11 / 11
第10話 よそ者。。。1/3
しおりを挟む
「イラッシャイマセ・・・・・・390エンニナリマス・・・・・オサキニオオキイホウ4000ノオカエシニナリマス・・・・・アリガトゴザイマシタ」
最近僕のクラスでちょっと盛り上がってることがある。
何かって言うと僕達の通う中学校の近くにあるコンビニの店員さんのこと。
なんでも最近入ったその店員さんが可愛いんだって男子の間で話題になってる。
ネームプレートを見るとホアと書いてあって外国の人だっていうのはわかるんだけど、誰もどこの国の人だか分からないらしい。
このホアさんがレジの時に何か品物を買ってお金を払う時に見せてくれる笑顔がとにかく可愛いんだって。
普通にコンビニに行き、レジに品物を持ってお金を払い、お釣りをもらって品物をもって帰る。
これを他の店員さんの場合、特に何もなくただの買い物で終わるんだけど、ホアさんの場合、そのすべてのやり取りを笑顔で対応してくれるのがいいんだって。
中にはホアさん以外の人がレジをしてると何も買わないで帰って来ちゃうっていう子もいるくらい。
わざわざ買い物をしにコンビニまで行ったのに僕には訳がわからない。
あの笑顔で「〇〇円ノ オカエシデス」とか言われるとたまらないんだそうだ。
残念ながら僕はまだ行ったことがないし、その為だけにわざわざ行こうとも思わない。
ただの買い物でたまらない気持ちにはならないと思う。
僕はそのたまらないと言ってる子達の事をこっそり ”たまらん組” と呼んでいる。
今日も誰が最初に声を掛けるかなんて言う話になってるし、「俺、昨日行っちゃった」 なんてほぼ毎日誰かが言ってる。
ただ買い物をしてくるだけで、結局どこの国の人だとか、年は何歳なんだとか、今の所、収穫は何も無し。
ただ驚いたのは、こう言うことには全く興味がなさそうな吾一が、たまらん組に入ってる事。
この ”たまらん組” の事はほぼ男子の間だけの事で、女子はこれを白けた感じで見ている子が多い。
特にモロミは白けるというよりなんか怒ってる感じだ。
何故かホアさんの話になると露骨にイヤイヤ感を出す。
他の女子達の中にもそういう子はいるけどモロミはちょっと特別な感じがする。
そんなモロミは吾一達がいる、たまらん組の話が盛り上がってるとよく僕の席へ来る。
「丸男はあっちじゃないの?」
”あっち” と言うのは僕が言ってるたまらん組のこと。
僕はたまらん組、モロミはあっちという。
「ホアさんだっけ? 僕は興味がないからわからないけどコンビニの女の人の事でしょ?」
「丸男はそういうの気にならないのね」
気にならなくて悪いのかって言いたかったけど、こういうトゲのある時のモロミに絡んだら大変なのはわかってる。
こういうのなんていうんだっけ?
あ、そうそう。確か、君子危うきには何とかってやつだ。
「でもなんかすごく可愛い人らしいね」
「知らないわよ、可愛い人なんてどこにでもいるじゃない。 うちのクラスにだっているし、 学校中探せば可愛い子なんていくらだっているわよ」
「そ、そうだね。 でもあれだけ騒いでるとちょっと行ってみようかなって思ったりしない?」
「思うわけないじゃない。 バカじゃないの。 あたしには関係ないわ。 丸男も行きたければ行けばいいじゃない」
「いや、僕は行きたいと思ってる訳じゃないんだけど。。。」
モロミは何が気に入らないのかわからないけど、僕はなんだかとんだトバッチリを受けたみたいな感じだった。
でも、こんな時のモロミに絡んだら大変になるのはわかってる。
そうそう、君子危うきには何とかだ。
「丸男帰ろうぜ」
授業が終わると吾一が声をかけてきた。
モロミもカメ子とコロに会いたいからと、三人一緒に帰る事になった。
あの警察の件からうちで飼うことになったコロ。
あれから吾一もモロミも僕にではなくコロに会うのが目当てで、うちにくる事があるくらい。
士郎君もちょくちょくやって来るのでカメ子も喜んでいる。
三人で校門を出たところで、他のクラスメート、例のたまらん組のメンバーが帰りにコンビニによるけど一緒に行かないかと吾一を誘いに来た。
今日こそ声をかけてみるんだとか言ってる。
吾一はそれを聞いてちょっと興奮気味で、誰が声をかけるのかとか、なんて話しかけるのか、とか聞いてる。
で、結局吾一は「悪い丸男、またな」と言ってたまらん組と一緒に行ってしまった。
吾一がいなくなるとモロミはまたトゲを出した。
「学校帰りにコンビニによったりしたらダメに決まってんでしょうに、バカじゃないの。 先生に言いつけるから」
爆発寸前だったモロミに、僕は君子危うきに何とかを守り、話かけず家まで二人で黙って歩いた。
「あら、モロミちゃんいらっしゃい」
「こんにちはおばさん」
「カメちゃんもちょうど今さっき散歩から帰って来たところなのよ」
家についてホッとした。
こんなに緊張したの久しぶりだ。
お母さんはモロミに頂き物のおはぎがあるので一緒に食べましょうとモロミを家にあげカメ子を呼んだ。
どこか有名なお店のおはぎで普通は何時間も並ばないと買えないんだっていうものをもらったんだって。
確かに優しい甘さだし、モチ米も粒が立ってて歯ざわりも良く、とても美味しい。
おはぎを食べてるだけで女子達はよくこんなに話ができるもんだ、と感心するくらい色んな話で盛り上がってる。
初めはカメ子もモロミもお母さんに付き合って話してるだけかと思ったけど、そうでもなさそうのがちょっと怖い。
カメ子とコロの顔を見たらすぐ帰ると言っていたモロミも、お母さんを交えてのおしゃべりが盛り上がり過ぎて外は暗くなって来たので、カメ子とコロの散歩がてらモロミを途中まで送ってあげることになった。
コロの散歩道は色々あるんだけど今日は中学校の方から回って行くことにした。
モロミの家に帰るには遠回りになるけど暗くなる前に家にちゃんと送り届ければ問題ない。
リードはモロミが持ち、カメ子とおしゃべりしながら歩いている。
その後ろを少し離れて僕が歩いて行く。
おはぎを食べてる時にも散々おしゃべりしてたのにまだしゃべってる。
何の話をしてるのかわからないけどよく話が尽きないなと思う。
でも、モロミの機嫌が直ってよかった。
やっぱり甘いものが良かったんだろうか?
しばらく歩き中学校を過ぎるとコンビニの前を通る。
ここは、例のあのコンビニだ。
前を歩く二人は僕より先にコンビニの前を通る。
道路に面してる側はドアを含めてすべてガラスだから中を見ようと思えば見れなくもない。
もしかしてホアさんがいたら、どんな人か見れるかも知れない。
モロミは気づいてないのか、気にしないようにしてるのか、わからないけど、コンビニの前を何も言わず通り過ぎようとしている。
いくら僕でもあれだけみんなが噂してるコンビニの前を通るとなると、ホアさんがどんな人か、ちょっとは興味が湧く。
僕の歩いてる所からだと角度が悪すぎて、レジの前に人が立っているのはわかるけど、それが男性か女性かもはっきりわからない。
ちょっと見てみたい気もするけど今日はモロミも一緒だし、今度モロミが一緒じゃない時に来てみようかなと思う。
コロの散歩を口実にすれば誰にも何も言われないだろうし。
そういえば吾一はどうしたんだろう?
店の中にも外にもそれらしい人はいないけど、たまらん組と一緒にもう帰ったのかな。
そんなことを考えながら歩いていると前の二人がコンビニの前を通り始めてから急に歩く速度を落としたので後ろを歩く僕との距離が一気に縮んだ。
そこから二人の歩く速度はさらにゆっくりになり、コンビニのガラスの自動ドアのあたりまで来ると歩みは完全に止まった。
二人というよりカメ子が先に止まったので、モロミも止まった、といった方が正しい。
歩くのをやめたカメ子ははじめは首だけを向けて中を見ていたが、やがて完全にモロミに背を向け、体全体でコンビニの方を向くとガラスの自動ドアが開くか開かないかギリギリのところまでいって中をのぞいてる。
どうしたんだ?
何をしてるんだろう?
「ちょっとカメちゃん、どうしたの?」
モロミもカメ子の行動を不思議がって声をかけたが、カメ子はその呼びかけにも答えず突然コンビニに入っていった。
それを見て僕は慌てて何かあったのかとモロミに駆け寄った。
「どうしたの? なにかあったの?」
「わかんない。 突然この前で止まったと思ったらドアの方に近づいてお店の中をのぞいてるから何か欲しい物でもあるのかなぁと思ってたら、何も言わないで急に入っちゃうんだもん」
カメ子の横をずっと一緒に歩いていたモロミにも、何が何だかわからない様だった。
ここからでも中の様子をうかがう事はできる。
カメ子がレジの前で誰かと対面しているように見える。
何か話してるんだろうか?
僕にもモロミにも、カメ子のすることがわからなかった。
ただこのままほうっておくわけにはいかないので、モロミにはこのまま待ってるように言い、僕もカメ子の後を追ってコンビニへ入った。
カメ子はレジに立つ女の人と向かい合っていた。
そして僕が入ってきたのを確認するとレジに立つ女の人に話しかけた。
「私はカメ子、カメムシのカメ子、あなたは?」
レジの女の人は少し驚いたようだったけど、まるで自己紹介でもするように丁寧な日本語で答えた。
「ワタシ ハ ホア デス。 グエン・ティ・ホア デス」
この人がホアさんだ。
僕は目の前でカメ子が何をしようとしてるのかわからないまま戸惑っていた。
後ろを振り返ると入り口の外でモロミがリードを持って驚いたと言うか、ア然とした表情で立ったままこちらを見ている。
その横でコロはおとなしそうに座っていた。
最近僕のクラスでちょっと盛り上がってることがある。
何かって言うと僕達の通う中学校の近くにあるコンビニの店員さんのこと。
なんでも最近入ったその店員さんが可愛いんだって男子の間で話題になってる。
ネームプレートを見るとホアと書いてあって外国の人だっていうのはわかるんだけど、誰もどこの国の人だか分からないらしい。
このホアさんがレジの時に何か品物を買ってお金を払う時に見せてくれる笑顔がとにかく可愛いんだって。
普通にコンビニに行き、レジに品物を持ってお金を払い、お釣りをもらって品物をもって帰る。
これを他の店員さんの場合、特に何もなくただの買い物で終わるんだけど、ホアさんの場合、そのすべてのやり取りを笑顔で対応してくれるのがいいんだって。
中にはホアさん以外の人がレジをしてると何も買わないで帰って来ちゃうっていう子もいるくらい。
わざわざ買い物をしにコンビニまで行ったのに僕には訳がわからない。
あの笑顔で「〇〇円ノ オカエシデス」とか言われるとたまらないんだそうだ。
残念ながら僕はまだ行ったことがないし、その為だけにわざわざ行こうとも思わない。
ただの買い物でたまらない気持ちにはならないと思う。
僕はそのたまらないと言ってる子達の事をこっそり ”たまらん組” と呼んでいる。
今日も誰が最初に声を掛けるかなんて言う話になってるし、「俺、昨日行っちゃった」 なんてほぼ毎日誰かが言ってる。
ただ買い物をしてくるだけで、結局どこの国の人だとか、年は何歳なんだとか、今の所、収穫は何も無し。
ただ驚いたのは、こう言うことには全く興味がなさそうな吾一が、たまらん組に入ってる事。
この ”たまらん組” の事はほぼ男子の間だけの事で、女子はこれを白けた感じで見ている子が多い。
特にモロミは白けるというよりなんか怒ってる感じだ。
何故かホアさんの話になると露骨にイヤイヤ感を出す。
他の女子達の中にもそういう子はいるけどモロミはちょっと特別な感じがする。
そんなモロミは吾一達がいる、たまらん組の話が盛り上がってるとよく僕の席へ来る。
「丸男はあっちじゃないの?」
”あっち” と言うのは僕が言ってるたまらん組のこと。
僕はたまらん組、モロミはあっちという。
「ホアさんだっけ? 僕は興味がないからわからないけどコンビニの女の人の事でしょ?」
「丸男はそういうの気にならないのね」
気にならなくて悪いのかって言いたかったけど、こういうトゲのある時のモロミに絡んだら大変なのはわかってる。
こういうのなんていうんだっけ?
あ、そうそう。確か、君子危うきには何とかってやつだ。
「でもなんかすごく可愛い人らしいね」
「知らないわよ、可愛い人なんてどこにでもいるじゃない。 うちのクラスにだっているし、 学校中探せば可愛い子なんていくらだっているわよ」
「そ、そうだね。 でもあれだけ騒いでるとちょっと行ってみようかなって思ったりしない?」
「思うわけないじゃない。 バカじゃないの。 あたしには関係ないわ。 丸男も行きたければ行けばいいじゃない」
「いや、僕は行きたいと思ってる訳じゃないんだけど。。。」
モロミは何が気に入らないのかわからないけど、僕はなんだかとんだトバッチリを受けたみたいな感じだった。
でも、こんな時のモロミに絡んだら大変になるのはわかってる。
そうそう、君子危うきには何とかだ。
「丸男帰ろうぜ」
授業が終わると吾一が声をかけてきた。
モロミもカメ子とコロに会いたいからと、三人一緒に帰る事になった。
あの警察の件からうちで飼うことになったコロ。
あれから吾一もモロミも僕にではなくコロに会うのが目当てで、うちにくる事があるくらい。
士郎君もちょくちょくやって来るのでカメ子も喜んでいる。
三人で校門を出たところで、他のクラスメート、例のたまらん組のメンバーが帰りにコンビニによるけど一緒に行かないかと吾一を誘いに来た。
今日こそ声をかけてみるんだとか言ってる。
吾一はそれを聞いてちょっと興奮気味で、誰が声をかけるのかとか、なんて話しかけるのか、とか聞いてる。
で、結局吾一は「悪い丸男、またな」と言ってたまらん組と一緒に行ってしまった。
吾一がいなくなるとモロミはまたトゲを出した。
「学校帰りにコンビニによったりしたらダメに決まってんでしょうに、バカじゃないの。 先生に言いつけるから」
爆発寸前だったモロミに、僕は君子危うきに何とかを守り、話かけず家まで二人で黙って歩いた。
「あら、モロミちゃんいらっしゃい」
「こんにちはおばさん」
「カメちゃんもちょうど今さっき散歩から帰って来たところなのよ」
家についてホッとした。
こんなに緊張したの久しぶりだ。
お母さんはモロミに頂き物のおはぎがあるので一緒に食べましょうとモロミを家にあげカメ子を呼んだ。
どこか有名なお店のおはぎで普通は何時間も並ばないと買えないんだっていうものをもらったんだって。
確かに優しい甘さだし、モチ米も粒が立ってて歯ざわりも良く、とても美味しい。
おはぎを食べてるだけで女子達はよくこんなに話ができるもんだ、と感心するくらい色んな話で盛り上がってる。
初めはカメ子もモロミもお母さんに付き合って話してるだけかと思ったけど、そうでもなさそうのがちょっと怖い。
カメ子とコロの顔を見たらすぐ帰ると言っていたモロミも、お母さんを交えてのおしゃべりが盛り上がり過ぎて外は暗くなって来たので、カメ子とコロの散歩がてらモロミを途中まで送ってあげることになった。
コロの散歩道は色々あるんだけど今日は中学校の方から回って行くことにした。
モロミの家に帰るには遠回りになるけど暗くなる前に家にちゃんと送り届ければ問題ない。
リードはモロミが持ち、カメ子とおしゃべりしながら歩いている。
その後ろを少し離れて僕が歩いて行く。
おはぎを食べてる時にも散々おしゃべりしてたのにまだしゃべってる。
何の話をしてるのかわからないけどよく話が尽きないなと思う。
でも、モロミの機嫌が直ってよかった。
やっぱり甘いものが良かったんだろうか?
しばらく歩き中学校を過ぎるとコンビニの前を通る。
ここは、例のあのコンビニだ。
前を歩く二人は僕より先にコンビニの前を通る。
道路に面してる側はドアを含めてすべてガラスだから中を見ようと思えば見れなくもない。
もしかしてホアさんがいたら、どんな人か見れるかも知れない。
モロミは気づいてないのか、気にしないようにしてるのか、わからないけど、コンビニの前を何も言わず通り過ぎようとしている。
いくら僕でもあれだけみんなが噂してるコンビニの前を通るとなると、ホアさんがどんな人か、ちょっとは興味が湧く。
僕の歩いてる所からだと角度が悪すぎて、レジの前に人が立っているのはわかるけど、それが男性か女性かもはっきりわからない。
ちょっと見てみたい気もするけど今日はモロミも一緒だし、今度モロミが一緒じゃない時に来てみようかなと思う。
コロの散歩を口実にすれば誰にも何も言われないだろうし。
そういえば吾一はどうしたんだろう?
店の中にも外にもそれらしい人はいないけど、たまらん組と一緒にもう帰ったのかな。
そんなことを考えながら歩いていると前の二人がコンビニの前を通り始めてから急に歩く速度を落としたので後ろを歩く僕との距離が一気に縮んだ。
そこから二人の歩く速度はさらにゆっくりになり、コンビニのガラスの自動ドアのあたりまで来ると歩みは完全に止まった。
二人というよりカメ子が先に止まったので、モロミも止まった、といった方が正しい。
歩くのをやめたカメ子ははじめは首だけを向けて中を見ていたが、やがて完全にモロミに背を向け、体全体でコンビニの方を向くとガラスの自動ドアが開くか開かないかギリギリのところまでいって中をのぞいてる。
どうしたんだ?
何をしてるんだろう?
「ちょっとカメちゃん、どうしたの?」
モロミもカメ子の行動を不思議がって声をかけたが、カメ子はその呼びかけにも答えず突然コンビニに入っていった。
それを見て僕は慌てて何かあったのかとモロミに駆け寄った。
「どうしたの? なにかあったの?」
「わかんない。 突然この前で止まったと思ったらドアの方に近づいてお店の中をのぞいてるから何か欲しい物でもあるのかなぁと思ってたら、何も言わないで急に入っちゃうんだもん」
カメ子の横をずっと一緒に歩いていたモロミにも、何が何だかわからない様だった。
ここからでも中の様子をうかがう事はできる。
カメ子がレジの前で誰かと対面しているように見える。
何か話してるんだろうか?
僕にもモロミにも、カメ子のすることがわからなかった。
ただこのままほうっておくわけにはいかないので、モロミにはこのまま待ってるように言い、僕もカメ子の後を追ってコンビニへ入った。
カメ子はレジに立つ女の人と向かい合っていた。
そして僕が入ってきたのを確認するとレジに立つ女の人に話しかけた。
「私はカメ子、カメムシのカメ子、あなたは?」
レジの女の人は少し驚いたようだったけど、まるで自己紹介でもするように丁寧な日本語で答えた。
「ワタシ ハ ホア デス。 グエン・ティ・ホア デス」
この人がホアさんだ。
僕は目の前でカメ子が何をしようとしてるのかわからないまま戸惑っていた。
後ろを振り返ると入り口の外でモロミがリードを持って驚いたと言うか、ア然とした表情で立ったままこちらを見ている。
その横でコロはおとなしそうに座っていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる