢速A、丈夫B、の弓か、矢速B、丈夫Aかどちらかだろう。
案の定ヒャッポは二つで悩んでいる。いや3つだ。
しかし3つ目の弓は、矢速C、丈夫D、なぜだろう。
「ヒャッポ、そ、それは?」無駄に装飾が派手なその弓。
「・・・かっこいいよね・・・」「却下!」
結局矢速Aのやつを選んだ。金貨4枚だ。
大楯と弓を持ち、カウンターに行く。
プラムが唸っている。
「店長どした?」
「ん・・・おぉバクト・・・いらっしゃい」
「これ二つ!で金貨5枚でいいか?」
「おいおい、それは無理だ」
「金貨7.9枚、ならまけてやる」
「金貨4.9!」
「勘弁してくれ。ただでさえ盗みの被害が大きくて困っているのに」
「盗み?」
「あぁ最近、棚卸したら、全然在庫が足りないんだよ」
バクトは考える。
「じゃぁ。今後の盗みを防止すれば金貨3枚でいいか?」
「ん~・・・何か策でもあるのか?」
「ポロン」
「はいっ」
「何か出入口で反応するような、盗み防止の小物作れないか?」
「あ、いいですね。商品に小さな魔石をつけて、出入口で魔石が通ると矢が放たれる罠みたいな」
「矢はやりすぎだけど、紐みたいなのでグルグル巻きにするとか」
「3日ください。作りますよ」
「じゃぁ3日後にまた買いに来る」
「ポロン頼むな」「はいっ」
「じゃあブラム、そういうことでポロンが作ってくれるから、よろしく」
そういって、刀だけ買い、店を後にした。
その夜は豪勢な食事をした。ギルドハウスの隣の店、火山食堂で冒険者も多い。
カリナとワイザが競い合うように食べている。カリナが言った。
「ねぇポロン。魔力ポーションどれくらいある?」
「えーと、10本くらいですかね。」
「ごめんポロン。刀浄化する為にあと50本は欲しいの。出来る?」
「帰ってからやれば、朝までには出来ますよ。」
「お願いしていい?」「はいっお任せください」
「じゃあ明日は各々休みだな」バクトが言った。
「ポロンは大変だけど、頑張れよ」
そうポロンは朝からワーフ武器屋に行かなければならない。
「疲労回復ポーションもあるし、大丈夫です。」
一向はアジトに帰ってきた。
皆、二段ベッドに行った。ポロンは倉庫の端にある机の上でランプをつけ
、早速両手を机にかざす。
両手から銀色の光がでる。光が最高潮に達するまで約5分、すると魔力ポ
ーションが現れた。「ふぅー」
「ポロン無理するなよ。おやすみ」「おやすみなさい」
とは言うものの、ポロンが気になり寝れない。
そのうち、二段ベッドから降りて、近くに見に行った。
後ろで見ていると3本魔力ポーションを作り、2本飲み、三歩すすんで二歩下がる。大変な作業だ。朝までに10時間ギリギリだ。
「アニキ。先に休んでください。」
「あぁ、、、悪いな・・・朝までに完成したら、めちゃ褒めたたえるわ!」
そういい、二段ベッドに戻った。ポロンはやる気になったのかペースが上がっている。・・・・・・・・・
朝、目が覚めるとカリナがポロンの肩を揉んでいた。
「おはよう。出来たのか?」
「合計51本。流石ポロンね。次はあたしの番ね」
次いで、ワイザとヒャッポも起きた。ポロンはそそくさと外に出て顔を洗いに行った。
「じゃあワーフに行ってきます!」
「頼んだぞ・ポロン・・・弓矢は無しな。相手を殺さないように」
「はいっ」と言い、元気よく出て行った。
ワイザとヒャッポは城外に遊びに行くと行って出て行った。
俺は町の見回りでもするかな。
「カリナ頼んだぞ。無理するなよ。急いでないし」
「はーい♡」
城外に出たワイザとヒャッポ、城の北にある山を目指して歩く。すると道の草むらから、5人ほど物騒な男たちが出てきた。
「お!名無しの連中か!?」
「どこいくんだ?ん?小僧」
剛力のメンバー達だ。年はたぶん2・3個上。
「あ?名無しじゃなくて無名だ。てめえらに関係ねぇだろうが」
「おいっ年上に対して、口の利きかたがなってねぇな~、礼儀を知りたいのか?ん?ん?」
そういってダモンが、肩を組んだまま腹にパンチしてきた。
ワイザは頭にきて、剛力リーダー"ダモン"を払い腰で投げて、そのまま抑え込んだ。そしてマウントポジションをとる。剛力のメンバー達は、「てめぇっ」と言い刀を抜く。
しかし、ワイザが冷静にヒャッポ!と言うと、ヒャッポが2本ずつ矢を放
つ。4人の足の間を一瞬で矢が通る。4人思わず止まる。
「てめぇみてえなアホに口の利きかたなんてねぇよ!」とワイザ。
ビンタを5発やり、頭をつかみ地面にたたきつけて失神させた。
「行こう!ヒャッポ」
ワイザとヒャッポが歩くと、剛力メンバーはおずおずと避けた。ヒャッポは剛力のメンバーの一人に顔を近づけ、言った。
「今、どんな、、気持ち???」
見えなくなるまで、ダモンさん!と声が聞こえ、思わずにやけた。
カリナは浄化していた。
刀を机に置き、ひたすら浄化。両手の緑の光がなくなったら、魔力ポーションを飲み、速浄化。もう9回目だ。相変わらず呪いの黒い気は少しづつだが、10回目になった時、緑の光が少し、白みがかってきた。すると黒い気は、今までより、倍くらい抜けるようになった。
いえぇ~い♡もしかしてレベルアップでもしたのかな?・・・浄化は続く。
バクトは午前の街を歩いていた。
歩く人々を鑑定しまくり、眺めて楽しんでいた。
ギフト臭いってなんだよ。かわいそう・・・
むむ・・・ギフト豆?豆?豆ってなんだ?育てるの?食べるの?そんな不毛なギフトも少ないが、たまにいる。レアではあるが、
そうだ。教会の孤児院に行こう。掘り出しギフトがあればてなずけるのも悪くない。
ワイザとヒャッポはやがて山についた。危険と書いた立て札があり、洞窟がある。いわゆるダンジョンだ。
中にはどでかい蟻の魔物がいる。触覚が靴磨きなどに使え、素材として売れる。とは言っても二本で銅貨3枚程度だが、、、、それよりも強くなりたくて、ここに来たのだ。流石に儲けの少ないダンジョンなので人気0。ワイザは背中にしょっていた木の大楯を準備した。手作りの盾だ。ポロンに手伝ってもらった。ヒャッポの木の弓も同様だ。何度も壊れては、試行錯誤をくりかえし、今に至る。
それなりに改善してきた。いや始めのやつに比べれば、すごい進化である。
洞窟の入り口に冒険者が捨てた松明があった。それを拾い、火打石で点火し、武器のように右手で持つ。いよいよ洞窟にはいる。
ポロンは商品一つずつにつけるタグのようなものを次々と出していた。
カウンターにある特殊な工具でしか外せない仕組みだ。
お客さんに外すところを絶対に見られてはならない事をブラムに理解させた。何か朝まで魔力ポーション作りをやっていたせいか、両手の銀光は少し強くなった気がする。たまに魔力ポーションを生成し、それを飲んだ。今日中にタグ1000個作る予定だ。店の商品は1200点、全部で2千のタグを作る予定だ。マラサに小さな魔石を大量に仕入れるように頼んだ。
5㎜ほどの小さな魔石は小さな円形状に加工され、10個で銅貨5枚くらいだ。
どんな罠にするか考えつつ、、、
ワイザとヒャッポは順調に洞窟を進んでいた。兵隊蟻をたおしつつ。兵隊蟻は60~80CMほどの大きさで、俺たちを見るとすぐに猛進してくる。洞窟も狭いので一匹ずつ。まずはワイザが大楯で跳ね返し、離れた所をヒャッポが射貫く。が、射貫くのは弱点の目のみ、目を射貫くと矢は頭の中をかき混ぜて、死ぬ。外皮は固いので、木の矢では貫通しない。蟻を仕留めたら、矢を回収して、触覚を引きちぎり回収する。
触覚はすでに20本だ。注意すべきは、たまにある部屋だ。
部屋は兵隊蟻のたまり場の場合もあるし、幹部蟻が居座っている事もある。
しかも基本暗いため、入ってみなければ何がでるのかわからない。
幹部蟻は兵隊蟻の倍くらいあり、力も強い。普段なら幹部がいたら、そく逃げるが、今日は何か身体の調子が良いのかいつもより力が出る。
そして、暗闇の部屋がある。つばを飲み込みヒャッポを見る。ヒャッポも調子が良いのか、部屋に向かってゴーサインをだした。ワイザが大楯を前に暗い部屋に突っ込む。
すると黒い塊がある。蟻のけつだ!2Mある!幹部蟻だ!
後ろを向いていた蟻が、ゆっくりこちらに振り向いた。
でかい。大きい。蟻は威嚇するように立ち上がると3Mにも達した。
ワイザの倍だ。ワイザが構わずに突撃する。蟻はバランスを崩して後ろに
倒れる。すかさずマウントをとり、松明で顔をあぶる。しかし、この幹部蟻、両目がつぶれている。見えていないのか?
これではヒャッポの矢が通らないかもしれない。
ヒャッポも矢を放つが、つぶれた目に矢先が入るものの頭まで達しない。
蟻は真ん中の両足でワイザを突き飛ばした。ワイザは部屋の壁までふっとぶ。
蟻は奇声を発して、怒っている。蟻はヒャッポ目掛けて、猛進した。
ワイザは咄嗟に危ないと蟻の側面から突撃する。
このまま壁と挟んで、殺してしまおうと蟻以上の突進である。
ドズガーンと壁に挟むつもりが、壁が崩れて、隣の部屋まで突っ込んだ。
蟻は脳震盪でも起こしたのか、ピクピクしている。チャンスだ。
他に弱点はないのか?・・・そうだ。触覚を抜いたらどうなるのか?
倒れたまま必死に触覚の根本をつかみ。バキッと追った。また逆にバキッ
として、完全に片方の触覚をとる。すぐさま逆の触覚も掴む。同じように触覚をとると蟻はおとなしくなったので、首をへし折った。死んだ。多分。
ヒャッポが何も言わず、部屋の奥に進む。
「おいっヒャッポ。少しは労ってくれよ~」
と言いワイザが起き上がる。
部屋の奥を見ると何か木製の台座のようなものが見える。台座の上には3本の巻物がうやうやしく置いてあった。その一本を手に取ると、”大丈夫"と書かれている。
「なんだこりゃ?」
他のは、”風力”、”電力”???なんのことだかわからんが、持ち帰ろう。すると台座の前で微動だにしなかったヒャッポが突然台座を弄りだした。台座の裏側に何かを見つけたようだ。カチッ・・
カチャと言い台座の前の部分がほんの少し飛び出したように見えた。
ヒャッポが台座の前を引っ張ると、なんとそれは引き出しであり、中から金の延べ棒3本。(金貨300枚相当)と一枚の紙きれ。中には何か書いてある。「ラッキーと思っている君!無事に逃げられるかな?裏にあるカチッとしたものを押したら、すぐに逃げた方がいいよ、この机、、、爆発するよwww」
「え~!・・・逃げるぞヒャッポ!」
と言ったらすでにヒャッポは出口にいたので驚いた。
どうやらこれらを隠した人物はアリの巣がある事は想定外だったのか。蟻の通路は無事だった。が、本当に机は爆発し、部屋は崩れた。
「さぁ帰ろう」
バクトは孤児院についた。ここは常に10数人の子供たちがいる。朝から晩まで、畑の手入れや孤児院の手伝いをしている為、自由な時間があまりなく、かわいそうだ。ただ自由だけど食べるものなど自分でなんとかしなければならないスラムとどっちがいいのかは考えようだ。
孤児院につくと、怖い鬼シスターがいた。
「トマト15個、なるべく赤いの持ってきなさい。ローザ」
「ようっシスター!元気だったか?」
「バクト!あんたでしょ!この前、銅貨のはいった袋投げ込んだの」
「知らないよ!何のことだ?」
確かにこの前銅貨30枚投げ込んだ。
「全く余計な事するんじゃないよ!あんただって大変でしょ!仲間4人もかかえて」
「いやぁ最近景気良くてさって俺は知らん!」
「まあ、いいわ。で、何しに来たの?」
「将来有望な子がいたらスカウトしたくて来たんだ。」
そう実はポロン以外のメンバーはここの出身だ。
無名を立ち上げる時、ついていくといってくれた奴らだった。
「という事で邪魔にならないように見ていくけどいいかい?」
「わかったわ。いい子がいたら声かけて」
そういって、シスターはそそくさと仕事に戻った。
まずは厨房に行った。すると先ほどトマトを取ってきた子供が籠に15個入れて持ってきたところだ。
「あんた!これとこれ!まだ緑じゃない!赤いのっていったでしょ」
怒られている。
ギフトは”おっちょこちょい”だ。
あとは、大鍋をかき回している女の子。ギフトは「ナイフ」だ。・・・まぁまぁだな。
次いで寝室に気配がしたため、ノックして寝室の扉を開けた。
すると女の子がベッドメイクをしている。横に仁王立ちしたシスターが言った。
「しわがのこってるわ!やりなおし!」
この子のギフトは「縫物」だ。するとギフトの横にレベル1と表示されて
いる。いつからだ?レベル?俺の鑑定レベルが上がったのか?
試しにシスターを鑑定してみた。
シンディ・ローパー ギフトシスター レベル12
むむむ。ギフトのレベルなのか?ていうかローパーさんて名前なんだ。
シンディシスター。にやりとした。
次はロビーに行ってみた。掃除をしている男の子がいる。
またもやシスターもいる。シスターは窓枠の下の部分を指でこすり、
「ねぇあなた!窓枠も掃除なさい!」
この子のギフトは、池?池?思わず二度見した。
まぁあいいか。続いて、外に行くと、畑に二人いた。両方女の子。
するとまたまたシスターもいた。シスターは何人いるのか?
分身の隠しギフトでも持っているのか?
「あなた!この肥料、たい肥入れたの?あとサキ殻は?」
サキ殻とは、この地域に生息する昆虫の外皮である。
これを集めて、煮詰め、干して、粉々にして、肥料として、混ぜると、食
物の甘味が増すと言われている。
ギフトは、「煮込み」と「発酵」だ。
煮込みはわかるが、発酵ってなんだ?・・・知らない。
「シスターこれで全部か?」
「あとは川に水汲みと洗濯に5人行ってるわ」
孤児院から20Mくらい離れた所にある川だ。川まで歩いていると、水桶を持った子供が通りかかる。
「こんにちは!」「うぃーす!」
ギフトは釣りだ。レベル3、まぁまぁだな。
続いてまた一人水桶を重そうに運ぶ子供が来た。
「ちわっす」「うぃーす」
ギフトは縄!?レベル5!!
またすぐ後ろから、一人水桶を二つ持ち、歩いてきた。ギフトは”持久力”レベル3
なかなかだな。
川まで行くと双子だろうか、男の子と女の子が仲良く洗濯していた。
6歳くらいだろうか、挨拶すると照れくさそうに”こんにちわ”と声を揃えて言った。見た目がかわいい。二人の肩にリスみたいな動物が乗っている。男の子のギフトは、ジェルナ ギフト1) 水魔法 レベル1
ギフト2) テイム レベル1 おぉ鍛えがいある。
女の子は ルルナ ギフト1)火魔法 レベル1 ギフト2)
テイム レベル1 おお、女の子も!!!
二人に尋ねる。「そのリスはテイムしたのか?」
「テイム?わかんない。なついてるの」二人声を揃えて言った。
「ねぇ。おにいちゃんのお店を手伝ってほしいんだけど、どう?」
二人は顔を見合わせる。二人はあっさりと「いいよ!」と言った。
「洗濯はまだあるの?」「もう終わるところ」二人が同時に答える。
「終わったよ」よしじゃあ一緒に行こう。「うん」
そういうと二人は洗濯物が入った籠をしょった。
リスはいつのまにかいなくなっていた。
孤児院につくと早速二人を連れて、シスターに会った。
「シスター、二人の保護者になっていいか?」
「なんだい藪から棒に!」
「大切に育てるからいいだろ?」
「いや。いいけどさ。二人はいいの?」
「うん。にいちゃんと一緒にいく」二人が答えた。
「あんた、どんな買収したのさ。全く。」
カリナの浄化はもうほとんど白い光に変わっていた。抜ける黒い呪いも昨日より10倍程に増えていた。魔力ポーションの残りは3本。また一本飲み干し、浄化する。
すると黒い呪いは最初に少し出ただけで、もう出なくなった.
念のため、もう一度魔力ポーションを飲み、浄化してみた。すると黒い呪いは出なかった。
「出来た!出来たかも!出来たのかな?」
ワイザとヒャッポは、城内に入り、ワーフ武器屋の様子を見ようと歩いていた。するとワーフ武器屋の向かい側で、店の様子を伺う二人がいた。見ると剛力の雑魚メンバーの二人だ。ワイザとヒャッポは二人の背後から近寄ると言った。
「おいっお前ら、ダモンは元気か?」
奇妙なほど二人は飛び上がるように驚いた。
こそこそするように「行くぞ」と言い、立ち去った。
「なんだ?あいつら?変だな」
ワイザとヒャッポは、ワーフ武器屋の裏口から入った。
「ポロン調子はどうだ?」
「あ、ワイザさんとヒャッポさん」
「ちょうどいいとこに来てくれましたね。明日朝手伝ってほしいんですがいいですかね。」
「ん。いいよ」ワイザが間髪入れず答え、ヒャッポもうなずく。
ブラムはカウンターで一生懸命に出来たタグに魔石を入れている。
マラサは出来たタグを両手に持ち、商品一つ一つにつけていた。
「なぁブラム。表に剛力のメンバーが店の様子を見てたけど、なんか怪しくてさ」ワイザが言う。
「あぁやつらなら週一くらいで店を覗きにくるんだよ。いつも商品を見るだけ見て、なんも買わないんだけどな。」
「なんで?あいつらの7番街にも武器を置いてる雑貨屋はあるだろうに」
「さぁな、7番街の雑貨屋か。何かあるのか?」
「いや。挙動不審だったから、怪しいな。なんか」
「ポロン。切りのいいところで帰るぞ」
「はいっあと少しでタグが1200個できますので、少し待ってください」
ヒャッポは前に見た弓を持ち、弓の弾き具合を確かめていた。そしてにやけている。怖い顔で、、、
ワイザは自慢の木の盾をブラムに見せていた。
「これさ。売るとしたらいくらくらいかな?」
「銅銭30だな。表のたたき売りコーナーなら置いていい。」
たたき売りレベルになった事を喜ぶべきか、複雑な表情をした。
カリナは足の部分が半円になっている椅子でくつろいでいた。
そのうち、ブランコの要領でグワングワンと椅子を動かし、そのうちどこまでグワングワン出来るかギリギリの挑戦をしていた。
もうちょい・・・もうちょい・・・いける・・・
で、後ろに椅子ごとひっくり返ったところにバクトは双子二人を連れて帰ってきた。
「どした?カリナ。椅子ローリングアタックの練習か?」
「あ、バクト、お帰り」
見るとバクトの後ろをニコニコしたかわいい二人が着いてくる。
「バクト・・・あたしを差し置いて、・・・隠し子?・・・」
「んなわけあるかっ!」
バクトは二人に向き、「こっちはカリナお姉ちゃん。挨拶できるか?」
「ぼくはジェルナ。カリナお姉ちゃんよろしくお願いします。」
「あたしはルルナ。カリナお姉ちゃんよろしくお願いします。」
するとワイワイとワイザ、ヒャッポ、ポロンも帰ってきた。
ワイザ「人さらい?」ヒャッポ「・・・隠し子?」ポロン「弟と妹?」
「そうそう。生まれたばかりの俺の子供だ。って違う!」
「会議をしようか」とバクト
するとワイザが壁に立てかけていた大きな長テーブルを持ち上げて真ん中
においた。そして各々椅子をもってきた。
椅子が足りないのでジェルナとルルナは、バクトの膝の上に乗った。
全員席についたところで、バクトは言った。
「この二人は孤児院からスカウトしてきた。ジェルナとルルナだ。皆、よろしくな」
「ジェルナです。お兄さん方、よろしくお願いします」
「ルルナです。皆さんよろしくお願いします」
と二人は申し訳なさそうに言った。とにかくかわいい。
「バクト、引き取ってきたってことは、何か見込みでもあるのか?」
「あぁ見てろよ。ポロン。蝋燭とコップを出してくれ」
「はいっ」と言い、両手を翳すと昨日より格段に大きい銀色の光が出た。
するとバクトの形をした20CMくらいの蝋燭が出た、頭から芯が出ている。
それを見て、どんだけバクトが好きなんだ!と大笑い。
ポロンはすかさず、両手を翳しコップをだした。コップというよりバケツだ。
「ポロン君。君ずいぶん大きいものを出せんるんだね。」
「あれっ昨日のポーション作りから、なんか調子よくて」
「まぁいいよ。」とバクトは蝋燭をルルナの前に、バケツいやコップをジェルナの前においた。
「ルルナは蝋燭に火がつくように念じるんだ」
「ジェルナはコップに水が入るように念じるんだ」
二人は「そんな事できるわけない」と思っていたが、何かの遊びかな?と思い、ポロンの真似をして両手を翳し、念じた。
するとルルナの手は薄くオレンジに光り、ジェルナの手は青く光りだす。二人は目を丸くした。すると銅貨くらいの小さな火の玉と銅貨くらいの水玉が現れる。
ルルナは「えいっ」と火の玉を飛ばし、蝋燭に向かわせた。
蝋燭が灯る。ジェルナも同じように「えいっ」と水玉を飛ばす、と水玉は向かいに座っていた、ワイザの頭に当たった。ビショ!「あたっ」
ヒャッポが言う。「水も、、したたる、、」
皆が笑う。ジェルナだけ顔を真っ赤にして、ワイザにごめんなさい。を連呼した。バクトが言った。
「初めて攻撃系の魔法使いだ。あと二人はテイムの才能もありそうだ。」
カリナが言う。「テイムって動物とか魔物とかワイザとかテイムできるって事?」
ワイザが言う。「って、俺はジャンル違うだろ・・・」
二人は一同を見渡して、カリナに両手を翳し、テイムテイムと唱えた。
すると間髪入れず、二人の両手が薄く虹色に輝きだす。驚いてカリナはさっきの椅子で後ろに倒れる。当の二人も驚いたようで、両手をまじまじと見つめていた。
「とにかく有望な二人だ。これからは兄弟だ!」
起き上がったカリナは「あたしから報告。刀出来たわよ」
といい刀を持ってきた。
バクトは喜び、刀を抜いた。黒塗りの刀、かっちょえぇ~!
「なんか切るものないかな?」
「ちょっと待ってね。」というとカリナは倉庫の端っこのガラクタから、
錆びた剣を持ってきて、ワイザに渡した。
するとバクトはワイザの構えた剣に向かい集中する。
動くなよ。右斜め下から左上にかけて刀をシュンと振りぬくと、錆びた剣の上半分がスパッと切れて、カラン!と落ちた。
「おぉすげえ!」皆驚く。拍手する。
「カリナありがとう!」といい、頭をなでる。
皆の手前、恥ずかしいのか、顔を赤らめて「頭はやめて!」と言って手を振りほどいた。
「あとなんかあるか?あ、ポロンはどうだ?」
「はいっ今日店の商品分のタグが出来て、あとは罠を作るんですが、明日ワイザさんとヒャッポさんに手伝ってもらいます。やっぱりあと二日かかりますね」
「そか。ワイザ、ヒャッポ頼むな」
「うぃ~・・・でおいらからも報告が、」
そういうとワイザは壊れた剣をガラクタ置き場に投げて、ゆっくりと懐から、金塊3つをゴトゴトだし、次いで、3つの巻物を机にだした。
「どした!?それっ!なした!?何があった!?」
ヒャッポ以外皆目を丸くする。
ワイザは今日の出来事をすべて話した。ダモンをいわした事から、、、
「で、この巻物・・・なんだと思います?」
大丈夫・・・だいじょうぶだ~
電力・・・なにそれ?
風力・・・これは風?
大丈夫をとりあえず、ワイザに渡し、「お手柄だったな」と言った。
察したワイザは覚悟を決めて、巻物を開く。
開くと大きく大丈夫と達筆に書かれている。なんだこりゃ?
「ダイ・・ジョウ・・ブ」と口に出して言うと巻物が金色に光り輝いた。
そしてその光はワイザに吸収された。
バクトが鑑定眼でワイザを見ると驚いた。
ワイザ ギフト1 剛力 レベル9 ギフト2 大丈夫 レベル1
ギフトが増えている。って言うか怪力から剛力になっている。
しかし鑑定眼は秘密だ。言えない。
次いで、ヒャッポには風力を渡した。
「ヒャッポ開いたら風力と言うんだ」
ヒャッポはニヤリと頷き、巻物を開く。でっかく風力と書いてある。
「ふ・・・ふ・う・りょ・・く」
黄金色に輝く。ヒャッポを見ると
ヒャッポ ギフト1 射撃 レベル10 ギフト2 風力 レベル1
!!!あれっギフトは確か射撃じゃなくて射的だったよな。変化?
レベル10で?
カリナ ギフト1 加速 レベル3 ギフト2 聖域(小) レベル13
・・・カリナも浄化が聖域に変わってる。
ポロン 悪意0 ギフト1 忠実レベル9 ギフト2 創造(小中)レベル18
おぉすげぇ・・・自分も見たい~、しかし鑑定眼は自分にはできない。最後に残った巻物を持ち、電力の部分に指をあてて、これなんて読むんだ?皆初めてみる字が読めない。
「らい力?」「あめりょく?」
するとジェルナとルルナが同時に言った「でんりょく」指をさして自信満々である。バクトは聞いた。
「この文字しっとるの?」「うん!」「・・・すごいね。君たち・・・」
バクトが巻物を開く。「でんりょく」と言った。
黄金に光る!そして黄金は体に吸収された。
「多分これはギフトだ!ポロンの両手の光は強くなっていた。ギフトは使えば使うほどレベルが上がる。各々明日から時間があるときは、ギフトを特訓するんだ。しばらく金がなくなるまで、修行期間とする。」
「で、剛力のメンバー怪しいな・・・もしかして、剛力がワーフ武器を盗んでいる?で、何か盗もうと来てみたが、店が休みだから、様子見てたとか?武器屋は7番街にはないよな?」
7番街は剛力の縄張り、ほとんど行かない。だからあまり知らない。
「ざっか・・屋・・外・・矢・・・中・・・弓」ヒャッポ
「7番街にある雑貨屋の外に矢が売っていて、中に弓もあるみたい」とカリナが言った。
「むぅこの件はまた何か考えよう。俺は顔が割れているし」
晩御飯はまたギルドの隣の火山食堂に行った。
新メンバーの二人は緊張していたが、一緒に飯を食って、すっかり打ち解けたようだ。
朝起きると、すでにジェルナとルルナは起きていて、早速、昨日ポロンが出した蝋燭とバケツを使い、魔法の練習をしていた。
しかし、5,6回ほどで疲れて、出来なくなったという。
だから、ポロンは横で魔力ポーションを出していた。20本ほどストックを作った。カリナは外の井戸で顔を洗い戻ってきた。
「私、今日暇ポだから、二人と一緒に魔法の練習をするね」
「あぁカリナのギフトは速いだからな、早く動けるように練習してみ」とバクト
「え?確かに他の人より早いかもだけど、ギフトなの?」
「ギフトかもwww」
するといびきをかいていたワイザが起き、次いでヒャッポも起きた。
「ワイザさん、ヒャッポさんおはようございます。顔を洗ったら、早速ワーフに行きますよ。」とポロン。
「俺は昨日の金塊を換金して、銀行に行くわ」とバクト。
「ところでポロン、お前の創作魔法で、金塊作れないの?」とバクト
「え???やった事ありませんし、考えたこともありません。」
そういってポロンは両手を翳した。が、暫く唸り、、、一向に何も出ない。
そのうち疲れてやめてしまった。
「ダメですね。なんでだろ。」
「謎だな。その辺は」※※※
※読んでくれてありがとう!♪【♡&コメントプリーズ】
※毎週土曜に更新します!お楽しみに!※早く続きが読みたい方はNOTEにあります※ダラムルバクトで検索してね
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