息子の運命、父の執着。4

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side正義(父)

可愛い息子と告白へ向かう。

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亮太を着飾らせ、次はホテルディナーだ、と逸る気持ちを抑えて手順を思い返す。

そうだ、今日の私は“王子様”だった。

髪型や衣装が替われば“王子様”はすぐ気付いて褒めるんだったな。

「そのスーツ、よく似合ってる。
亮太はいつも可愛いけど、今日は格好いいよ。」

亮太は可愛いと褒めると、嬉しそうしながら『格好いいって言ってよ!』と反論する。

そのやり取りも可愛くていいんだが、今日の私は“王子様”だからストレートに褒めよう。

そうだ、“王子様”は、一緒の移動はいつもエスコートするんだっけ。

こんな可愛くて格好いい亮太を目にしたら誰でも、不埒な気持ちを抱いて当然だろう。

できるだけ他人の目に触れさせたくない。

帝王ホテルが近くて良かった。

私はだが急いでホテルへと向かった。





◆◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆





帝王ホテルのロイヤリティスイートは、フロントを通らない。

この部屋直通の専用エレベーターにある網膜認証でのチェックインとなる。

王族専用となるこの部屋には専属のスタッフプロが付いており、ルームサービスなど全てに対応する。

この部屋であった事はどんな事であっても口外しない。

だから私はココを選んだ。

この部屋に来るのも久しぶりだな。

胸ポケットのチーフを薔薇に変えたが、トイレに行ったままの亮太が、まだ帰らない。

何かあったのだろうか。

そう思って探してみると、茶室の側で目的地トイレが見付からずウロウロしている亮太を見つけた。

半泣きの亮太も可愛い。

「亮太?迷子かい?可愛いね。」

亮太をトイレへとエスコートし、待っている間に茶室を覗くと、頼んでおいた鶴と亀が来ていた。

縁起物・・・ちょっと大きいな。

そう言えば熊はどこにあるんだろう。

ベッドルームがハネムーン仕様になってるはずだからそこかな?

ぼんやり鶴と亀を見ているとトイレから亮太が出てきた。

そのまま、亮太をディナーの席までエスコートする。

自分も席に着いたところで亮太が切り出した。

「今日はどうしたの?父さん。」

「ん?今日は亮太との特別な日にしようと思ってね。」

亮太にじっと見つめられ、顔が緩む。

「今日・・・何かの記念日だった?」

今日から記念日になるんだよ。

まだ納得がいかなそうな亮太に微笑む。

「それは兎も角、夕ご飯の前に移動して、お腹空いたでしょ。
取り合えず食事にしようか。
亮太、今日も沢山食べてね。」

「うん。」

お腹が空いていたのだろう、亮太が素直に頷く。

「乾杯する?」

“王子様”的には『君の瞳に乾杯。』的な事を言わないといけないんだが・・・思い付かない。

「ううん。お腹空いた。
ご飯食べたい。」

そうだね、育ち盛りに随分我慢させたもんね。

“王子様的コメント”を創り出せない私も助かるよ。

「ふふ、じゃ、いただきますか。」

「「いただきます。」」

亮太の好きな物だけで準備させたフルコースを、モリモリ食べる可愛い亮太を堪能した。

「「ごちそうさまでした。」」

いつも亮太を待ってごちそうさまを言うのは、お腹いっぱい食べて欲しいからと、一生懸命食べる可愛い亮太を見ていて忘れているのと理由が2つある。

でも一緒のごちそうさま、に嬉しそうにする亮太が可愛いから良しとしている。

スタッフが食事を片付けてたので、さて本番ですね、と思っていると、亮太に想定外の提案を受けた。

「父さん、そろそろ帰る?」

今からが本番なのに撤収するの?

しないよ。

「ん?今日はここに泊まるよ?」

何も始めてないのに帰れないよ。

「このホテルの部屋を取ってるの?」

「?
ココが泊まる部屋だよ?」

「??
レストランの個室って泊まってもいいの??
確かに凄く設備が整ってるから泊まれそうだけど・・・」

・・・ああ、この部屋をホテルのレストランと勘違いしてたのか。

「ふふ、成る程。
いや、今日の夕食は部屋食だよ。
ココが・・・




◆◆ ◆ ◆ ◆◆





「部屋を案内しようか。」

ロイヤリティスィートここがどこか、の説明も無事に済んだ。

私はそろそろ本題に入りたいんだが。

「え?」

「良い部屋があるんだ。」

腰に手を回し、エスコートして景色を見るためだけに造られた部屋に入る。

バーカウンターもあり、呼べばスタッフがカクテルを作りに来てくれる仕様だ。

「夜景すごい!ヤバい!!
父さん見て!
東京タワーもスカイツリーも見えるよ!!
スゲー!!!
・・・ぁ。」

カクテルは要らなさそうだな。





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